ボカロPとして自身のキャリアをスタートさせ、近年はバーチャルシンガー・
配信が始まると、画面上には書籍の積み上げられた部屋に横たわる男性の姿が。花譜による朗読が始まり男性が起き上がるとカメラのアングルが変わり、バンドメンバーとともにステージに立つカンザキの姿が映し出される。ピアノの旋律が鳴り始めて演奏がスターとしたのは、カンザキが初めて“殿堂入り”を果たしたボカロ曲「命に嫌われている」のセルフカバー。影で覆われておりカンザキの表情を伺うことがはできないが、「命」をテーマにしたこの曲を彼は熱く歌い上げ、最後には叫ぶように「生きろ!」という強いメッセージを視聴者に投げかけた。1曲歌い上げ、ゆっくりとギターを置いたカンザキはピアノに向かい、新曲「カメムシ」を弾き語りで歌い始める。「カメムシ」は以前カンザキがSNS上で「曲を書く」と宣言していた1曲であり、彼は“嫌われもの”であるカメムシに感情移入する内容の歌詞を優しくも悲しげに歌い上げた。
ライブは朗読パートと、そのストーリーに合わせてカンザキが楽曲を歌唱するという構成になっており、花譜の朗読で「吸血鬼」という一節が登場すると、カンザキは新曲「吸血鬼」をパフォーマンス。「あの夏が飽和する」の冒頭では「昨日人を殺したんだ」という歌詞をカンザキが語りかけるように歌う。配信の映像には楽曲の進行に合わせて歌詞が浮かび上がり、時折カメラがカンザキにフォーカスすると、顔こそ見えないものの一筋の汗を流しながら楽曲を熱く歌い上げる彼の口元のアップが映し出された。ライブで描かれたのはカンザキが“ある男”と表現する人物の人生であり、ライブ中盤の「桜の子」「成長痛」では出会いや成長が描かれ、花譜への提供曲「畢生よ」や「大人」といった楽曲を通じて、生きることや大人になることへの葛藤が描かれていく。「ダイヤモンド」ではダンサーが宝石に見立てた光るボールを持ち、叫ぶようなボーカルで紡がれる心情を激しい動きで表現した。
カンザキのピアノ弾き語りによる「青い号哭」を経て、ライブは最終盤へ。最後の曲はカンザキがセルフボーカルプロジェクトの第1弾として発表した「不器用な男」。バンドメンバーとともにこの曲を熱演したカンザキがステージ上にうずくまると、場面が転換して再び冒頭の書籍が積み上げられた部屋の映像に切り替わった。最後の朗読パートはカンザキ自身が担当しており「私は、不器用な男。」という一節が読み上げられると、椅子に腰かけた男はコップに注いだ液体を飲み干し、その場にうなだれてしまう。会場の照明が落ちると配信の画面には無音のままエンドロールが流れ、カンザキの1stライブ「不器用な男」は幕を閉じた。
カンザキイオリ第一回公演「不器用な男」2021年7月23日 セットリスト
01. 命に嫌われている
02. カメムシ
03. 吸血鬼
04. あの夏が飽和する
05. 桜の子
06. 成長痛
07. 畢生よ
08. 大人
09. ダイヤモンド
10. 地獄に落ちる
11. こんな夜でもいいじゃないか
12. 青い号哭
13. 不器用な男
カンザキイオリのTV・ラジオ出演情報
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音楽ナタリー @natalie_mu
【ライブレポート】カンザキイオリ、“不器用な男”の生涯をステージで表現した初ライブ(写真16枚)
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