NOT WONK、崎山蒼志、SuiseiNoboAzが渋谷でそれぞれの個性をかき鳴らした一夜

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ライブイベント「ライブナタリー “NOT WONK×崎山蒼志×SuiseiNoboAz”」が、7月17日に東京・WWW Xにて開催された。

上段がSuiseiNoboAz、下段が崎山蒼志(右から2人目)、NOT WONK。(撮影:Kana Tarumi)

上段がSuiseiNoboAz、下段が崎山蒼志(右から2人目)、NOT WONK。(撮影:Kana Tarumi)

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SuiseiNoboAz(撮影:Kana Tarumi)

SuiseiNoboAz(撮影:Kana Tarumi)[拡大]

各50分ずつの持ち時間で、NOT WONK崎山蒼志SuiseiNoboAzがたっぷりと演奏を披露したこの対バンライブ。定刻になると、SEの「千年後」が響き渡る中、トップバッターのSuiseiNoboAzが姿を現した。ぎっちりと言葉が詰め込まれた壮大なナンバー「3020」でボアズがイベントの火蓋を切って落とすと、ソーシャルディスタンスを保ちながらフロアに集った観客たちも体を揺らして応える。松田タツロウ(Dr)はこの日が加入後2度目のライブ。中盤では、四つ打ちを刻むバスドラムとエフェクトがかかったボーカルが印象的な新曲「Y.O.M.I.」も披露された。

SuiseiNoboAz(撮影:Kana Tarumi)

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中盤で「夏でございますけどね、私は子供の頃からオカルト特番がけっこう好きなんですよねえ」と話し始める石原正晴(Vo, G, Sampler)。お化けは大丈夫だが宇宙人は常識が通用しなさそうで怖い、という持論を展開したところへ、UFOを目撃したかのような女性リポーターの声が流れ、「T.D.B.B. PIRATES LANGUAGE」へ突入した。高野メルドー(G, Piano)はギターをかき鳴らして飛び跳ね、河野 “TimeMachine” 岳人(B)は複雑なベースラインを滑らかになぞってグルーヴを強固なものにする。 「ピザでも食ってろ、豚野郎」と石原が叫ぶと、観客も拳を掲げ熱狂を共有した。ボアズは「PIKA」でエモーショナルに轟音を鳴らし、石原がいつものようにテープエコーを担いで観客を煽り、演奏を終えた。

崎山蒼志(撮影:Kana Tarumi)

崎山蒼志(撮影:Kana Tarumi)[拡大]

転換後のすっきりとしたステージへ、ギターを手に1人登場したのは崎山蒼志。「崎山蒼志です。よろしくお願いいたします」と丁寧に挨拶をした彼は、アニメ「2.43 清陰高校男子バレー部」のエンディングテーマ「Undulation」をまず披露し、「逆行」では時に頭を振り乱しながら空気を切り裂くような鋭いカッティングでギターをかき鳴らして観客を圧倒する。SuiseiNoboAzとNOT WONKを日頃から愛聴しているという崎山。「今日は緊張してますね……」と正直な心境を明かすと、客席からは応援するように温かい拍手が起こった。

崎山蒼志(撮影:Kana Tarumi)

崎山蒼志(撮影:Kana Tarumi)[拡大]

「うねり」や「Samidare」はiPadから流れる音との同期により重厚なサウンドで届けられ、諭吉佳作/menとのコラボ曲「むげん・」では、崎山の生歌とバックに流れる諭吉佳作/menの歌声が美しく重なった。アニメ「僕のヒーローアカデミア」のエンディングテーマとして書き下ろされた「嘘じゃない」は、ちょうどこの日配信がスタートしたナンバー。崎山は「いつか必ず 救い出すから 救い出せるから」と、キャラクターからインスピレーションを得て生み出されたという歌詞を切々と歌い上げる。最後の曲「Video of Travel」ではエレキギターを手にアバンギャルドなプレイを繰り出し、かき鳴らしたギターの音が残る中、一礼してステージをあとにした。

NOT WONK(撮影:Kana Tarumi)

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そしてトリを飾るNOT WONKは、「the place where nothing's ever born」でライブをスタートさせ、ビブラートの効いた加藤修平(Vo, G)のボーカルが空気を切り裂いて始まる「slow burning」では、バンドの強固なアンサンブルで魅せる。「Subtle Flicker」では頭上のミラーボールが回り、心地よいビートに合わせてフロアにうねりが生まれた。コロナ禍になってから対バンライブの機会が減ってしまった、と語る加藤。「新しい人との出会いもほとんどないまま1年くらいを過ごしてしまったような気がしていて。だから今日はすごくうれしくて、どうしてやろうかなと思ってたんすよ(笑)。ボアズが最初から強くて、どうにかやっつけてやりてえなと」と炎を燃やす。

NOT WONKの加藤修平(Vo, G)。(撮影:Kana Tarumi)

NOT WONKの加藤修平(Vo, G)。(撮影:Kana Tarumi)[拡大]

藤井航平(B)のコーラスが響いた「in our time」に続いて、「Shattered」では高橋尭睦(Dr)が刻む骨太なビートにフロントの2人が体を揺らしながら弦を弾き、客席も呼応するように盛り上がりを見せる。コロナ禍の影響で、北海道・苫小牧から出かけたりライブをしたりする機会がかなり減ったが、その現状を「思いのほか楽しい」と語る加藤。「東京は物もお金もいっぱいあるけれど、そういうところにしか音楽が集まらなかったらどうしよう、いい音楽がお金の近くでしか生まれなかったらどうしよう、って急にこないだ不安になって。でもよく考えたら、俺はずっと金のない街で音楽やってて、それを聴いてくれる人がいるっていうのは、心配してることと反対のことをやってるなって」と、自分の環境を見つめ直したことを明かす。「東京に飽きたら苫小牧に来てくれたら俺が全然連れ回すんで、言ってください!」と観客へ呼びかけると、フロアから笑いと拍手が巻き起こった。そして「東京と地方を金持ってる持ってないで比べてもしょうがねーなって。俺は俺でやってんなって。そういう曲です」というひと言で始まったのは「Down the Valley」。軽快な序盤から一転して轟音が鳴らされると、フロアから多くの拳が上がる。そして最後に「dimensions」で3人の熱いプレイが絡み合い、終演を惜しむような拍手が鳴りやまないまま、イベントの幕は降りた。

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「ライブナタリー “NOT WONK×崎山蒼志×SuiseiNoboAz”」2021年7月17日 WWW X セットリスト

SuiseiNoboAz

01. 3020
02. SHORES
03. 月面源流釣行記
04. Y.O.M.I.
05. T.D.B.B. PIRATES LANGUAGE
06. それから
07. liquid rainbow
08. PIKA

崎山蒼志

01. Undulation
02. 逆行
03. うねり
04. 鳥になり海を渡る
05. Samidare
06. むげん・
07. 夏至
08. 嘘じゃない
09. Heaven
10. 花火
11. ただいまと言えば
12. Video of Travel

NOT WONK

01. the place where nothing’s ever born
02. slow burning
03. spirit in the sun
04. Subtle Flicker
05. in our time
06. Shattered
07. Down the Valley
08. dimensions

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音楽ナタリー @natalie_mu

【ライブレポート】NOT WONK、崎山蒼志、SuiseiNoboAzが渋谷でそれぞれの個性をかき鳴らした一夜(写真32枚)
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