2013年に大阪芸術大学の軽音楽サークルにて結成されたヤバイTシャツ屋さん。2015年に本格的な活動を始め、2016年11月にメジャーデビューを果たした。Zeppをはじめとするライブハウス公演にこだわってきたヤバTにとって、アリーナ規模のワンマンライブはこれが初めて。このライブは2016年8月に大阪・BIGCATでメジャーデビューを発表した際のライブと同じ「まだ早い。」というタイトルながらも会場には大勢の顧客(ヤバTファンの呼称)が駆け付け、ヤバTが最初に作った楽曲「ネコ飼いたい」から最新曲「ZORORI ROCK!!!」まで新旧31曲のパフォーマンスを楽しんだ。
10-FEETや道重さゆみ、Aerosmithといった彼らが影響を受けたアーティストやレーベルメイトのカーリー・レイ・ジェプセンなどの楽曲がBGMで流れる中、徐々に埋め尽くされていく客席。満員となった頃、顧客にはおなじみの人気キャラクターのタンクトップくんがライブの注意事項を伝える映像が流れ、その後ステージにはTシャツ姿の男性とチェックのシャツを羽織った女性が登場した。ミュージカル風の始まりでリスナーの度肝を抜いた1stフルアルバム「We love Tank-top」の1曲目「We love Tank-top」の音源に合わせて男女は「そう、ここは夢と魔法とタンクトップの世界」「ええ? ここは大阪城ホールのはずじゃ?」と寸劇を繰り広げる。するとタンクトップを来た大勢の男女がステージ袖からわらわらと現れ、大阪城ホールは“Tank-top World”に早変わり。実に5年ぶりに披露されたミュージカル風のステージをオーディエンスはただ立ち尽くして見守った。
ダンサーたちがステージから颯爽と去ると入れ替わりにこやまたくや(G, Vo)、しばたありぼぼ(B, Vo)、もりもりもと(Dr, Cho)がステージイン。3人はそのまま「We love Tank-top」の続きを演奏し、爆音で会場を包み込んだ。続いてヤバTは人気曲「ハッピーウェディング前ソング」をさっそく披露。アリーナいっぱいに手拍子が広がると、こやまは「おめでとう! 大阪城ホールワンマン開催! おめでとう! ありがとう!」と観客の気持ちも代弁しつつ、大阪城ホールでのワンマンライブ開催を喜んだ。こやまのギターソロやデスボイスが炸裂する「Tank-top of the world」では火柱がステージ前方で激しく上がり、アリーナクラスのライブに似合うド派手な演出が観客のテンションを引き上げた。
「ヤバ!」と大入りの客席を見渡したこやまは「メジャーアーティストみたい!」と1人で大はしゃぎ。しばたともりもとが「今頃?」「遅ない?」と戸惑う中、こやまは「ヤバイTシャツ屋さん、今日をもちまして売れました(笑)。今までネクストブレイクだと言ってきたけど、今日のこの光景を見た結果、売れたと認定します(笑)」と高らかに宣言した。しばたが“おもしろMC”でひと笑い起こしたあと、ヤバTはこやまの甘酸っぱい思い出を歌った「sweet memories」、MBSテレビ「ちちんぷいぷい」の20周年記念ソング「はたちのうた」をプレイ。「メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」では、こやまのアジテーションで観客がジャンプしたり、椅子に座ったりと、声を出せないながらも会場に一体感が生まれる。ブルージーなロックチューン「眠いオブザイヤー受賞」では、もりもとの「今年度最高のミルフィーユ」というセリフも渋く決まった。
中盤ではこやまのリクエスト曲「ベストジーニスト賞」、しばたのリクエスト曲「珪藻土マットが僕に教えてくれたこと」、もりもとの“キャラソン”「げんきもりもり!モーリーファンタジー」とそれぞれが大阪城ホールで演奏したかった楽曲を披露。泡マシーンが大量の泡を放出し楽曲の世界観を演出した「泡 Our Music」、ヤバT流のダンスチューン「DANCE ON TANSU」で会場を盛り上げた3人は、ステージに「Bluetooth Love」のミュージックビデオに出演している“ぷりてぃ~♡パーティ”を呼び込む。MVと同様にぷりてぃ~♡パーティの2人がメインでパフォーマンスし、ヤバTはスポットも当たらずバックバンドに徹するというこの日限りの演出でステージを繰り広げ、観客はTikTokでバズった“ぷりてぃダンス”を踊った。
「大阪城ホールありがとう。自分たちが言いたいことはすべてこの曲に詰め込んで歌います」ともっともらしく話したこやまは「肩幅が広いほうがいい」ということだけを歌った「肩 have a good day -2018 ver.-」を熱唱。亀田誠治がプロデュースを手がけたストリングスサウンドが涙を誘うこの楽曲では、もりもとが口笛を吹く様子をこやまとしばたの2人がじっと見守った。
ポップなロックサウンドに乗せて若者のリアルな気持ちを代弁する「くそ現代っ子ごみかす20代」「NO MONEY DANCE」を披露したヤバT。こやまはひと呼吸ついてから「『まだ早い。』はメジャーデビューを発表したときのライブの名前。5年後にパワーアップして、お客さんも何倍、何十倍に増えてできたことが本当にうれしいです」と感慨深げに語り、「5年でいろんなことが変わったけど、ヤバイTシャツ屋さんも変わったかな? どうかな?」とつぶやく。しばたが「根本は変わってないんちゃう? 変わったというよりいろいろとチャレンジしてる」と言うと、こやまは「うん。そんな中でみんなが応援してくれてホンマにうれしい。バンドを始めたときは大学の中だけでライブをしていたから、何千人というヤバイTシャツ屋さんを好きな人だけが集まってくれるようになるとは思っていなかった。解散するバンドもいる中で、こうして続けられるヤバイTシャツ屋さんはホンマに運がいい。コロナというすごい危機があって、全体的にバンドのライブや音楽に興味がある人が減っちゃったと思っていて。今日も(動員が)大丈夫かなと心配していたけど、これだけ来てくれてヤバイTシャツ屋さんはまだしばらく続けられると思いました。皆さん、応援しているバンドがあったらライブに行くなりCD買うなりサブスク聴くなりして応援してください。バンドは自分たちだけでは続けられません。僕らはバンドをずっと続けたいと思っているので、応援してもらえるようにがんばってチャレンジを続けていきます。よろしくお願いします」と思いを述べた。
そしてヤバTはサークルバンドからメジャーバンドに成長した自身の軌跡を歌う「サークルバンドに光を」を披露。直前のこやまのMCとリンクした内容とエモーショナルな歌声に観客はこぶしを力強く掲げて応えた。ヤバTは「とりあえず噛む」や「癒着☆NIGHT」といったヤバTらしいポップなロックナンバーでフロアをさらに盛り上げ、「窮屈な思いさせてごめんな。だけど今のルールの中でライブハウスぐらいの熱量を出してください」と呼びかけてから「ヤバみ」でラストスパートをかける。「いつでもいいから、自分のタイミングで絶対ライブハウスに戻ってきてください」と呼びかけてストレートなメロコアチューン「Give me the Tank-top」も演奏。最後はタンクトップ姿のダンサーたちを従えて人気曲「かわE」を披露し、ステージをあとにした。
鳴り止まない拍手を受けて再登場したヤバTは「ヤバTを好きな人だけだよな?」「サクラやないよな? ユニバーサルがお金払ってない?」と明るくなった客席を改めて見渡す。客席をバックに記念撮影をしたあと、こやまは昨年3月に開催予定だったが新型コロナウイルスの感染状況を鑑みて延期となっている三重・志摩スペイン村 パルケエスパーニャでのワンマンライブについて触れる。そしてこやまが「下見に行ってくるわー」とステージ袖へと捌けると、ビジョンには志摩スペイン村に下見に行くこやまの姿が映し出された。「LIVE」の文字が大きく入っているが、19:30にしては明るい空が見える映像にしばたがツッコみつつ、こやまがステージに復帰すると3人は志摩スペイン村のテーマソング「きっとパルケエスパーニャ」を披露。志摩スペイン村のキャラクターたちも映像出演し、彼らのステージを盛り上げた。
その後、ヤバTはテレビアニメ「もっと!まじめにふまじめ かいけつゾロリ」のエンディングテーマ「ZORORI ROCK!!!」や初期ナンバー「喜志駅周辺なんもない」をパフォーマンス。「喜志駅周辺なんもない」では恒例のコール&レスポンスを「無視してください」と呼びかけたため、観客がレスポンスをするパートで静寂が訪れるというコロナ禍ならではのひと幕もあった。代表曲「あつまれ!パーティーピーポー」でこやまが「ヤバイTシャツ屋さんを続けさせてくれてありがとう」と叫び、感動的な雰囲気の中でライブは幕引きかと思いきや、こやまは「ガチでやる予定なかったんですけど1曲追加していいですか?」とセットリストにはなかった楽曲を追加で披露することを予告。そしてヤバTが初めて作った楽曲「ネコ飼いたい」をプレイ。こやまは大サビで「ホンマに夢みたいな景色を見せてくれてありがとうございました!」と顧客へメッセージを送った。全31曲を演奏し終え、達成感に満ちた表情の3人はそれぞれ思いを口にする。しばたは「来てくれてありがとうございました。これからもまた応援よろしくお願いします」、もりもとは「アリーナやドームで音楽をするバンドに憧れてやってきたので、今日は夢が叶ったみたいです。ありがとうございます」、こやまは「全編へらへらしながらやるつもりやったんですけど、ホンマに感動してしまいました。やっぱすごいな。『ネコ飼いたい』は、8年前とやってること一緒やのにさ、これだけ盛り上がって観てくれる人がいたらさ、バンド、やるよな。みんないろいろ大変な中来てくれてありがとうございました。来れていない人の気持ちも伝わっています。本当にバンドを続けさせてくれてありがとうございました」と語り、笑顔で手を振りながらステージ袖へと消えていった。なおこのライブの模様は2022年1月22日(土)にCSテレ朝チャンネル1で独占放送される。
ヤバイTシャツ屋さんは、2022年1月14日より全国ツアー「ヤバイTシャツ屋さん "Tank-top of the DVD IV" TOUR 2022」を開催。11月10日にリリースされたライブBlu-ray / DVD「Tank-top of the DVD IV」の初回プレス分には、このツアーの最速先行抽選予約に申し込むことができるシリアルコードを記載したカードが封入されている。
「ヤバイTシャツ屋さん 大阪城ホールワンマンライブ『まだ早い。』」2021年11月14日 大阪城ホール セットリスト
01. We love Tank-top
02. ハッピーウェディング前ソング
03. Tank-top of the world
04. 無線LANばり便利
05. Universal Serial Bus
06. Tank-top Festival 2019
07. sweet memories
08. はたちのうた
09. メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
10. 眠いオブザイヤー受賞
11. 鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック
12. ベストジーニスト賞
13. 珪藻土マットが僕に教えてくれたこと
14. げんきもりもり!モーリーファンタジー
15. 泡 Our Music
16. DANCE ON TANSU
17. Bluetooth Love
18. 肩 have a good day -2018 ver.-
19. くそ現代っ子ごみかす20代
20. NO MONEY DANCE
21. サークルバンドに光を
22. とりあえず噛む
23. 癒着☆NIGHT
24. ヤバみ
25. Give me the Tank-top
26. かわE
<アンコール>
27. きっとパルケエスパーニャ
28. ZORORI ROCK!!!
29. 喜志駅周辺なんもない(増税ver.)
30. あつまれ!パーティーピーポー
31. ネコ飼いたい
CSテレ朝チャンネル1「<独占放送> ヤバイTシャツ屋さん 大阪城ホールワンマンライブ『まだ早い 。』」
2022年1月22日(土)15:00~
ヤバイTシャツ屋さん "Tank-top of the DVD IV" TOUR 2022
2022年1月14日(金)北海道 Zepp Sapporo(ワンマン)
2022年1月15日(土)北海道 Zepp Sapporo(ゲストあり)
2022年1月18日(火)大阪府 Zepp Osaka Bayside(ワンマン)
2022年1月19日(水)大阪府 Zepp Osaka Bayside(ゲストあり)
2022年1月24日(月)愛知県 Zepp Nagoya(ワンマン)
2022年1月25日(火)愛知県 Zepp Nagoya(ゲストあり)
2022年1月28日(金)福岡県 Zepp Fukuoka(ワンマン)
2022年1月29日(土)福岡県 Zepp Fukuoka(ゲストあり)
2022年2月5日(土)宮城県 SENDAI GIGS(ワンマン)
2022年2月6日(日)宮城県 SENDAI GIGS(ゲストあり)
2022年2月9日(水)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA(ゲストあり)
2022年2月11日(金・祝)香川県 高松festhalle(ゲストあり)
2022年2月17日(木)石川県 金沢EIGHT HALL(ワンマン)
2022年2月19日(土)群馬県 高崎芸術劇場 スタジオシアター(ワンマン)
2022年2月21日(月)新潟県 NIIGATA LOTS(ゲストあり)
2022年3月9日(水)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)(ワンマン)
2022年3月10日(木)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)(ゲストあり)
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[Blu-ray Disc] 2021年11月10日発売 / UNIVERSAL SIGMA / UMXK-1087
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[DVD2枚組] 2021年11月10日発売 / UNIVERSAL SIGMA / UMBK-1300~1
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ヤバイTシャツ屋さん、大入りの大阪城ホールで31曲披露「僕らはバンドをずっと続けたい」 https://t.co/jdiUW4coqM