12月に北海道・Zepp Sapporoでスタートしたこのツアーは本来なら1月に終了する予定だったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けてライブが延期に。約半年を経てたどり着いたツアーファイナルの模様はStagecrowd、Streaming+、ローチケLIVE STREAMINGで生配信され、多くのヒヨコ群(夏川ファンの呼称)が彼女のライブを楽しんだ。
ステージを覆う黒幕がゆっくりと左右に開くと、そこには威風堂々とした佇まいの夏川とバンドメンバーの姿が。次の瞬間にはバンドが勢いよく轟音を鳴らし、「イエローフラッグ」でライブの口火を切った。夏川はステージに設置された階段の頂上に立ち、旗を掲げるように力強く拳を突き上げる。オーディエンスも夏川の動きに合わせて、ヒヨコ型の黄色のペンライトを高く掲げてステージに熱を送った。階段を降りて舞台に立った夏川は「盛り上がっていくよ! 東京!」と言い放ち、そのまま「RUNNY NOSE」の歌唱へ。夏川は激しく髪を振り乱しながら、ヘヴィなサウンドに乗せてパワフルな歌声を響かせた。そしてこの曲の演奏が終わったと同時に、天井のミラーボールが華やかに点灯。眩い光に満たされた場内で「ロジックルーパー」が披露されると、ヒヨコ群はダンサブルなビートに合わせてペンライトを左右に振った。
「ラブリルブラ」で会場にファンタジックな空気を生み出した夏川は「赤色っぽい衣装に合わせて、袖カラーといって、毛先に赤を入れてきたんですよ。ニューバージョンの夏川でございます!」と髪色をアピールし、「“武者修行”と言ってきたこのツアーの集大成として、皆さんに修行の成果をお見せできればと思います!」と意気込んだ。
このツアーではこれまでリリースされた数々の楽曲にバンドアレンジが施され、音源では幻想的な雰囲気が漂うナンバー「フワリ、コロリ、カラン、コロン」は重低音がどっしりと響くグルーヴィなサウンドに。「That's All Right!」では夏川とオーディエンスがキャッチーな振り付けを一緒に楽しみ、会場に一体感が広がっていく。さらに夏川は「ナイモノバカリ」をエネルギッシュに歌い上げたあと、大きなハンドクラップを浴びながら「チアミーチアユー」を元気いっぱいに披露して「ありがとう、ヒヨコ群! 最高です!」と満面の笑顔を浮かべた。
疾走感のあるバンドサウンドに乗せて「グレープフルーツムーン」を伸びやかに歌い上げた夏川。さらに彼女はここまでのアグレッシブな空気とは異なる佇まいで「HIRAETH」をたおやかに歌唱したあと、メルヘンな空気が漂うナンバー「グルグルオブラート」を届ける。「キミトグライド」ではエモーショナルなサウンドに夏川の情感たっぷりのボーカルが重なった。夏川は12月に行われたツアー初日を振り返りながら「『今回はヒヨコ群のみんなが声を出せなくて100%になれないから、そのぶん夏川が200%がんばるんだ』って言っていたんですよ」と述べるも、「でも、このツアーを通して、そのときにMCで言ったことはちょっと違ったんじゃないかなと思ったんです。がんばる余地もないまま、ただ『楽しい!』ってあっという間に公演が終わっていて。ライブって、がんばるものじゃないんだなって思いました」と考えの変化を話す。そして「夏川の曲って感情の上下が激しい曲が多くて、みんなに届いてほしいという思いで、わーって吐き出すことが多くて。ヒヨコ群のみんなはそれを黄色いスポンジみたいに吸い込んでくれて。夏川が200パーセントがんばらなくても完成するライブだったんじゃないかなと思います。本当に皆さんありがとうございます。それに気付けることが武者修行のゴールだったのかなと思いますし、夏川はこのツアーを通してより一層ライブをするということが好きになりました!」とヒヨコ群に感謝の思いを伝えた。
「ワルモノウィル」では鋭利なサウンドとともに夏川が感情を解き放つようにシニカルな言葉を放っていく。そしてステージの階段の上に立った夏川はミラーボールの光をバックに「シマエバイイ」を歌唱した。「悔しい気持ちも楽しい気持ちも、全部ステージにぶつけてください!」という夏川の言葉とともに歌われたのは「ステテクレバー」。夏川の熱のこもった歌声につられるようにオーディエンスのペンライトを握る手にも一層力がこもり、場内はすさまじいエネルギーに満ちていった。その後、夏川は「まだまだいけるかー!」とオーディエンスに告げ、その勢いを加速させるように「キタイダイ」を熱唱。最後には「ありがとう、ヒヨコ群!」と叫び、ありったけの力を放つように「アンチテーゼ」を披露してステージを去って行った。
アンコールで再びステージに登場した夏川は「パレイド」「ファーストプロット」を続けて歌唱。そして「こうやってみんなの前でライブができることって、奇跡みたいなことなんだなって思います。みんなで集まれていること、夏川がステージに立てることは当たり前じゃなくて、尊いこと。これからもこの場所に立ち続けられるように、ヒヨコ群の皆さんがここに来れるように、精一杯がんばっていきたいなと思っています」とフロアを見渡し、「夏川はみんながヒヨコ群になりたいなと思ってるときに、いつでもヒヨコ群になれる場所を提供し続けていきたいなと思っていますので、これからもよろしくお願いします!」と力強く語った。ラストナンバーは「クラクトリトルプライド」。夏川とバンドメンバーはパンダとヒヨコの被り物を頭に付けて楽しげにこの曲を披露し、晴れやかな笑顔でツアーを締めくくった。
※記事初出時、本文に誤りがありました。お詫びして訂正します。
夏川椎菜「LAWSON presents 夏川椎菜 Zepp Live Tour 2020-2021 Pre-2nd」2021年7月29日 Zepp DiverCity(TOKYO)
01. イエローフラッグ
02. RUNNY NOSE
03. ロジックルーパー
04. ラブリルブラ
05. フワリ、コロリ、カラン、コロン
06. That's All Right!
07. ナイモノバカリ
08. チアミーチアユー
09. グレープフルーツムーン
10. HIRAETH
11. グルグルオブラート
12. キミトグライド
13. ワルモノウィル
14. シマエバイイ
15. ステテクレバー
16. キタイダイ
17. アンチテーゼ
<アンコール>
18. パレイド
19. ファーストプロット
20. クラクトリトルプライド
わくバナナ(群) @wakubanana
【ライブレポート】夏川椎菜がバンドスタイルで武者修行!最終地でヒヨコ群と一緒に見た景色(写真11枚) https://t.co/SDQBCgAFBM