XIIX、最新ツアーでアルバム「USELESS」を再構築「僕たちは死ぬまで音楽を続けるべき」

XIIXの全国ツアー「XIIX LIVE TOUR『USELESS+』」のファイナル公演が、12月16日に東京・東京ガーデンシアターで行われた。

XIIXは今年2月に2ndアルバム「USELESS」をリリースし、6月より東名阪ツアーを開催。半年のインターバルを置き、12月6日から全国5会場を巡る今回のツアー「USELESS+」をスタートさせた。このツアーでは6月の公演よりもさらにブラッシュアップしたパフォーマンスを披露し、全国のファンを楽しませた。

ライブの1曲目を飾ったのは「Halloween Knight」。須藤優（B）が刻む緩急の効いたビートで会場を揺らしたあとは、客席から小気味よいハンドクラップが起こった「LIFE IS MUSIC!!!!!」、さらに「フラッシュバック」へと続く。斎藤宏介（Vo, G）はアルバム「USELESS」、そしてツアーについて「いつかライブでできることを夢見て作ったアルバムだったのでツアーが終わってしまうのが惜しいんですが、緻密に作ったものをぶっ壊して再構築してきました」と語り、観客の期待を高めた。

その後はHIRORON（DJ, Manipulator）のスクラッチと斎藤の切なげな歌声が絡み合った「ブルー」、鮮烈な逆光が楽曲の世界観を印象づけた「Light & Shadow」でオーディエンスを圧倒。どことなくノスタルジックな雰囲気を持つ「おもちゃの街」で会場の空気を和らげたのち、「No More」の軽やかなサウンドを届けた。MCで斎藤からツアーの感想を尋ねられた須藤は、半年を経て行われた「USELESS+」について「あのときとは全然違うな、と。いいツアーだと思います」としみじみと語る。ここでサポートメンバーがステージを離れ、斎藤と須藤の2人だけでのアコースティック形式でのパフォーマンスへと突入した。

このパートでは最初に、2人が初めて制作した楽曲で2020年リリースのアルバム「White White」の収録曲「E△7」をルーパーを駆使したアレンジで披露。さらに斎藤は「僕自身はアコースティックライブというものに興味がなかったんだけど、ある意味バンドよりも熱が伝わる歌が歌えることに気付いて。バンド以上に熱い、2人だけの曲を作りたいと思って作りました」と語り、2人による音源制作プロジェクト「in the Rough」の第4弾として発表された「ハンドレッド・グラビティ」を演奏した。斎藤と須藤のセッションが加速していき、エモーショナルなギターとベースが響き合う展開に、オーディエンスは息を呑んで聴き入った。

ライブ後半戦は再びサポートメンバーが加わっての「ilaksa」でスタート。スモークが立ち込める幻想的な空気の中で演奏された「ホロウ」、疾走感に満ちたバンドサウンドで場内の熱気を高めた「アカシ」に続き、「Stay Mellow」のイントロでは斎藤と須藤が楽しげにソロの掛け合いを繰り広げる。「Answer5」の間奏ではサポートの河村吉宏（Dr）、HIRORON、山本健太（Key）も華麗なソロパートを披露し、観客の大喝采を浴びた。ラストナンバー「like the rain」に入る前、斎藤は「思い上がりかもしれないけど、僕たちは死ぬまで音楽を続けるべき人間だと思っています。死ぬまで続くと思うと途方もないんだけど、それでも音楽に戻ってきてしまうのは今日みたいな日があるからです」とこの日のステージへの熱い思いを明かした。

アンコールで斎藤は2022年の抱負を「来年はとってもがんばります！」と明かし、須藤も「今年の倍やろう！」と意気込む。斎藤は「今日の中盤でやったような2人だけのライブもいいし、みんなの想像の斜め上を行くようなこともやれれば」と今後の展望を語った。一方、ツアーのグッズTシャツを着た須藤は「グッズを作ること、自分が身につけたいと思うものをみんなと共有できることが楽しかった」と、自らのバンドとしてのツアーの喜びを笑顔で話していた。

ツアーを締めくくる最後の楽曲「ユースレス・シンフォニー」では客席の照明が灯り、斎藤と須藤は場内を隅々まで見渡す。ファイナルの瞬間をオーディエンスと共有するかのように楽しそうな表情を浮かべる2人に、客席からは惜しみない拍手が送られた。演奏を終えた斎藤は「またいい曲作って帰ってきます」と宣言し、須藤とともにステージを去っていった。