「ひなくり」は“けやき坂46”時代の公演「ひらがなくりすます2018」を受け継ぎ2019年にスタートした日向坂46のクリスマスライブ。2019年のステージでは、1年後の2020年12月に東京・東京ドームで開催することを発表したが、新型コロナウイルス感染拡大影響を受けて公演は延期となり、無観客生配信という形で実施された。3回目の開催となった今年の「ひなくり」には2日間で約2万4000人のおひさま(日向坂46ファンの呼称)が集い、さらに生配信で全国各地のおひさまたちがライブの様子をリアルタイムで楽しんだ。
2日目の開演直前、3期生の上村ひなの、髙橋未来虹による場内アナウンスが流れると、会場のおひさまたちはスティックバルーンを叩いて鳴らし、ライブ前から大盛り上がり。「今日はクリスマス。外は寒いけど、この会場を暑くする準備はできてるかー? おひさま、盛り上がっていくぞー!」という2人の掛け声でスティックバルーンの音はさらに大きくなり、いよいよライブがスタート。おなじみ「OVERTURE」に乗せてダッフルコート風の衣装で登場した日向坂46は、最新シングル「ってか」のカップリング曲「アディショナルタイム」でライブの幕を開けた。療養中の小坂菜緒を除くメンバー21人が、横に広い幕張メッセのステージに広がり、息の合ったフォーメーションを見せる。2曲目の「膨大な夢に押し潰されて」ではステージ頭上から降りてきたネオン菅のボックスに入ったメンバーが横一列に並ぶ迫力あるパフォーマンスを展開した。
続けて4thシングル「ソンナコトナイヨ」を歌い終えたところで、メンバーは「メリークリスマース!」と挨拶。キャプテン佐々木久美は「最初からギアぶち上げですね」とおひさまの盛り上がりぶりに興奮した様子で、「クリスマスというだけでテンションが上がるのに、さらにライブってことで本当にもう……フォー!」と言葉にならない叫び声を上げた。渡邉美穂は「今日はこの会場の全員の人と目を合わせる勢いでいきたい」とこのあとの展開を匂わせる。ライブを再開し、ステッキを使ったかわいらしいダンスを加えた「アザトカワイイ」を全員で歌うと、次は1期生メンバーが「好きということは…」を歌いながら1人ひとりトロッコに乗ってアリーナを移動。続いて2期生も「世界には Thank you!が溢れている」を歌いながらトロッコに乗り、渡邉は予告通りおひさまたちと目を合わせながら手を振って移動する。3期生の4人はアリーナ後方から現れて「この夏をジャムにしよう」を歌い、トロッコに乗り込んで笑顔を振り撒いた。アリーナ後方が盛り上がる中、前方のステージには加藤史帆が1人で立ち、高い櫓の上でソロ楽曲「嘆きのDelete」をクールに歌唱。生配信のカメラがパンして後方のステージに視点を変えると、富田鈴花と松田好花の2人組ユニット・はなちゃんずがアコースティックギターを弾きながらユニット曲「まさか偶然…」を歌い、場内をアットホームなムードで満たした。
会場のあちこちを使った目まぐるしい展開ののち、後方ステージにそろった日向坂46は氷雨が降りしきるような幻想的なライティングの中で3rdシングル「こんなに好きになっちゃっていいの?」を披露。冬らしい白いニット衣装で華麗に踊り、切ない表情と歌声で楽曲の世界観を表現した。続けて同シングルのカップリング曲「川は流れる」を歌ったところで2度目のMCタイムへ。クリスマスの思い出を語り合い、東村芽依の「何年か前の雪が降ったホワイトクリスマスの日、雪だるまを作った」というかわいらしいエピソードや、河田陽菜の「本物のトナカイを見たことがあります。ウソです。普通の一般的なクリスマスを過ごしてました」という突拍子もない冗談で大いになごんだ。
「それでは後半戦、出発進行ー!」とキャプテン佐々木が合図を出すと、突然場内に大きな汽笛の音が鳴り響き、機関車の形をした大きなフロートが姿を表す。メンバーは全員で機関車に乗り込み、「こんなに好きになっちゃっていいの?」と「何度でも何度でも」を歌いながら会場を1周。「日向坂」でメンバーの半数が機関車を降り、あとの半数は反対側のステージへと移動する。ピースフルな雰囲気から一転、2つのステージに別れたメンバーはそれぞれ赤と青のドレスに着替え、激しいダンスを披露。そのままの勢いで「My fans」へと突入し、向い合ったステージでダンスバトルを繰り広げるようにパフォーマンスした。青いドレスのメンバーがトロッコで移動し前方ステージで合流すると、おひさま人気の高いダンスチューン「キツネ」へ。畳みかけるような展開でアリーナの熱気は急上昇。メンバーと和傘を持ったダンサーが瞬時に入れ替わり、その間にメンバーは白い衣装に早着替えしてファイティングポーズで構える。するとスクリーンに巨大なニンジン型の生物が現れる。最新シングル「ってか」のミュージックビデオに登場した巨大ニンジンだ。金村美玖をセンターに据えた日向坂46は、スモークや火柱が上がり紙吹雪が舞うド派手な演出の中、巨大ニンジンと戦うようなパフォーマンスでおひさまの目を惹き付けた。
日向坂46はこの勢いをさらに加速させるように、目の前、そしてカメラの向こうで生配信を楽しむおひさまたちを煽り、ここで日向坂46ライブの起爆剤と言えるキラーチューン「誰よりも高く跳べ!2020」を投下。キャプテン佐々木の「ひなクリラスト、跳べー!!」という叫び声に合わせて場内のおひさまは一斉にジャンプした。ピンクのサンタ風衣装に着替えた日向坂46が「思いがけないダブルレインボー」を歌うと、広いアリーナに7色のペンライトで作られた巨大な虹が出現。最後はこの虹の中を、21人が横1列になって「JOYFUL LOVE」を歌いながらトロッコで移動し、金色の紙吹雪が舞う中でピースフルにステージを終えた。
メンバーが去ると、場内のおひさまたちはスティックバルーンを鳴らしてアンコールを求める。Tシャツに着替えた日向坂46は再びステージに上がり、「おひさまとのひなクリしか勝たんっ!」という加藤の声を合図に5thシングル「君しか勝たん」を披露した。2年ぶりとなった有観客での「ひなくり」に大満足な様子のメンバーだったが、丹生明里は「この会場でやりたいことが1つありまして……」と、大好きなマンガ「ドラゴンボール」で孫悟空が放つ「かめはめ波」をおひさまのウエーブで実現させたいと提案。「オラに力をわけてくれー! かーめーはーめー波ーっ!!」と丹生が叫びながらポーズを決めると、おひさまたちは見事なウエーブで波動を表現し、素晴らしい団結力をメンバーに見せつけた。また影ナレを務めた上村は「1年の中で一番クリスマスが好きで。だから『ひなくり』も一番好きなんです。今日はたくさんのおひさまの皆さんが集まってくださって、配信でも私たちを観てくださってる皆さんがたくさんいるんだなーと思ったら、感謝の気持ちでいっぱいになりました」と「ひなくり」が開催できた喜びをしみじみと語った。
「いや本当に幸せだね。こんなたくさんの方とクリスマスを過ごしてるって……世界一の空間でしょ」と誇らしげに語ったキャプテン佐々木は、「ありがとうの言葉では足りないくらい感謝の気持ちでいっぱいです。もっと恩返しをしたいということで……1つ発表があります」と、ここで日向坂46のデビュー3周年ライブ「3周年記念MEMORIAL LIVE ~3回目のひな誕祭~」を3月30、31日の2日間にわたって開催することを報告。そしてその会場が、東京ドームとなることも併せて発表された。東京ドームは彼女たちがオリジナル楽曲「約束の卵」の中で「夢見る者の約束の彼の地」「一緒に歩いて 一緒に辿り着こう」と歌ってきた目標地点。佐々木は「2019年に発表したときは『私たちで大丈夫かな』と不安だったけど、東京ドームでライブをやるグループになったという自覚と覚悟は、この2年間で持てました」と力強くコメント。そして彼女たちは気持ちも新たに、実感をこめて「約束の卵 2020」を晴れやかな表情で歌い上げた。
日向坂46「ひなくり 2021」
2021年12月25日 幕張メッセ 国際展示場9~11ホール セットリスト
01. アディショナルタイム
02. 膨大な夢に押し潰されて
03. ソンナコトナイヨ
04. アザトカワイイ
05. 好きということは…
06. 世界には Thank you!が溢れている
07. この夏をジャムにしよう
08. 嘆きのDelete
09. まさか偶然…
10. こんなに好きになっちゃっていいの?
11. 川は流れる
12. ホントの時間
13. 何度でも何度でも
14. 日向坂
15. My fans
16. キツネ
17. ってか
18. 誰よりも高く跳べ!2020
19. 思いがけないダブルレインボー
20. JOYFUL LOVE
<アンコール>
21. 君しか勝たん
22. 約束の卵 2020
日向坂46「3周年記念MEMORIAL LIVE ~3回目のひな誕祭~」
2022年3月30日(水)東京都 東京ドーム
2022年3月31日(木)東京都 東京ドーム
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日向坂46、おひさまと過ごす「ひなくり」を経て“約束の彼の地”へ https://t.co/msEloUseWf