いぎなり東北産「TOKYO INVADER II」で順調に東京侵略！夏に外堀埋める初全国ツアー開催

いぎなり東北産のワンマンライブ「TOKYO INVADER II」が3月26日に東京・TOKYO DOME CITY HALLで開催された。

東北地方を中心に活動しつつ、東京・日本武道館で単独公演を開催することを目標に掲げているいぎなり東北産。昨年10月に東京・TACHIKAWA STAGE GARDENで“大一番ライブ”として「TOKYO INVADER」に行った彼女たちは、さらに“東京侵略”の歩みを進めるためにTOKYO DOME CITY HALL公演に挑んだ。開演前にはピチカート・ファイヴ「東京は夜の7時」など東京をモチーフにした楽曲が流れ、東京ディズニーランドのエレクトリカルパレードのテーマ曲によって会場内が期待感で満ちたところでいよいよライブが開幕。インベーダーゲームをオマージュしたオープニング映像の上映後、いぎなり東北産は椅子を手に持って堂々とステージへ。1曲目に「深夜特急」を披露し、「夢（きみ）がいる ここは､彼方―― ここは､TOKYO」というグループを取り巻く状況、メンバーのリアルな思いに重なる歌詞を力強い歌声で響かせる。K-POPをイメージしたナンバー「Chim Chim Chim Knee」では椅子を使った大人びたパフォーマンスが展開され、椅子の上に立った北美梨寧の動きがスクリーン上の映像とリンクする演出に観客の目が釘付けになった。

ライブ冒頭はこうしたシリアスな表現が連続したが、その空気は疾走感あふれるナンバー「いただきランチャー」で一変。「m!a!k!u!r!a!n!a!g!e!」と声をそろえる「青春修学旅行」の曲中には突如パフォーマンスが中断され、「チキチキ 当てちゃーやーよ チーム対抗枕当て合戦!!」がステージ上でスタートした。このコーナーは青と赤のビブスを着て2チームに分かれたメンバーが、新ユニット曲を懸けてドッジボールのように枕を投げ合い、真剣勝負を繰り広げるというもの。味方が次々と脱落していく中、青組の吉瀬真珠が粘り強い健闘を見せて注目を浴びるも、最終的に赤組が試合を制した。突然のカオスな展開に息を切らすメンバーもいたが、9人は気持ちを切り替え、勢いを落とすことなくそのままライブを続行。最初のMCでは大勢の皆産（いぎなり東北産ファンの呼称）で埋まった場内を見渡して興奮の声を上げたほか、藤谷美海が「山形県産のアリアナ・グランデことジョニー・デップでーす！」とボケるなど、いつもの調子で自己紹介して会場の空気を和ませた。

メンバーがアニメのように1人ずつ変身する映像を経た次のブロックでは、衣装チェンジしたいぎなり東北産が3月5日にリリースしたばかりの1stミニアルバム「武道館リハ」の収録曲を披露。1980年代のニューウェイブを彷彿とさせるサウンドが耳に残る「ニュートロ」、ひたすら陽気なナンバー「テキーナ」と続け、会場の熱気を右肩上がりに上昇させていく。しかし続く「真っ直ぐに、明日がある」が始まると、場内はしっとりと落ち着いた雰囲気に。ボーカルを担当する北美、橘花怜、安杜羽加の3人の真っ直ぐ透き通った歌声が会場中の皆産を優しく包み込んだ。曲の終盤にはステージの上から布が垂れ下がり、そこにメンバーのシルエットが浮かび上がるという幻想的な演出も。そのセンチメンタルなムードのまま、日々の活動の中でメンバーに密着した映像がスクリーンに映し出された。

メンバーの多彩な個性と同じように、決して一辺倒にならないのがいぎなり東北産のライブの特徴。映像に合わせて一旦ステージから退場した9人はタオルを片手に再登場し、「リライトガール」で勢いよくライブの後半戦をスタートさせる。「Papa」ではメンバーが入れ替わりでステージに現れ、1人ずつ多彩な歌と表情で自身をアピールした。さらにここから盛り上がり曲を詰め込んだメドレーが展開され、「ウィンターのアゲアゲバッコーン！」「BUBBLE POPPIN」「Fly Out」「伊達サンバ」など、次々に畳みかけられるアッパーチューン7曲に観客のテンションがぐんぐんと引き上げられていく。清楚な衣装にチェンジして披露されたバラード曲「I decided」では再びTOKYO DOME CITY HALLがエモーショナルな空気に染まり、いぎなり東北産の高い歌唱力が存分に発揮された。

編成が休みなく変わる激しいライブの途中、律月ひかるがステージ袖で転倒し、大事をとってこれ以降のパフォーマンスを欠席するというアクシデントが発生。それでもいぎなり東北産は動揺を見せることなく、笑顔で皆産を楽しませ続ける。改めて客席を見渡した橘はここで「この景色を見て、一歩ずつだけど確実に前に進めているのかなと。最近は“東京侵略”というテーマを掲げてみんなでがんばってきたけど、ここでお知らせがあります。私たち今まで東京にたくさん来てましたけど、これからは……東京に来ません！」と宣言。まさかの言葉が飛び出したあとに7月より東京公演のない初の全国ツアー「東京行かないツアー ～外堀を埋めろ！～」が行われることが発表され、場内が大きな拍手で包まれた。葉月結菜は「東京を侵略するには東京だけを攻めていてもダメだと思うんですよ。なので、今回のツアーで東京の周りを固めて、11月の中野サンプラザでドーンと東京に侵略しようじゃないかと」と、11月23日に開催が決定している東京・中野サンプラザホール公演に向けたツアーであることを説明。グループの未来に思いを馳せる皆産の期待を大いに高めた。

その後、いぎなり東北産は「武道館リハ」の収録曲よりYouTubeでミュージックビデオが公開されている応援ソング「シャチョサン」をライブ初披露。ポジティブかつハイテンションな歌で聴く者の背中を明るく押した。さらに彼女たちは和のテイストを取り入れた「HANA」、急展開する曲調や「CD買って！ライブにおいで！」と激しくお願いする歌詞が強烈な「あなたは」を間髪いれずにパフォーマンス。大量のスモークが焚かれる中、「Burnin' Heart」でオーディエンスを熱く盛り上げてステージをあとにした。

メンバーがアンコールを叫ぶ音声が流れ、それに合わせて観客が手拍子を鳴らして場内にさらなる一体感が生まれたあと、いぎなり東北産はペンライトを持って再びステージへ。「Trophy Girl」「線の物語」をテンション高く歌唱し、最後は代表曲であるキラーチューン「天下一品 ～みちのく革命～」でライブを大団円のフィナーレに導いた。「天下一品 ～みちのく革命～」の披露中にはメンバーの目に涙が光る場面もあり、曲が終わると橘は「これからもいろんな困難があると思うし、いろんな壁もあると思うけど、この9人と皆産となら絶対に乗り越えていけると思います。皆産からからもらった人生の大切な時間を絶対に最高なものにして返していくので、これからも私たちと一緒にいろんな景色を見に行ってくれたらうれしいです！」とあふれんばかりの思いを全力で皆産にぶつけていた。