10月にニューアルバム「心理」をリリースした折坂。このツアーは同アルバムを携えて行われたもので、全9公演が開催された。このツアーファイナルは追加公演として実施され、折坂はアルバムのレコーディングにも参加したyatchi(Pf)、senoo ricky(Dr)、宮田あずみ(B)、山内弘太(G)、ハラナツコ(Sax)、宮坂遼太郎(Per)とともに重奏編成でパフォーマンスを届けた。
開演時刻ちょうどに客電が消灯すると、青い照明だけが舞台を照らすほのぐらい会場に、インスト曲「kohei」が流れ出す。「爆発」のイントロとともにステージが明るい光に照らし出されると、7人の姿があらわに。広々としたステージには、銀色のサバイバルシートに覆われた謎の物体が点在している。その後折坂たちは「心」「悪魔」と最新アルバム「心理」のナンバーを立て続けに披露。ドラムとパーカッションが刻む複雑なビートにサックスの優雅な音色、ウッドベースの重厚なサウンドやギターとピアノの流麗な旋律と、重奏ならではの豊かな音の世界に観客を誘っていく。
中盤では折坂による独唱のパートも。1曲目はツアー中毎公演異なる楽曲が披露されてきたが、今回選ばれたのはボブ・ディラン「I Shall Be Released」のカバー「河をこえて」。折坂は優しく伸びるスポットライトの光を浴びながら、アコースティックギター片手にしなやかな歌声を響かせる。その後彼はギターをかき鳴らしながら「夜学」を披露し、鬼気迫る声で怒涛のように言葉を紡いだ。さらに途中で楽器隊が現れ、再び重奏編成に。プログレッシブな展開の演奏で観客を圧倒し、そのまま「鯱」「荼毘」へと続けた。
「友達と一緒に作った曲をやってみます」という言葉に続けて演奏されたのは、イ・ランとのコラボ曲「ユンスル」。折坂はたおやかな歌声をじっくり聞かせ、そのまま「春」へとシームレスにつなぐ。後半には「坂道」「さびしさ」と定番のレパートリーをパフォーマンス。「さびしさ」のアウトロでは荒々しいセッションが繰り広げられ、演奏が続くにつれてその激しさは増していった。そして7人は「心理」のラストナンバーでもある「鯨」を演奏。楽曲が終盤を迎えると、徐々にステージの明かりが落ち始め、やがて折坂たちは暗闇に吸い込まれていく。真っ暗な会場に残響音だけがこだまする不穏な時間がしばし続いたあと、静寂の訪れとともに舞台は明転。するとそこに7人の姿はなく、舞台上には楽器や機材、そしてサバイバルシートの下に眠っていた脚立やパイロンだけが残されていた。
折坂悠太「心理ツアー」2021年12月3日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) セットリスト
01. kohei
02. 爆発
03. 心
04. 悪魔
05. 揺れる
06. 朝顔
07. 針の穴
08. トーチ
09. 口無し
10. 河をこえて(独奏)
11. 夜学(独奏)
12. 鯱
13. 荼毘
14. 炎
15. 星屑
16. ユンスル
17. 春
18. 坂道
19. さびしさ
20. 鯨
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折坂悠太の初ホールツアーが閉幕、7人の重奏編成で作り出した豊かな音の世界 https://t.co/pC85SLaWwN