阿部真央「らいぶNo.9」でファンと再会「待ってくれていて本当にありがとうございます」

阿部真央が6月2日に東京・EX THEATER ROPPONGIでワンマンライブ「阿部真央らいぶNo.9」を開催した。

「阿部真央らいぶNo.9」は当初、阿部が2020年1月に発表したアルバム「まだいけます」のリリースツアーとして企画されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期に。2021年春に振替公演が予定されていたが、来場者の健康と安全を考慮して公演は中止となっていた。しかし、阿部たっての希望で一夜限りのワンマンライブとして開催が決定。本公演はライブ配信も実施され、会場に集まった観客だけでなく、全国のファンが阿部のひさびさのステージを楽しんだ。

定刻を少し過ぎた頃、バンドメンバーが待つステージに阿部が現れると会場から大きな拍手が湧き起こる。彼女は観客に向けて深々とお辞儀をするとアコースティックギターを抱え、「dark side」を弾き語りでパフォーマンス。薄暗い照明の下、鬼気迫るボーカルを届けて序盤からオーディエンスを圧倒した。彼女はそのまま「お前が求める私なんか全部壊してやる」「まだいけます」といったロックチューンを演奏して観客のボルテージを上昇させたかと思うと、代表曲の1つ「ふりぃ」をまっすぐに歌い上げて会場をさわやかな空気で満たした。阿部は会場に集った観客および画面越しの視聴者に感謝を伝えたのち、「やっとワンマンライブという形でみんなに会うことができました。阿部真央はいつも緊張しちゃうんですけど、今日はテンションが上がってミスが多い（笑）。本当に楽しい気持ちを、そしてありがとうございますの気持ちを精いっぱい、バンドメンバーの皆さんと一緒に演奏に込めたいと思います」とファンとの再会を喜んだ。

阿部はその後、手練れのメンバーが奏でる盤石のバンドサウンドに乗せ、どこか妖艶なムード漂う「どうにもなっちゃいけない貴方とどうにかなりたい夜」や、気だるげなボーカルが印象的なロックチューン「テンション」を歌唱。アコギの弾き語りで披露された次曲「morning」では、情感たっぷりな歌声をじっくりと聴かせてオーディエンスを魅了した。ライブ中盤、阿部がステージ上に運び込まれたキーボードで「ふたりで居れば」のイントロを弾くと異なる音色が流れて演奏を中断するハプニングも。彼女は右手を上げながら「すごく大切なシーンなんだけど音色が違います（笑）」と冗談交じりに話して会場の笑いを誘い、その後は「ふたりで居れば」をしっとりと歌い上げた。

ライブが終盤に差し掛かると阿部は「『らいぶNo.9』を何がなんでもやりたかったんですよ。コロナがなんとなく落ち着いて、そのままぬるっと次には行けなかった。一夜限りにはなってしまったんですけど、『らいぶNo.9』を改めて開催できること本当にうれしく思います。会場に来てくださった皆さん、配信でご覧の皆さん、ライブを楽しみにしてくれていて、待ってくれていて本当にありがとうございます」と、今回のワンマンライブへの思いをコメント。そして思うような活動ができなかったコロナ禍を振り返り「自分というものを認めてあげるのは大変だなと思った時期もありましたけど、この体、この命、この人生で挑んでいこうと思ったときに書いた曲です」と話して、聴く人の背中を押すようなアッパーチューン「READY GO」を届けた。その後は「モットー。」「I wanna see you」「ポーカーフェイス」「ロンリー」といった人気曲を次々とプレイ。オーディエンスは阿部のパフォーマンスに応えるように、両手を掲げたり、体を激しく揺らして演奏を楽しんだ。

「ロンリー」の演奏を終えたところでバンドメンバーと別れて1人ステージに残った阿部。彼女は一度ステージ袖にはける時間がもったいないからとアンコールはせず、ライブを続行すると宣言してファンを喜ばせた。そしてワンマンツアー「阿部真央TOUR2022 “Who Am I”」の開催が告げられると会場は大きな拍手で包まれた。阿部はその後、まだプリプロもしていないという新曲「Who Am I」や、ライブでしか聴くことができない楽曲「母の唄」を弾き語ってライブを終えた。