HYDEソロ20周年の集大成「黑ミサ」和歌山公演で故郷への思いを歌う

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HYDEのオーケストラコンサートツアー「20th Orchestra Concert HYDE 黑ミサ 2021 Wakayama」が、11月23日と24日に出身地の和歌山・和歌山ビッグホエールにて開催された。

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HYDEは2020年12月から今年2月にかけてアコースティックツアー「HYDE LIVE 2020-2021 ANTI WIRE」を、6月からはソロ活動20周年を記念したオーケストラツアー「20th Orchestra Tour HYDE ROENTGEN 2021」を開催。さらに夏には京都・平安神宮にてスペシャルコンサートを、10月には千葉・幕張メッセ国際展示場でハロウィンを彩るコンサート「20th Orchestra Concert HYDE 黑ミサ 2021 Halloween」を行うなど、精力的にライブを展開してきた。今回の「黑ミサ」和歌山公演は、これらのアニバーサリーイヤーを巡る活動の集大成として行われた。この記事では2日目24日の模様をレポートする。

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開演時刻を迎えたステージにオーケストラのメンバーがスタンバイし、続いて中央から逆光に照らされたHYDEがゆっくりと登場した。最初の曲はソロ1stアルバム「ROENTGEN」の収録曲「WHITE SONG」。重厚なストリングスの低音とHYDEの深みのある歌声が溶け合い、「黑ミサ」の世界へと観客を引き込んでいく。「EVERGREEN」を優しく語りかけるように歌ったHYDEは、故郷に集まったファンに向け「ようこそ『黑ミサ』へ。ようこそ和歌山へ」と挨拶した。

2019年1月以来となる和歌山での「黑ミサ」に、HYDEは「次は10年後かな、と思っていましたが3年も経たない間に帰ってまいりました」と笑顔を見せ、その理由を南海電鉄とのコラボ車両「HYDEサザン」の運行期間中に「ファンにこの電車に乗ってライブを観に来てほしい」と考えていたからと明かし「実現してうれしいです」と語った。歓声を送ることができない観客に向け、HYDEは「声は出せないけどその分じっくり堪能してください。僕は褒められると伸びるタイプなので、拍手で褒めてくれるといい歌が歌えるんじゃないかと」と呼びかけ、さっそく大きな拍手を浴びていた。

「20th Orchestra Concert HYDE 黑ミサ 2021 Wakayama」の様子。

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その後は1stアルバム「ROENTGEN」に続く作品として現在制作中のアルバム「ROENTGEN 2」に収録予定という未発表の新曲「SMILING」「THE ABYSS」を連続で披露。「雪が降ることで悲しみをリセットする曲」という哀切なメロディの「SMILING」では、スクリーンに映るHYDEの姿には雪が舞い、楽曲の世界観を表現する。退廃的なサウンドに乗せて絶望を歌う「THE ABYSS」のあとは公演当日にシングルリリースされた「FINAL PIECE」が披露された。HYDEは和歌山県内のホテルで撮影したこの曲のミュージックビデオについて触れつつ「もう1、2本は和歌山で撮りたいと思っています」と話し、故郷への愛を感じさせた。

中盤のMCでHYDEは今年行ってきたさまざまなライブを振り返り、中でも平安神宮でのコンサートが印象的だったと語る。自身が小学6年生のときに修学旅行で平安神宮を訪れていたことに公演終了後に気付いたというHYDEは「僕の人生はその頃変わったかもしれません。前向きな人間になれた、僕の土台になったのは和歌山での青春時代です」としみじみと話した。京都にまつわる思い出を明かしたあとは、同じく京都の東寺でMVを撮影した「ZIPANG」、さらに「Red Swan」と、YOSHIKIとのコラボレーション曲を連続で披露。ソロの楽曲とはまた異なるエモーショナルなサウンドで場内の空気を染め変えた。

「ここからは少し激しく盛り上げていきたいと思います」と宣言したHYDEは、曲に入る前に自身の両親が来場していることを即興で歌いながら明かし「がんばりましょう!」と自分を励ます。観客を一瞬和ませたあとに披露されたのはアッパーなジャズアレンジの「DEFEAT」。トランペットやサックスの鮮烈な音色とHYDEの時に華やかな、時に攻撃的なボーカルが響き合い、場内の熱気を高めた。HYDEの口笛から始まった「DEVIL SIDE」は、「黑ミサ」ならではのゆったりとしたアレンジに。HYDEに促されて起きた手拍子で会場が1つになっていった。

続くMCでHYDEはL'Arc-en-Cielが今年結成30周年を迎えたことにも触れた。結成前の21歳のとき大阪へ行こうとしていたものの機会がなかったというHYDEは、母親が「若いうちに行け」と貸してくれた資金で大阪へ進出したと話し「それから1年もしないうちにL'Arc-en-Cielが結成されて……あれがなかったら今の僕はここにいない、すごい投資だったと思います」と当時のエピソードを明かした。そんな言葉に続いてL'Arc-en-Cielの「flower」と「forbidden lover」を歌う。ピアノとギターを中心としたシンプルなアレンジの「flower」、ダイナミックなオーケストラアレンジによって曲の深みが増した「forbidden lover」と、それぞれ異なる演出でファンを魅了した。

左から玉置成実、HYDE。

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そしていよいよ今回のゲストである、同じ和歌山出身の玉置成実がステージへ。幼い頃に住んでいた地域がHYDEと近かったという玉置は、人生で初めて観に行ったライブが1999年、自身が11歳のときにL'Arc-en-Cielが開催した野外ツアー「1999 GRAND CROSS TOUR」の大阪公演だったという思い出を話す。さらに2人は最寄り駅や子供時代に通っていたゲームセンターの話などコアな和歌山トークに花を咲かせ、オーディエンスを楽しませた。和やかなやり取りに続いてはHYDEが中島美嘉に提供した「GLAMOROUS SKY」、そして「1999 GRAND CROSS TOUR」でも披露された「HONEY」をデュエット。「GLAMOROUS SKY」では玉置が、「HONEY」ではHYDEがメインボーカルを取り、美しいハーモニーで魅了した。

HYDEが玉置を見送ったのち、ひと呼吸置いて披露されたのは壮大なアンサンブルの「BELIEVING IN MYSELF」。HYDEは今年自身が40本にわたって行ったライブを「ルールを守りながら安全にライブをする戦いでもありました。メンバーとスタッフ、ファンの皆さんの努力のおかげです」と振り返り、「これからも出しゃばりすぎない程度に和歌山推しを続けたいと思います。今回も地元の人にたくさん協力していただきました。本当にありがとうございます」と感謝の思いを述べた。最後に披露されたのは「MEMORIES」と「NOSTALGIC」。「MEMORIES」ではHYDEが和歌山の人々に思いを届けるように、会場を見渡しながら「次の人生へ生まれ変わっても皆に会いたい」と熱唱する。センチメンタルな空気が場内を包むが、「NOSTALGIC」では「黑ミサ」ならではのエモーショナルなアンサンブルを届け、20周年の集大成をアピールした。

いったんステージを降りたあと、大きな拍手に応えて再び現れたHYDEは「お互いに元気をもらえるコンサートは悪いものじゃない、それを信じて40本のライブができました。みんなで勝ち取ったコンサートです」とこの1年間への思いを告白。「またみんなに会いたいと思える今日でした。本当にありがとうございました」と目を潤ませながら感謝の思いを語り、名残惜しそうにステージを去っていった。

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「20th Orchestra Concert HYDE 黑ミサ 2021 Wakayama」2021年11月24日 和歌山ビッグホエール セットリスト

01. WHITE SONG
02. EVERGREEN
03. SMILING
04. THE ABYSS
05. FINAL PIECE
06. DEPARTURES
07. ANOTHER MOMENT
08. ZIPANG
09. Red Swan
10. DEFEAT
11. AFTER LIGHT
12. MAD QUALIA
13. DEVIL SIDE
14. flower
15. forbidden lover
16. GLAMOROUS SKY with 玉置成実
17. HONEY with 玉置成実
18. BELIEVING IN MYSELF
19. MEMORIES
20. NOSTALGIC

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撮影:岡田貴之、田中和子

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