5月20、21日に東京・中野サンプラザホールにてライブイベント「BETA Q」が開催された。
「BETA Q」は2019年から開催されているイベント「Q」シリーズの派生企画。5月20日公演「FRIDAY NIGHT」では
FRIDAY NIGHT
会場が暗転すると、時計の針の音が場内に鳴り響き、幻想的なSEに乗せてD.A.N.とサポートメンバーの小林うてな(Steelpan, Syn, Harp, Cho /
続く「Sundance」ではリズムマシンの躍動的なビートをフィーチャーしたダンサブルなサウンドに観客が体を揺らす。聴き手の心の深淵に迫っていくようなダークで緊張感あふれる「No Moon」に続けてバンドは「Take Your Time」をプレイ。穏やかに始まった楽曲が後半にかけて高揚感を増していくと会場の空気が徐々に熱を帯びていった。
5曲目の「Fallen Angle」では、それまでシンセサイザーを操っていた櫻木がギターを手に取る。リズムマシンの硬質なキックとグルーヴィなベースラインが腰を揺さぶるこの曲では小林がハープを演奏し、きらびやかな彩を添えていた。D.A.N.はその後、メランコリックなサウンドの上で櫻木がラップスタイルのボーカルを聞かせる「The Encounters」、アグレッシブなブレイクビーツで突き進む「Overthinker」といった楽曲を畳みかけるように演奏。最後は「Anthem」を届け、精緻なバンドアンサンブルとダンスミュージックの強靭なグルーヴを融合した独自のサウンドでオーディエンスを存分魅了した。
2番手のTempalayは競演相手のD.A.N.になぞらえてZARDの「DAN DAN 心魅かれてく」をSEに登場。この日のライブは、小原綾斗(Vo, G)、藤本夏樹(Dr)、
「SONIC WAVE」「のめりこめ、震えろ。」といったエモーショナルなナンバーでは小原が激しくギターをかき鳴らしながらソウルフルな歌声を響かせる。ダブワイズされたサウンドが心地いい「未知との遭遇」、高木のベースソロが飛び出したハードな「my name is GREENMAN」をシームレスに届けたのちTempalayは「どうしよう」をプレイ。センチメンタルなメロディに乗って小原の切々とした歌声とAAAMYYYのスウィートなコーラスが場内に響いた。浮遊感漂う「カンガルーも考えている」から「EDEN」になだれ込むとラウドなギターを中心に据えたエネルギッシュな演奏に会場のボルテージは急上昇。続く「大東京万博」では曲中の「ラッセーラー、ラッセーラー」という青森ねぶた祭風の掛け声にオーディエンスが両手を挙げて応えていた。
MCを挟みライブは終盤に。小原が穏やかな歌声を聞かせる「深海より」、ノスタルジックなメロディが心に沁みる「あびばのんぼん」といった楽曲が届けられると場内にしっとりとした雰囲気が広がっていく。最後に演奏されたのは死生観をテーマにしたという「そなちね」。美麗なメロディの中に静かなサイケデリアを宿したこの楽曲をバンドはじっくりと届けていく。終盤で小原は力強くシャウトすると、ギターを床に置き、おもむろにステージ袖に歩き出す。すると演奏を終えたメンバーも彼のあとを追うように退場。フィードバックノイズが爆音で鳴り響く中ライブは終了した。
SATURDAY NIGHT
「SATURDAY NIGHT」先攻のTESTSETは、METAFIVEの派生ユニットとして今年3月に始動したばかり。ボーカルを務めるLEO今井とユニット・KIMONOSを組むZAZEN BOYS・向井秀徳(Vo, G)は4人が奏でる硬質でありながら感情豊かな音楽を「ニュー・クリティカルシニカルアニマライズド・リリカル、鍛冶屋的ハンマービーティング、アンド、フィジカルドライビングディストーショナルナチュラル・シンセサウンザーバンド」と独特の言葉で表現している。背面いっぱいにグラフィカルな映像が流れるステージに登場したLEO今井、砂原良徳、永井聖一(
フィードバックノイズから間髪入れずに演奏された2曲目の「The Paramedics」では、4人のシルエットがスクリーンに投影され、メンバーの背後に設置された機械から照射されるレーザービームが会場を異空間に染める。その後も「Snappy」「Maisie's Avenue」「Musical Chairs」「Peach Pie」「Whiteout」と、間を置かず次々と畳みかけて観客を音の洪水で包み込む4人。ここまでMCを挟むことなくパフォーマンスを続けてきたLEOが唐突に「ここでちょっと1曲だけ、我々“KIMONOSET”と化します」と告げると、舞台袖からふらりと向井が登場し、バンドはKIMONOSのナンバー「No Modern Animal」の演奏を始める。TESTSET仕様にアップデートされたサウンドに乗せ、LEOと向井はひさびさのツインボーカルを披露した。
向井がステージを去ると、強烈なシンセノイズから「Carrion」へ。LEOのボーカルはつぶやくような声から咆哮へと変わる。「Don't Move」で場内の熱気を一段と上げると、TESTSETは最後に「Communicator」を演奏し、黄色く染まったステージにじんわりとした余韻を残した。
広々とした中野サンプラザのステージ中央にぎゅっと密集させる形でバンドセットが組まれると、続いてはZAZEN BOYSの出番。マスクを着けて登場した向井(Vo, G)、吉兼聡(G)、松下敦(Dr)、MIYA(B)は黙々とチューニングを行い、「Matsuri Studioからやってまいりました、ZAZEN BOYS」という向井のおなじみの挨拶から1曲目の「Himitsu Girl's Top Secret」へと突入する。最初の1音で一気に会場の空気を塗り替えた4人は、複雑な拍子を息の合ったアンサンブルで鳴らした。
その後もZAZEN BOYSはチューニングと向井の挨拶を繰り返しながら、「Weekend」「ポテトサラダ」「Cold Beat」と鋭利なサウンドを畳みかけていく。ZAZEN流ダブ「Delayed Brain」ではまどろむようなサウンドがホール内を包み込み、「はあとぶれいく」では向井がスペシウム光線を放つウルトラマンのようなポーズをとる場面も見られた。中野通りから1本入った路地裏で見かけた野良猫の歌「This Is NORANEKO」、さらに「杉並の少年」とJR中央線沿いにゆかりのある楽曲が続き、「WHISKEY & UNUBORE」でZAZEN BOYSのライブはクライマックスへ。TESTSETとの競演について「大変うれしく思っとります」と喜びを語った向井は、「ニュー・クリティカルシニカルアニマライズドバンドの皆さん、ミラーボール持ってきてなかったですか。あったら使ってください」と要求し、最後の曲「Asobi」を演奏。要望通りに回り出したミラーボールの光に包まれながら、向井は何度も「遊び足りない」と叫んだ。
アンコールを求める拍手を受けて再びステージに上がったZAZEN BOYS。向井は「こういうこと試してみようかと思うっちゃけど……出てこなかったら私やりますんで」とつぶやくと、ギターで「KIMOCHI」のリフレインを弾き始める。すると、この曲をたびたび歌っているLEO今井もステージへ。向井は「ニューアニマライズド人間、レオナルド今井」とLEOを紹介すると、2人で「KIMOCHI」を歌い、2組の競演をさらに特別なものとした。
BETA Q「FRIDAY NIGHT」2022年5月20日 中野サンプラザホール セットリスト
D.A.N.
01. SSWB
02. Sundance
03. No Moon
04. Take Your Time
05. Fallen Angle
06. The Encounters
07. Overthinker
08. Anthem
Tempalay
01. 脱衣麻雀
02. SONIC WAVE
03. のめりこめ、震えろ。
04. 未知との遭遇 / my name is GREENMAN
05. どうしよう
06. カンガルーも考えている
07. EDEN
08. 大東京万博
09. 深海より
10. あびばのんのん
11. そなちね
BETA Q「SATURDAY NIGHT」2022年5月21日 中野サンプラザホール セットリスト
TESTSET
01. Full Metallisch
02. The Paramedics
03. Snappy
04. Maisie's Avenue
05. Musical Chairs
06. Peach Pie
07. Whiteout
08. No Modern Animal with This is Mukai Shutoku
09. Carrion
10. Don't Move
11. Communicator
ZAZEN BOYS
01. Himitsu Girl’s Top Secret
02. Weekend
03. ポテトサラダ
04. Cold Beat
05. Delayed Brain
06. はあとぶれいく
07. This Is NORANEKO
08. 杉並の少年
09. WHISKY & UNUBORE
10. Asobi
<アンコール>
11. KIMOCHI
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