日本を代表するラッパーが集結、歴史的イベントとなった「POP YOURS」

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5月21、22日に千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホールでヒップホップフェスティバル「POP YOURS」で開催された。

PUNPEEが登場した場面。(Photo by cherry chill will.)

PUNPEEが登場した場面。(Photo by cherry chill will.)

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「POP YOURS」は“2020年代のポップカルチャーとしてのヒップホップ”をテーマにしたイベント。37組のヒップホップアーティストと数多くのゲストが集結し、数千人の観客とYouTube配信の視聴者に向けてライブを繰り広げた。また会場にはMall BoyzのMall Car、GUCCIMAZEが手がけたロゴのオブジェ、cherry chill will.が撮影したラッパーたちの写真、田島ハルコが手がけた“手作り全手動プリクラ”などが展示され、フードエリアには個性豊かな7店舗が出店。国内のヒップホップイベントとしては前例がないほど大規模なフェスとなった。

5月21日

SKY-HIとAile The Shota。(Photo by Jun Yokoyama)

SKY-HIとAile The Shota。(Photo by Jun Yokoyama)[拡大]

初日公演はユーモアあふれるキャラクターと独特な押韻スタイルで人気を集めるdodoのライブでスタートし、バーチャルラッパーのピーナッツくんが続けて登場。着ぐるみ姿のピーナッツくんだが「面白がられに来たわけではなく、ちゃんとカマしに来ましたから!」と叫び、勢いあるラップを繰り出した。株式会社BMSGの代表取締役として目覚ましい活躍を見せるSKY-HIは、BMSGに所属する若手アーティストのAile The Shotaedhiii boiを引き連れて登場。「『POP YOURS』みたいなフェスは10年前には想像もつかなかったことだし、開催したみんなも来てるみんなも心からリスペクトしています」と語った。

Sound's Deli(Photo by Yukitaka Amemiya)

Sound's Deli(Photo by Yukitaka Amemiya)[拡大]

「High School Dropout」のヒットで昨年脚光を浴びた福岡出身のラッパーDADA、オルタナティブロックを取り入れたサウンドで独自の存在感を放つ(sic)boyのパフォーマンスに続いては、注目の若手アーティスト4組が代わる代わる登場。CYBER RUI、JUMADIBA、Candeeが堂々とライブを繰り広げ、最後はヒップホップクルーSound's Deliがバイブス全開のパフォーマンスでフロアを大いに沸かせた。

VaVa(Photo by cherry chill will.)

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沖縄出身の若手ラッパー・OZworldに続いては、シューティングゲーム風の映像からVaVaが登場し、6月1日にリリースされる3rdアルバム「VVARP」の収録曲や代表曲「現実 Feelin' on my mind」などを披露。また翌日の公演にも出演する盟友・BIMがサプライズで登場し、VaVaとのコラボ曲「Fruit Juice」をパフォーマンスした。出演キャンセルとなったゆるふわギャングとのコラボ曲「夜に失くす」でライブを始めたSALUは、盟友・ELIONEとのコラボ曲などを披露したあと、ピアノの伴奏で「In My Life」をパフォーマンス。熱いMCを交えつつ、「RAP GAME」「RGTO」を力強くラップした。

田我流のライブの様子。(Photo by Yukitaka Amemiya)

田我流のライブの様子。(Photo by Yukitaka Amemiya)[拡大]

SIKK-O、鈴木真海子(chelmico)を迎えたSTUTSのパフォーマンスの様子。(Photo by Yukitaka Amemiya)

SIKK-O、鈴木真海子(chelmico)を迎えたSTUTSのパフォーマンスの様子。(Photo by Yukitaka Amemiya)[拡大]

続くセクションでは田我流がバックDJのMAHBIEに加え、サックス奏者の後関好宏、トランペット奏者の川崎太一朗を迎えて登場し、ベテランラッパーならではの巧みなライブを展開。stillichimiyaを迎えたヒップホップクラシック「やべ~勢いですげー盛り上がる」でタイトル通りの爆発的な盛り上がりを生み出し、BLAHRMYと丸をフィーチャーした新曲「VIBE」も披露した。JJJのライブには「DJは佐々木」と紹介されたKID FRESINOに加え、Benjazzy(BAD HOP)、Campanellaがゲストとして登場し、それぞれ卓越したラップスキルを見せつける。STUTSは鈴木真海子(chelmico)とSIKK-Oを迎えた「Summer Situation」、BIMとRYO-Zとコラボした「マジックアワー」のサマーチューン2連発に続けて、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌「Presence」をBIM、Daichi Yamamotoとともに披露。JJJを迎えた「Changes」でさわやかにパフォーマンスを締めくくった。

JP THE WAVYのライブの様子。(Photo by Daiki Miura)

JP THE WAVYのライブの様子。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

日本のヒップホップシーンで今もっとも勢いがあるラッパーと言っても過言ではないLEXは、トラックメイカーのKMをバックDJに迎えて登場。変幻自在のフロウで観客を沸かせ、バックダンサーも迎えてスター然としたパフォーマンスを繰り広げた。LEXがJP THE WAVYとコラボした大ヒット曲「なんでも言っちゃって」で自身のライブを終えると、そのままJP THE WAVYのライブがスタート。LEX、OZworldとのコラボ曲「WAVEBODY」やCandeeとDeechが参加した「Sushi」を披露したあと、JP THE WAVYはパートナーのNiinaやダンサーとともにスタイリッシュなライブを展開する。「本当に光栄です」と出演の喜びを語った彼は「1個だけ残念だったのはSALUくんと同じブロックじゃなかったこと」とコメント。「Cho Wavy De Gomenne」のリミックスに参加し、自身をフックアップしたSALUへのリスペクトを表明した。

KANDYTOWNのライブの様子。(Photo by Jun Yokoyama)

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初日公演のトリ前を務めたのは、全出演者の中でもっとも大所帯のヒップホップクルーKANDYTOWNRyohu、BSC、MUD、IOKEIJUらが飾り立てることなくラップする硬派なスタイルでライブを展開し、「Paper Chase」ではウータン・クランの「C.R.E.A.M.」をビートジャックした。中盤にはGottzを中心としたメンバーが「Prove」「PROGRESS」「Local Area」などトラップビートのナンバーを連発。ファンキーなマイクリレー曲「R.T.N」も飛び出し、観客は手を挙げて盛り上がった。

PUNPEEのライブの様子。(Photo by Daiki Miura)

PUNPEEのライブの様子。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

PUNPEEのライブの様子。(Photo by Yukitaka Amemiya)

PUNPEEのライブの様子。(Photo by Yukitaka Amemiya)[拡大]

初日のヘッドライナーを務めたPUNPEEのライブは、作り込まれたオープニングムービーでスタート。「POP YOURS」への出演をドタキャンし、冴えない日々を送る20年後のPUNPEEが一念発起してトレーニングを積み、タイムマシンの赤い車で過去に戻るというストーリーが描かれる。映像が終わるとステージのLEDビジョンが開き、そこから車に乗ったPUNPEEが登場。大がかりな演出にどよめきが起こる中、PUNPEEは自身が手がけた「水曜日のダウンタウン」のオープニング曲のトラックに乗せてフリースタイルを繰り広げた。レーベルメイトのOMSBを迎えた「Life Goes On(あんじょうやっとります)」に続けて披露した「Scenario(Film)」では星野源の「Pop Virus」をサンプリング。またアニメ「オッドタクシー」のヤノ(CV:METEOR)の映像が流れたかと思えば、スカートの澤部渡がステージに現れ、アニメのオープニング曲「ODDTAXI」でPUNPEEとコラボする。さらにJJJと初コラボした「マジック:ザ・ギャザリング」タイアップ曲「Step Into The Arena」、STUTSを迎えた「夜を使いはたして」を披露したPUNPEEは、会場で(sic)boyやLEXに会ってテンションが上がったという話も交えつつ、「Hero」でライブを締めくくった。

5月22日

ralph(Photo by Jun Yokoyama)

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2日目はダンサブルな楽曲で人気を集めるどんぐりずがトップバッターを務め、オーディション番組「ラップスタア誕生」で生まれた楽曲「Crayon」がヒット中のFuji Taitoが続いて登場。2020年の「ラップスタア誕生」で優勝したralphは、ドリル / グライムのトラックに乗せて圧倒的なラップを繰り出し、「俺はポップになるつもりはさらさらない。でもアンダーグラウンドに隠れて、家族にメシ食わせられないラッパーにもなるつもりなくて。今日はポップじゃない奴を増やしに来ました」と宣言して大きな拍手を浴びた。

kZm(Photo by cherry chill will.)

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続くセクションでは、昨年の「ラップスタア誕生」で脚光を浴びたSkaaiや優勝者のeyden、愛知・名古屋のクルーD.R.C.に所属するhomarelanka、大阪のTha Jointzに所属するフィメールラッパーMFSの若手4人がショットライブを展開。Hideyoshiのステージには、「Jitsuryoku」でコラボしたralphに加えて、TOKYO YOUNG VISIONのYoung Dalu、OSAMI、Big Mikeも登場し、バイタリティあふれるパフォーマンスを繰り広げる。「TEENAGE VIBE」でライブの口火を切ったkZmは、広いステージを激しく駆け回ってパフォーマンス。MonyHorseを迎えた「バグり」などで会場を沸かせ、最後は観客が点灯させたスマホが輝く中、「Dream Chaser」をエモーショナルに歌い上げた。

C.O.S.A.とhomarelanka。(Photo by Jun Yokoyama)

C.O.S.A.とhomarelanka。(Photo by Jun Yokoyama)[拡大]

Daichi YamamotoはバックDJのPhennel Koliander、トークボックスを担当する‎Kzyboostを従えて登場し、「Let it Be」やSTUTSとのコラボ曲「Cage Birds」などを披露。ここまでの荒々しいラッパーとは異なり、グルーヴィなナンバーをしっかりと聴かせた。続いて登場したのは、コアなヒップホップヘッズから熱い支持を受けるISSUGI仙人掌、Mr.PUGのベテラングループ・MONJU。2008年発表の「Black de.ep」の収録曲や、昨年発表した「Proof Of Magnetic Field」の収録曲でいぶし銀のマイクリレーを繰り広げ、会場をドープなムードで染め上げた。人気曲「LOVE」で登場したC.O.S.A.は最新アルバム「Cool Kids」の収録曲やhomarelankaを迎えた「Stay Gold」で弾丸のようなラップを繰り出しつつ、リリシストとの魅力も存分に発揮。初期の代表曲「知立Babylon Child」や未発表の新曲も披露した。

Tohji(Photo by Daiki Miura)

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ティーンを中心にカリスマ的人気を誇るTohjiはgummyboyとともに登場し、Mall Boyzのアンセム「Higher」で観客のテンションを一気に引き上げる。Elle Teresaを迎えた「GOKU VIBES」で会場のボルテージをさらに引き上げたTohjiは、6月3日に配信リリースする新作「t-mix」から「ねるねるね」「ULTRA RARE」「Super Ocean Man」も披露。シーンの最前線で進化を続ける姿を示した。5lackはシングルシリーズ「白い円盤」の楽曲「Ocean」を皮切りに近年の楽曲を立て続けにパフォーマンス。初日公演でヘッドライナーを務めた兄・PUNPEEや自身のMCネームに関するトークで笑いを起こしつつ、「東京」「That's me」「Hot Cake」といった人気曲でフロアをヒートアップさせた。

BIM(Photo by Jun Yokoyama)

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初日公演にゲストとしてたびたび登場したBIMは、竹村郁哉(G / Yogee New Waves)、Shingo Suzuki(B / Ovall)、So Kanno(Dr / BREIMEN)、TAIHEI(Key / Suchmos)、そしてDJのdooooとDJ ZAI(SIMI LAB)を迎えた豪華なバンドセットで2日目の公演に出演。バンドメンバーと息の合ったパフォーマンスを見せた彼のステージには、STUTS、kZm、Skaai、Daichi Yamamoto、どんぐりず、そしてPUNPEEまでもが現れ、終始フロアを沸かせ続けた。

Awich(Photo by cherry chill will.)

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「去年も騒がしたし、2022年も俺が騒がしていくから」と宣言した¥ellow Bucksは「To The Top」「Yessir」「I'm Back」といったナンバーでそのラップスキルを誇示。JP THE WAVYとのコラボ曲「WAVEBODY」「GIOTF」も披露し、TikTok経由で大ヒットした「My Resort」で観客を熱狂させた。2日目のトリ前を務めたAwichは自身の半生と覚悟をラップした「Queendom」でライブの幕を開け、kZmをフィーチャーした「NEBUTA」や「洗脳」などのキラーチューンを次々に投下していく。愛娘・Yomi Jahがラップで参加した新曲「TSUBASA」に続いては、JP THE WAVYを迎えた「GILA GILA」、KEIJU、¥ellow Bucksとコラボした「Link Up」、KEIJUとのもう1つのコラボ曲「Remember」を立て続けにパフォーマンス。最後は「Bad Bad」を歌い上げてヘッドライナーにバトンをつないだ。

BAD HOP(Photo by cherry chill will.)

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2日間にわたる公演を締めくくったのは、双子のT-PablowとYZERR、Tiji Jojo、Benjazzy、Yellow Pato、G-K.I.D、Vingo、Barkで構成される神奈川・川崎発のヒップホップクルーBAD HOP。「Friends」でパフォーマンスを開始した彼らは、「No Melody」「BATMAN」とハードなナンバーを怒涛の勢いで繰り出し、「Poppin」では爆炎がライブをさらに盛り上げる。その後も「I Feel Like Goku」や「Round One」で観客を飛び跳ねさせた彼らは、開放感あふれる「Ocean View」やエモーショナルな「Suicide」でムードを切り替え、ポジティブなメッセージが込められた「Bayside Dream」につなげる。そして最後に披露されたのは、メンバー全員が参加する代表曲「Kawasaki Drift」。8人は個性あふれるマイクリレーを繰り広げ、T-Pablowのパンチライン「川崎区で有名になりたきゃ 人殺すかラッパーになるか」が幕張メッセに響きわたった。

Spotifyでは本公演のセットリストを再現したセットリストを公開中。

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【ライブレポート】日本を代表するラッパーが集結、歴史的イベントとなった「POP YOURS」(写真50枚) https://t.co/bAuRTPtYL7

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