2015年から定期的に行われ、昨年も東京と大阪の2会場で実施された「SHISHAMO NO YAON!!!」。この記事では11日の東京公演の模様をレポートする。
関東地方の梅雨入りにより、厚い雲がかかった日比谷野音の上空。メンバーの好きなTheピーズの楽曲が流れる中、公演を観に来たファンが続々と会場入りする。ステージのライトが点くと、宮崎朝子(G, Vo)、松岡彩(B)、吉川美冴貴(Dr)が元気よく姿を現し、定番曲「きっとあの漫画のせい」でライブの口火を切った。2曲目の「妄想サマー」ではまだ見ぬ恋人を待つ心情が軽快なビートに乗せて歌われた。
曇り空を見上げながら松岡は「持ったんじゃないですか、天気」と声をかけ、宮崎は「今日は夕方から雨が降る予報だったんですけど、皆さんの日頃の行いがいいからですね。このあとも油断はできないので、お気を付けください。皆さん、レインコートは持ってきてます?」と来場者を心配する。そして吉川が「あんまり普段やってない曲をやれるのが『SHISHAMO NO YAON!!!』のいいところなんですよね」と言うと、メンバーは宮崎のエフェクトの効いたボーカルで始まる「生きるガール」や、変則的なビートの「ごめんね、恋心」などライブではあまり披露されないレア曲を畳みかけた。
「SHISHAMO NO YAON!!!」は今回で7回目。過去の公演の思い出を懐かしんだあと、3人は「君の大事にしてるもの」の歌詞に込められたささくれ立つ感情を、エモーショナルなアンサンブルで表現した。さらに「真夜中、リビング、電気を消して。」「忘れてやるもんか」といった感傷的なナンバーが届けられると、オーディエンスはじっと聴き入り、楽曲の世界観に浸った。野音が静かな余韻で満たされる中、宮崎が「年を重ねて食べるものが変わってきたんですよ」と口を開き、メンバーは食生活の話題で盛り上がる。宮崎は「お肉より魚派になってきたんですよ。今日もお弁当に魚が入っていてテンションが上がっちゃって」と明かし、吉川は「あたしは相変わらず鶏肉ばっかり食べてるよ」と報告。2人から食欲旺盛ぶりを指摘された松岡は「つい食べすぎちゃうんですよね。食べものを見ると食べなきゃって思うんです」と困り顔で語った。
食のトークが弾んだあと、メンバーはもどかしい恋心を表現した 新曲(タイトル未定)で清涼感のあるサウンドを響かせ、「天使みたい」では3人で甘やかなハーモニーを重ねる。だんだんと日が落ちてきた頃、ライブは繊細な思いがあふれる「メトロ」で後半へ突入。甘酸っぱい気持ちを描いたポップチューン「ねぇ、」、タイトなギターリフで始まるロックナンバー「狙うは君のど真ん中」と毛色の異なる楽曲でオーディエンスを惹きつけた。
吉川がSHISHAMOのワンマンライブでは恒例の 「吉川美冴貴の本当にあった○○な話」を聞かせたあと、3人はアコースティックギターの音色が切なさを増幅させる「夏の恋人」、歯切れのいいギターカッティングが印象的な「熱帯夜」とこの時期にぴったりのサマーチューンを披露。あたりはすっかり暗くなり、小雨がぱらつく野音で彼女たちは、2022年11月13日よりCDデビュー10周年イヤーに突入することを報告した。そして宮崎は10周年イヤーの裏テーマ「恋するSHISHAMO」を発表し、このテーマについて「これからも恋愛の曲を作っていくぞという思いを込めました」と説明。2023年1月4日に東京・日本武道館で10周年を記念したワンマンライブを行うことも告知すると、観客から歓喜の拍手が起こった。SHISHAMOは代表曲の1つ「明日も」で温かなムードを演出すると、すぐさま「明日はない」へ。「嘘をつかない自分でありたい」というメッセージを愚直に奏で、観客の心を揺さぶった。本編最後にはSHISHAMOの10周イヤーの裏テーマを示すように「恋する」を演奏してステージを去った。
アンコールでは宮崎が「ここで私、宮崎からお知らせしたいことがありまして……いいですか?」と言うと、ほとんど間を置かずに「結婚しました!」と報告。「ライブに来てくれたみんなに一番に話したいなと思いました。結婚はしたんですけど、人はそう簡単に変わらないもので、私は私のままなんで安心してもらえたらと思います。今後ともSHISHAMOをよろしくお願いします」と重ねると、ファンは割れんばかりの拍手で彼女を祝福した。ほかの2人も宮崎の結婚を祝い、特に吉川は「1人の子が大人になって……すごくうれしい。この空間、とっても幸せですね。本当にありがとうございます」と自分のことのように感激した様子を見せた。準備を整えた3人はブルージーな「中毒」をプレイ。宮崎が「個人的な話を穏やかに聞いてくれて、『ありがとう、大好き!』じゃ伝わらないくらいです。みんながあってのSHISHAMOなので10周年も楽しみましょう」と伝えたのち、3人はファンにありったけの感謝の思いを述べた。感動的なムードに包まれる会場で、SHISHAMOは “健気で天邪鬼な主人公”の別れを描いた新たな恋愛ソング「ハッピーエンド」をお披露目して約2時間半のライブに幕を下ろした。
SHISHAMO「SHISHAMO NO YAON!!! 2022 EAST」2022年6月11日 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音) セットリスト
01. きっとあの漫画のせい
02. 妄想サマー
03. 生きるガール
04. ごめんね、恋心
05. 恋に落ちる音が聞こえたら
06. 君の大事にしてるもの
07. 真夜中、リビング、電気を消して。
08. 忘れてやるもんか
09. 新曲(タイトル未定)
10. 通り雨
11. 天使みたい
12. メトロ
13. ねぇ、
14. 狙うは君のど真ん中
15. 夏の恋人
16. 熱帯夜
17. 夢で逢う
18. 明日も
19. 明日はない
20. 恋する
<アンコール>
21. 中毒
22. ハッピーエンド
SHISHAMO 10周年記念ライブ in 日本武道館
2023年1月4日(水)東京都 日本武道館
SHISHAMO @SHISHAMO_BAND
ナタリーにて、先日行われた
「SHISHAMO NO YAON!!! 2022 EAST」のライブレポートが公開されました✨
写真もたくさん載っているので、是非チェックしてください!☺️(吉川) https://t.co/FQAOWlQ035