あんなナオトこんなナオト、今年の「ナオトの日」はシングル曲まるっとやりました

ナオト・インティライミのワンマンライブ「ナオトの日 スペシャルLIVE 2021 ～じゅっしゅぅ、じゅっしゅぅ、10周年!! あなたが思うよりおまっトゥリです!!～」が7月10日の“ナオトの日”に東京・東京ガーデンシアターで開催された。

昨年はシングル「カーニバる？」発表から10周年を記念した「10周年！アニバーサリーおまっとぅりYEAR」を展開する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け企画自体を2021年に延期していたナオト。彼が有観客で単独公演を行うのは、2019年12月開催のツアー「ナオト・インティライミ TOUR 2019 ～新しい時代の幕開けだ！バンダ、ダンサー、全部入り！欲しかったんでしょ？この感じ！～」鹿児島公演以来、およそ1年半ぶりとなった。今年の「ナオトの日 スペシャルLIVE」は昼夜2部制で行われ、この記事では昼公演の模様をレポートする。

開演間近になると、ステージ上のスクリーンには「NAOTOルーム」というプレートが置かれた部屋が投影された。この部屋でナオトは何か話そうとするが音声が聞こえず、代わりにホワイトボードを使って“ファン・インティライミ”に向けて挨拶した。彼が「NAOTOルーム」から移動すると、2010年から2020年までの「ナオトの日」ライブをダイジェストでまとめたVTRが上映される。そしてステージにナオトが登場するかと思いきや、スクリーンには別会場でスタンバイするナオトの姿が映し出された。

ライブはそのままビューイング形式で進行され、有観客公演と思っていたオーディエンスはあっけにとられた様子に。VRゴーグルを装着したナオトに「みんなー!!」と語りかけられ、手を振りつつも戸惑いを隠しきれないようだった。そしてライブが始まろうとした瞬間、突如映像が乱れ「しばらくお待ちください」という画面に変わってしまった。再び会場につながると、ナオトは「これじゃないんでしょ、やっぱ生なんでしょ？」とここまでのパフォーマンスはドッキリだったことを告白。そしてヘリコプターや水泳、自転車などトライアスロン形式で会場へと向かう映像を挟み、彼はようやく会場に現れた。

ナオトは「ごめんなさいね、人の心を弄んで……」と謝罪し、心配そうな様子を見せるが、観客たちは温かな拍手で彼を迎えた。一連のドッキリを終え、1曲目にセレクトされたのはナオトの代表曲である「カーニバる？」。これまでライブ終盤で披露されることが多かった楽曲だが、今回はギターのみのシンプルなアレンジを施して幕開けを飾った。その後ナオトはピアノの前へ移動すると「タカラモノ～この声がなくなるまで～」「ありったけのLove Song」といったナンバーをプレイ。繊細な音色で会場を穏やかなムードで包み込んでいった。

「今のキミを忘れない」演奏後、ナオトは「ここまでで何か気付いたことある人、いるでしょ？」と観客に質問。今回のセットリストは「カーニバる？」からリリース順にシングル曲を披露する内容であることを明かした。しかし演奏方法はこれまでの「ナオトの日」ライブと同じくノープランで、その場で柔軟にアレンジを変更していくと宣言。「2010年から今日まで11年、一緒に振り返ろうぜ」と呼びかけ、歴代シングル曲を次々と届けていった。軽快なギターストロークを前面に押し出した「Hello」「ナイテタッテ」ではオーディエンスも拍手や手振りをして、ナオトのパフォーマンスを盛り上げていく。サンバ調の打ち込みも用いられた「The World is ours!」ではナオトによるリードのもと3・3・7拍子、10・10・2拍子などのハンドクラップが行われ、セッションのように一体感が高まっていった。

小休止を挟み、再びステージに戻ってきたナオトは、ステージ後方に並べられた多数のギターについて説明。ギターはすべてナオトが所有しているもので、中にはドキュメンタリー映画「旅歌ダイアリー」にも登場するコロンビアで購入したギター、デビュー祝いとして桜井和寿（Mr.Children）がプレゼントしてくれたというエレキギターなど貴重なコレクションも含まれていた。一通り紹介を終えるとライブの後半戦がスタート。高速スキャットも飛び出した「LIFE」、優しく語りかけるような歌詞で思わずナオト自身が“感極まリンティライミ”になった「未来へ」と、オリジナルに捉われないアレンジで会場の雰囲気を心地よく彩っていった。合間で彼は「シングルもたれ、してない？」と気を遣いつつ、美しい口笛を織り交ぜた「Start To Rain」、現時点で最新のCD作品となる「オモワクドオリ」の表題曲を届け、約2時間かけてシングル22曲の演奏を達成。本編最後はテレビ番組「ライオンのグータッチ」のために書き下ろした「たいせつな」をピアノアレンジで披露した。

アンコールに入ると、ナオトはこれまでに制作した楽曲の中でもっとも短いという、アニメ「あはれ！名作くん」の主題歌「あらら れれれ るるりら」も弾いた。そしてラストは「カーニバる？」を打ち込みありのバージョンで披露。ご機嫌なサウンドに合わせて観客たちも一斉に立ち上がり、客席はジャンプしたり拳を突き上げる人たちでいっぱいとなった。そしてナオトは「いつか叫ぼうな！ カーニバろうな!!」とファン・インティライミと約束を交わし、ひさびさの有観客ワンマンを満喫した様子でステージをあとにした。

ナオトは9月29日にベストアルバム「The Best -10th Anniversary-」をリリース。さらに10月からはライブツアー「ナオト・インティライミ 10TH ANNIVERSARY LIVE TOUR 2021」を行う。