昨年末放送の「第72回NHK紅白歌合戦」にmillennium parade×Belleとして出演するなど、すっかり時の人となった中村。今年初のライブとなるこの公演は、彼女にとって最大規模の会場でのワンマンライブとなった。
大勢の観客が見守る中ステージに現れた中村は、アップライトピアノの前に腰かけ、アドリブで歌声を紡ぐ。その後「皆さんの分まで精一杯楽しもうと思います。皆さんも楽しんでね! よろしくお願いします!」とマイクを通さず挨拶し、グランドピアノを弾きながら「東京で一番大きいところで、改めて音楽と向かい合いたいと思ったの」と現在の心境を歌にする。続けて定番曲「GUM」や複雑なリズムが特徴的な「アイアム主人公」、評論家へのアイロニカルな言葉を歌に乗せた「悪口」などが立て続けにパフォーマンスされた。
その後彼女は、「昔はピアニストになりたかった。楽しそうにピアノを弾いてる人がうらやましかった」と過去の思いを打ち明けながら「SHE'S GONE」に突入し、まっすぐな歌声を天高くまで響かせる。「年末にはここで紅白に立ってたなんてね。私もわからないのよ。ピアニストになりたかったのに気付けば歌ってるのよ」という言葉に続けて披露されたのは、「未来はわからないことばかりだけど 転がるように生きるの」と歌う「POiNT」。曲中に中村が「ここここここここ 転がるように愛して」と歌うと、突如緑色のドレスを身に纏った人物が現れ、走りながらステージを横切る。中村と向かい合わせに設置されたグランドピアノに着座したその人物は、ピアニストの
その後も2人は向かい合う形でピアノを演奏し、お互いに目を合わせながら「さよならクレール」をパフォーマンス。楽曲の後半では上原のピアノに乗せて、中村が笑みをこぼしながらスキャットを披露した。続けておもむろに立ち上がった中村がハンドマイク1本で歌唱したのは「忘れっぽい天使」。細やかなニュアンスの変化を見せる中村の歌声と呼応するように、上原のピアノの音色もまた無数の表情を覗かせる。激しさと穏やかさを行ったり来たりする2人のパフォーマンスがしばしの間観客を魅了し、演奏後には大きな拍手が送られた。
上原があっという間に舞台を去り、ステージに1人残された中村は「1月の末くらいに誘ったんですよ。ひろみちゃんって呼んでねと言われたんですけど、緊張してまだ1回も呼べてないです」と今回のコラボの裏側を明かす。彼女はステージに直接置かれたキーボードを弾きスペイシーな音を出すと、その余韻が残る中、新曲(タイトル未定)で伸びやかな歌声を聴かせる。その後「アイミル」が始まると、客席で徐々に手拍子が発生。それを受けて中村が「ものすごいテンポ感でやろうと思っているので、皆さんがんばってくださいね」「ごめん、テンポ変わる!」と笑顔で観客に向けて告げるなど、温かい空気でパフォーマンスが続き、そのまま本編が締めくくられた。
アンコールで中村は、この日配信がスタートしたばかりの新曲「Hank」を披露する。続けて中村の「今日素晴らしい演奏をしてくれたひろみちゃんを呼ぼうかな。今日も素晴らしい音楽でした。ゲスト、上原ひろみ!」という言葉を合図に、上原が再び登場。「口うつしロマンス」を2人で演奏し、めくるめくような早弾きで観衆を圧倒する。さらにダブルアンコールでは、この日の前半に披露された「悪口」を再び2人で演奏。自由奔放に動き回る千変万化の音色と歌声で観客を最後まで釘付けにし、2人は満面の笑みで舞台を去って行った。
「うたのげんざいち 2022 in 東京国際フォーラム ホールA」2022年2月4日 東京国際フォーラム ホールA セットリスト
01. アドリブsolo
02. GUM
03. アイアム主人公
04. 悪口
05. シャロン
06. SHE'S GONE
07. POiNT(with
08. さよならクレール(with 上原ひろみ)
09. 忘れっぽい天使(with 上原ひろみ)
10. 新曲(タイトル未定)
11. アドリブsolo
12. アイミル
<アンコール>
13. Hank
14. 口うつしロマンス(with 上原ひろみ)
<ダブルアンコール>
15. 悪口(with 上原ひろみ)
Masato Takino @takino
中村さん、あの伝説をもう1度って歌ってたけど、2月の国際フォーラムで演ってたのですね!
中村佳穂、シークレットゲスト上原ひろみと自由な音楽を奏でた過去最大ワンマン(ライブレポート / 写真12枚) - 音楽ナタリー https://t.co/gY8t2jsud5