折坂悠太が渋谷に作り上げた薮、初の展覧会が本日スタート

折坂悠太が初の展覧会「薮IN」を本日5月13日から東京・渋谷PARCO 4FのPARCO MUSEUM TOKYOにて開催。この記事では事前に行われた内覧会の様子を紹介する。

「薮IN」は“薮”をテーマにした体感型展覧会。立体音響や映像を使った作品が展示されるほか、折坂自身によるインスタレーションやパフォーマンスが行われるなど、会期中に形態が日々変化していく。会場に入ると左手には、最新アルバム「心理」と昨年開催されたツアーの音源を360 Reality Audioで体験できるオーディオルームが。このスペースでは各音源の映像が3壁面を使ってマルチプロジェクション上映されており、聴覚のみならず視覚でも折坂の音楽を体感することができる。さらに奥へ進むと、本人による直筆のステートメントが透明な壁の一面に掲示されている。壁の奥は鏡状になっており、鑑賞者は自身の姿と向き合いながらステートメントを読み進めていくこととなる。

その先に広がる空間では、アルバム「平成」や「心理」のビジュアルを手がけた写真家・塩田正幸による映像作品を上映。また薄暗い廊下を先へ進むと、折坂初の著書「薮IN」に登場するウリボを描いた、本人によるちぎり絵が展示されている。そして会場の最奥に待ち構えているのは、田中菜穂子（月桃雨）による、薮をモチーフにしたインスタレーション空間だ。本物の薮さながらに無数の草木が生い茂るこのスペースには、塩田による環境映像や折坂が手がけた環境音が流れている。また高くそびえ立つやぐらの中では、折坂による実験的なパフォーマンスが不定期で行われ、その際に録音された音が同スペースで使用される。

内覧会では、折坂によるインスタレーションパフォーマンスも行われた。彼はやぐらの中に座り、地べたに置かれた機材やポータブルラジオを操作しながら、詩を読み上げる。また彼はこの展覧会について「この『薮IN』展をいったいどういうふうに説明すればいいかと思って、今日まで苦しかったんですけど、まだワンセンテンスで言えることが見つかっていなくてですね。だけど、それを言葉にしてしまったり、僕や皆さんがうまいことを言えるようになったら失敗かなと思います」「わかりやすいものを求められることがたくさんありますけど、そういう部分に自分も少し自家中毒を起こしていまして、それをなんとかできないかと思って薮を作ってみました」と思いを語った。

この展覧会は5月30日まで開催中。会場ではオリジナルグッズや、展覧会の着想元になった短編小説「薮IN」を含む、エッセイ、論考、対話などを収めた著書「薮IN」の販売も行われている。