「音楽で彩るリサイタル」は雨宮が大好きな歌謡曲をカバーするイベント。これまで2017年秋に東京・Zepp Tokyoと大阪・Zepp Osaka Bayside、2019年夏に東京・Zepp DiverCity TOKYOと大阪・Zepp Namba(OSAKA)で行われ、今回が3回目の開催となった。
リサイタルのステージにはグランドピアノとキーボード、そして喫茶店内を模したセットが並ぶ。舞台上には大きなシャンデリアが輝き、歌謡曲のカバーライブならではのコンセプチュアルな空間が作られていた。開演時間になると、ピアニストの荒幡亮平がステージに登場してピアノを奏でる。美しい音色が会場に響きわたると、赤色のビンテージ感のある衣装を身にまとった雨宮がステージ袖から姿を現し、黒いヒールでゆっくりとステージに進み出た。まず雨宮はオープニングナンバーとして7月にリリースした最新シングル「フリイジア」より、リサイタルに向けて制作したナンバー「Emerald」を披露。異国情緒あふれる歌謡曲テイストのこの曲をエレガントに歌い、観客をリサイタルの世界観へと誘った。
続いてセレクトされたのは中森明菜の「十戒」。躍動感のある鍵盤の音色をバックに、雨宮は原曲の振り付けを踏襲しながらこの曲をクールに歌い上げる。そんな毅然とした佇まいを保ったまま、雨宮は以前よりファンからリクエストが多かったという山口百恵の楽曲の中から「プレイバックPart2」を歌唱。凛とした歌声を響かせたあと、「私の、私による、私のためのイベントということで、今日は私も勝手に楽しみたいと思うので、皆さんも勝手に楽しんでください!」と生き生きとリサイタルのコンセプトを話した。
その後、雨宮はチェアやテーブル、ランプ、レコードプレイヤーなどで装飾された喫茶店のセットの中へと移動し、大橋純子の「たそがれマイ・ラブ」を披露。美しい歌声がこの曲に満ちあふれる切なさを際立たせる。喫茶店を出てステージの中央に戻った雨宮が歌い上げたのは、彼女が“ひと聴き惚れ”したという沢田研二の「時の過ぎゆくままに」。ドラマティックなサウンドが広がる中、ゆったりとこの曲を歌ったあと、松田聖子の「瞳はダイアモンド」で澄み渡るような歌声を響かせて観客を魅了した。
黒のワンピースに衣装をチェンジした雨宮は、同期サウンドを使用せずピアノ演奏と自身の歌のみで高橋真梨子の「for you…」と德永英明「レイニー ブルー」を披露。繊細な雰囲気が漂う出だしから、ピアノと雨宮の歌声がシンクロしていき、どんどん感情があふれていくようなエモーショナルなパフォーマンスが繰り広げられた。テレサ・テン「つぐない」を経て、リサイタルはラストスパートへ。観客の大きな手拍子が鳴る中、雨宮は心地よさそうに体を揺らしながら杏里の「悲しみがとまらない」を歌い上げた。泰葉の「フライディ・チャイナタウン」を跳ねるような鍵盤の音色に乗せて楽しげに歌唱したあと、雨宮は「リサイタルがまさか3回もできるなんて。しかもこんなに大きな会場でできるなんて思ってなかったです」と感慨深げに場内を見渡す。そして「こんなふうに私の好きなことを好き勝手やらせてもらえるイベントがあるなんて。しかもみんながこんなに来てくれて、あんなに素敵な手拍子も聞かせてもらえて!」と興奮気味に語り、「お家に帰ったらセットリストを確認して、絶対に原曲も聴いてください!」と最後まで楽曲の魅力を熱くアピールした。
ラストナンバーは雨宮の最新シングルに収録されているオリジナル曲「情熱のテ・アモ」。雨宮は自身で作詞作曲したラテンテイストの歌謡ナンバーを艶やかに歌い上げてリサイタルのフィナーレを飾った。最後に彼女は「歌謡曲が大好きというこの気持ちをこれからも大切に、できれば第4回リサイタルもやりたいなと思っています! みんなが応援してくれるおかげです。今日は本当に楽しかったです! ありがとうございました!」と目を輝かせて語る。そして何度も客席に手を振り、充実した表情でステージを去って行った。
このライブで雨宮は、10月6日に初のカバーアルバム「COVERS -Sora Amamiya favorite songs-」をリリースすることを発表した。本作には雨宮が自ら厳選した11曲の歌謡曲が収録される。
RYU @ryu2works
【ライブレポート】雨宮天、歌謡曲への愛にあふれたカバーライブ「この気持ちをこれからも大切に」(写真7枚) https://t.co/fQcLlcKzU9
フライディチャイナタウン去年聴いたわ、と思ったら一昨年の方だった