原因は自分にある。涙と笑顔でツアー完走、さらなる進化ファンに示し「秋ツアー、そしてその先へ」

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原因は自分にある。が、昨日4月5日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)でツアー「ワンマンライブ げんじぶ空間:case.3」の最終公演を行った。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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昨年4月に念願の有観客での1stワンマンを実現させ、年末には東阪でライブを実施したげんじぶ。今回のツアーは7人にとって初の東名阪ツアーで、3会場で全5公演が行われた。昨年末に行った音楽ナタリーのインタビューで「来年ですよ。僕たちが動くのは!」「こからガーッといきますよ」と2022年の躍進を予告していた彼ら。その勢いを観測者(原因は自分にある。ファンの呼称)に示すべく、メンバーは熱気に満ちたパフォーマンスを繰り広げた。この記事では昼夜の2部にわたり行われた公演を、第2部の模様を中心にレポートする。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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鳥のさえずり、目覚まし時計のアラーム、包丁がまな板に当たるリズミカルな音……開演時刻を迎え鳴り響いた「Overture」に重なるのは、朝の生活を感じさせる音の風景。そこへ1人現れた杢代和人は、晴れやかな笑顔を浮かべて「行ってきます!」と告げる。「げんじぶ空間:case.3」は、難解で複雑な世界観を表現することを得意としてきた彼らのイメージを覆すようなシーンの中で幕を開けた。

杢代に続いて残るメンバーもステージ上段に姿を見せ、7人は「青、その他」「結末は次のトラフィックライト」という2つの最新ナンバーを最初に届ける。共に“報われない思い”を歌いながらも7人の等身大の姿を映し出すこの2曲をまっすぐに歌い届けるメンバーを、「青、その他」では淡い色彩のブルー、「結末は次のトラフィックライト」ではビビッドな赤や緑の照明が照らし出していた。

布をたっぷりと使った白いシャツ姿で歌い踊る7人の無垢な表情を印象付けたオープニングを経て、3曲目の「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」ではメンバーが笑顔で客席に手を振り、長野凌大は「『げんじぶ空間:case.3』ツアーファイナル! 僕たちと皆さんで素敵な思い出を作っていきましょう!」と観測者に呼びかけた。ステージ上の7枚のLEDパネルはメンバーの飾らない表情をアップで捉え、花吹雪が舞う映像演出と共に場内はさわやかな空気感で満たされていった。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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fox capture planをフィーチャリングアーティストに迎えた「以呂波 feat. fox capture plan」では流麗なピアノサウンドが響き渡り、7人は美しい音の渦の中、桜木雅哉を中心とした幽玄なダンスパフォーマンスで観測者を魅了した。この曲を終えるとこの日最初のMCへ。第1部では、オープニングを飾った2曲は連作になっていて「青、その他」のラストと「結末は次のトラフィックライト」の始まりの立ち位置が同じであることや、「結末は次のトラフィックライト」のサビには「けつまつ」を表す手話が使われていることなど、新曲にまつわる“豆知識”が披露された。一方の第2部では、冒頭で「行ってきます!」のセリフを担った杢代が「皆さん、ほかのメンバーのセリフも聞きたいですよね?」と、独断で大倉空人、小泉光咲、武藤潤の3人を選抜し「行ってきます!」のシーンを再現してもらうというコーナーを実施。さわやかにセリフを言った大倉に続き「行ってきますっちゃ!」と故郷の宮城弁風にアレンジした小泉、「武藤潤はどこにいるでしょうーか?」とセットに隠れてから、キメ顔で「行ってきます」と告げた武藤と、3人はそれぞれの個性で杢代の期待に応えてみせた。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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ミステリアスなメロディと巧みな比喩表現を用いた歌詞が意味深なメッセージを感じさせる「柘榴」から始まったパートでは、黒のジャケットを羽織った7人がオープニングとはガラリと雰囲気を変えたダークな世界観で観測者を釘付けにする。道ならぬ恋を歌うバラード「豪雨」では、雨を想起させる青や白色のサーチライトが7人の姿を照らし出す。映像を省いたシンプルな演出の中、メンバーは張り裂けるような思いを歌とダンスに乗せて観客を圧倒した。また、絢爛でジャジーなサウンドとハードな打ち込み音が融合する「J*O*K*E*R」でボーカルの要・武藤が圧倒的な声量で存在感を示せば、ビッグバンド風の華やかなアレンジで心躍るニューヨークの情景を歌う「夢に唄えば」では、長野と吉澤要人が流れるようなダンスリレーを披露してみせるなど、メンバーはそれぞれのポテンシャルを存分に発揮してオーディエンスを楽しませていた。

アバターと共演する原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

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過去の楽曲でアニメーションMVやイラストを用いたジャケットビジュアルを多用し、“2次元と3次元を行き来する存在”と自らを標榜している原因は自分にある。だが、ライブ中盤にはその“げんじぶらしさ”が存分に発揮された初挑戦の演出が盛り込まれた。「嗜好に関する世論調査」でメンバーが7枚のLEDパネルの奥に姿を消すと、その瞬間パネルに映し出されたのは7人のアバターたち。メンバーカラーの衣装をまとった3頭身の“げんじぶメンバー”は、モーションキャプチャ技術を使ってメンバーが実際に自身の動きを吹き込んだ存在だ。3次元の7人からバトンを受け取ったアバターたちはボカロ風に加工された声で歌声も披露し、観測者たちの驚きを誘う。そして、続く「ジュトゥブ」ではアバターたちの歌声に乗せて、7色のカジュアルな衣装に着替えたメンバーが入れ替わり立ち替わりステージへ。アバターとの組み合わせで“7人編成”を保ちつつ複雑な移動を繰り返す、まるでイリュージョンのようなパフォーマンスを見せたのち、ラストには“14人”全員で曲を歌い踊るという、賑やかなステージを披露した。

じゃれ合う原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

じゃれ合う原因は自分にある。(撮影:米山三郎)[拡大]

最新技術を使ってファンを楽しませたシーンを終え、ここで7人は4月6日の配信リリースに先駆けて、新曲「キミヲナクシテ」を観測者に届けた。変則的なビートやメロディ展開の複雑さが特徴的な楽曲だが、高い熱量を持って曲を乗りこなすメンバーの迫真のパフォーマンスを、観測者も息を飲んで見つめる。ステージのあちこちに散らばって曲を歌いつないでゆく7人をスポットライトが順に照らし出した「夜夏」では、ラストサビで情感豊かなボーカルを披露した小泉が最後に見せた含みを残す表情が、場内に深い余韻をもたらしていた。

杢代和人をお姫様抱っこする吉澤要人。(撮影:米山三郎)

杢代和人をお姫様抱っこする吉澤要人。(撮影:米山三郎)[拡大]

大倉が「さあさあこの曲ですよ! まだまだ盛り上がって行きましょう!」と声を上げて客席の空気を切り替えると、この声を合図に吉澤がラップで切り込む。ネオンカラーに輝く光の中でスタートした華やかなEDMナンバー「ギミギミラブ」では7人がオーディエンスにクラップを求めながら「Hey!」と無邪気に飛び跳ね、サビではキュートなキメ顔をカメラや観測者に向けて投げかけた。「ギミギミラブ」からシームレスに展開した四つ打ちのアッパーなダンスチューン「0to1の幻想」では吉澤や桜木、杢代のエッジーなラップが炸裂する。そして7人は、勢いをさらに加速させるようにダンスパフォーマンスのコーナーを展開。杢代をトップバッターに始まったソロダンスリレーでは1人ひとりのキャラクターに合ったダンストラックが用意され、吉澤がバレエ経験を生かした優雅なターンを決めたり、ダンスリーダーの長野がテクニカルなステップを見せたりと、メンバーは自身の持ち味をフルに生かして躍動した。そして、ステージにそろった7人が全員で踊ったのは、原因は自分にある。に改名する前、BATTLE STREET時代に発表された「STARGAZER」の振りをモチーフにしたダンス。グループ結成当初からの大きな進化をしっかりとファンに提示し、メンバーの気迫はクライマックスへ向けて高まってゆく。

ぐんぐんと上昇していった会場の熱気は、続く「藍色閃光」で最高潮に。2ndアルバム「虚像と実像」に収録されているこの曲は、スケール感のあるサウンドとファンタジックな歌詞に乗せて、グループの軌跡やファンとの絆を歌うアンセミックなナンバーだ。ミラーボールの光の粒を宇宙空間に瞬く星の光に見立てた演出の中で、7人は力強い歌とダンスを見せて観測者を牽引。ラストシーンでは横一列になって後ろを振り返り、LEDビジョンに大きく広がった青空を全員で見上げた。

大倉空人(撮影:米山三郎)

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大倉の「皆さん手を挙げて!」という呼びかけに、ステージ上も客席も軽やかなクラップを響かせた「ネバーエンドロール」でライブが最終盤へと差し掛かると、曖昧な関係性の男女の一夜の物語を歌う「半分相逢傘」では、ライブならではのアレンジが観測者の心を奪う。オリジナル音源では、曲中の2人が“共犯関係”を結んだことを決定付けるセリフパートを吉澤が担当しているが、この日の第1部ではそのセリフを桜木が担い、落ち着いた声色で「これでどっちも悪いね」と言い放って客席の声にならない悲鳴を誘っていた。また、前回のツアーでは音源が使用されていた小泉のセリフパートも今回は生で披露され、小泉はステージ上をゆっくりと歩きながらセリフをつぶやいて楽曲の世界観をぐっと深めていた。

武藤潤(撮影:米山三郎)

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続く「幽かな夜の夢」では、ワンコーラス進んだところで楽曲がストップし、場内が一瞬にして静寂に包まれる。すると小泉が1人口にマイクを近付けて「……ありがとう」と優しくひと言。そして彼の言葉に続くように武藤がアカペラでサビを歌い上げ、「何十回何百回でも君に会いたいよ」というメッセージを力強く、まっすぐに観測者へと伝えた。7人の思いが溢れた“夜の夢”から覚めると、吉澤は「ラストはこの曲です」と「青、その他」をタイトルコールする。ライブスタート時には“朝”を表現していた楽曲を最後に置き、1日の流れのようなループを作り上げた7人。“音楽と共に巡り続ける日々”や、“終わらないげんじぶ空間”をファンに想起させるような余韻を残し、7人はステージの奥へと姿を消した。

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)

原因は自分にある。(撮影:米山三郎)[拡大]

7人のデビュー曲にしてセルフタイトルトラックの「原因は自分にある。」で幕を開けたアンコールでは、ツアーファイナルを迎えた今の思いがメンバーの口から語られる。第1部では「バトスト(BATTLE STREET)時代から考えると、こんなにたくさんの方が僕らのライブに足を運んできてくれるのがうれしい」と喜びを語った大倉に続き、長野が「これほどうまくいっていいのか?というほどのスピード感で進んでいて不安になるときもあるけど、隣のメンバー、スタッフ、そして目の前のあなたを見てをライブしていると大丈夫だなって思います。これから大きな景色を見せていくのが恩返しだと思う。誰の手も離さないので、僕たちの背中を見て、付いて来てくれたらうれしいです」とまっすぐに7人の気持ちを伝えた。また第2部では桜木がマイクを握るも、今ツアー中、体調不良で一部ステージに立つことができなかったことを振り返り、涙で言葉を詰まらせてしまう。「いろんな方に迷惑や心配をかけて……」と言葉を絞り出す最年少に、年長の6人は「がんばったよ、まっさ!」「7人でがんばったよね」と声をかける。メンバーに支えられた桜木は「自分に足りないものを知れてよかったし、メンバー6人、観測者、スタッフの皆さんの大切さを改めて知れたので、秋ツアーもがんばって突っ走りたいと思います」と前を向いた。

最後に挨拶を任された杢代は「明日世界が終わるとしたら、僕はライブをすると思う。それくらいライブが好きだし、観測者のことが好きです」と、グループ活動に懸ける熱い思いを吐露。そして「僕らは秋ツアーのその先も見据えて活動しています。着実に夢へと突き進んでいることを感じているので、どうか手を離さずに。1秒でも長くげんじぶのことを感じて、考えて、ライブに足を運んでもらえるとうれしいです。僕らはみんなの人生の原因になれるように進んでいきますので、秋ツアー、そしてその先へと共に歩んでいきましょう」と、よどみない言葉でファンに約束していた。

この記事の画像(全18件)

原因は自分にある。「ワンマンライブ げんじぶ空間:case.3」2022年4月5日 Zepp Haneda(TOKYO)第1部 セットリスト

01. 青、その他
02. 結末は次のトラフィックライト
03. シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
04. 以呂波 feat. fox capture plan
05. 柘榴
06. 豪雨
07. J*O*K*E*R
08. 夢に唄えば
09. 嗜好に関する世論調査
10. ジュトゥブ
11. キミヲナクシテ
12. 夜夏
13. ギミギミラブ
14. 0to1の幻想
15. 藍色閃光
16. ネバーエンドロール
17. 半分相逢傘
18. 幽かな夜の夢
19. 青、その他
<アンコール>
20. 原因は自分にある。
21. 犬と猫とミルクにシュガー

原因は自分にある。「ワンマンライブ げんじぶ空間:case.3」2022年4月5日 Zepp Haneda(TOKYO)第2部 セットリスト

01. 青、その他
02. 結末は次のトラフィックライト
03. シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
04. 以呂波 feat. fox capture plan
05. 柘榴
06. 豪雨
07. J*O*K*E*R
08. 夢に唄えば
09. 嗜好に関する世論調査
10. ジュトゥブ
11. キミヲナクシテ
12. 夜夏
13. ギミギミラブ
14. 0to1の幻想
15. 藍色閃光
16. ネバーエンドロール
17. 半分相逢傘
18. 幽かな夜の夢
19. 青、その他
<アンコール>
20. 原因は自分にある。
21. 黄昏よりも早く疾走れ

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