「バンドっていいよ」コロナ禍デビューのTHIS IS JAPAN、念願ワンマンでリベンジ完遂

THIS IS JAPANが昨日9月23日に東京・下北沢SHELTERにて単独公演「THIS IS JAPAN“リビングデッドの夜明け”」を開催した。

コロナ禍が始まった2020年2月にメジャーデビューした彼らにとって、この日の公演はデビュー後初、さらに約1年半ぶりの有観客でのワンマンライブとなり、その期待値の高さを伺わせるようにチケットは完売。観客はソーシャルディスタンスを保ちながらメンバーの登場を待ち、4人が順番に姿を見せると大きな拍手をステージに送った。満を持してのワンマンライブのオープニングナンバーとして彼らが奏でたのは、ノイジーなギターリフとリバーブがかかったドラムがスケール感のあるサウンドを描き出すインストゥルメンタルナンバー。お互いの音を確かめるように爆音でアウトロを響かせたあと、4人は「RIDE」を投下してオーディエンスを自分たちのペースに引き込んだ。

杉森ジャック（Vo, G）はギターをかき鳴らしながら絶唱し、koyabin（G, Vo）は卓越したギタープレイを披露する傍らで、伸びやかなコーラスを添える。水元太郎（B）は時にメロディアスで時に重厚さをにじませたベースで猛るような杉森のパフォーマンスを後押しし、かわむら（Dr）は屋台骨らしくタイトなビートでフロント3人のプレイを支える。そこにはひさしぶりのライブという緊張感はなく、メンバーは1曲1曲に全力投球とばかりに激しいパフォーマンスを繰り広げた。

「死にたくない まだ死ねない」と連呼する「グルメ」を歌い終えたのち、杉森が口を開き「おはようございます。（チケット）完売したっぽいですね」とフロアに視線を送る。彼はチケット完売の喜びを噛み締めつつ、昨年中止となってしまった「THIS IS JAPAN TOUR 2020『We are WEEKENDERS!』」のファイナルが下北沢SHELTERで予定されていたことを振り返り、「そのリベンジも兼ねてやってます」と口にした。そんな言葉から続いたのは杉森とkoyabinの掛け合いのようなツインボーカルと、水元とかわむらのコーラスが映えるTHIS IS JAPAN流のダンスチューン「new world」。ミラーボールの光が頭上を照らす中、オーディエンスは歓声の代わりに拳を突き上げ、爆音に身を委ねる。

ライブの中盤のブロックで出色だったのは「SuperEnough,HyperYoung.」「TALK BACK」の2曲。曲のタイプは異なれど、自分たちが立つステージやライブハウス、音楽への愛情をにじませたナンバーを、4人は力強い演奏とともにオーディエンスに届けた。気迫のこもったパフォーマンスの一方、MCになると一気に砕けた調子になるTHIS IS JAPANの面々。「アメリカのカー」の演奏を終えるや否や、杉森は「はい、お疲れ様ー」とライブのMCには似つかわしくないひと言を放ち、メンバーと観客を笑わせる。さらに、ワンマンライブ開催を祝って贈られてきた花のエピソードをきっかけに、メンバーは花を枯らせてしまう自分の性癖や、育てているミニトマトの話題など“植物トーク”に終始。最終的には杉森の「好きな人に囲まれる（ワンマンライブ）ってマジですごいわ。いろいろあったけどバンドっていいよ」という言葉で、最新曲「ボダレス」になだれ込んだ。

杉森がマイクをつかみ、前のめりになって歌い上げた「ボダレス」、ヘビーな音像で観客を圧倒した「D.I.Y.」を経て、4人は「FREEMAN」で奔放かつ激しいセッションを展開し、混沌とした空気とすさまじい轟音でライブハウスを満たす。そして、THIS IS JAPANは「とっくの昔に畳んだ地図を広げたら 目的地なんて忘れた」「だけど誰が気にするだろう おれたちの旅はいつも気付けばそんなもんだ」というバンドのスタンスを表明したような1曲をもって本編を締めくくった。

「元気が有り余ってると思うのでバンバンやります！」。杉森のそんな宣言で突入したアンコールで、4人は「chemical-X」「カンタンなビートにしなきゃ踊れないのか」を立て続けに披露し、痛快な余韻をフロアとステージに残して1年半ぶりのワンマンライブに幕を下ろした。