この公演は青葉が昨年12月にリリースした最新アルバム「アダンの風」を、アルバムの録音に携わった多くの音楽家とともに室内楽編成によって再現するコンサート。ステージには「アダンの風」を青葉と共作した梅林太郎(Key, G)をはじめ、
夜光虫のような青い渦が投影された紗幕越しのステージに青葉たちが登場。波音の中で青葉は足踏みオルガンを弾きながら、アルバムの曲順通り「Prologue」でライブをスタートさせる。紗幕が開き、珊瑚砂の敷かれたステージ中央に移動した彼女は「Pilgrimage」と「Porcelain」を歌唱。青葉はクジラの骨や、いくつもの貝に囲まれた海の中のような空間でオーケストラの音の波に乗るのを楽しんでいるかのようにゆらゆらと揺れながら、楽器を持たずに豊かな表現力を歌に注ぎ込んだ。また「Easter Lily」では角銅がコーラスも担当。青葉の柔らかな歌声に角銅の声があとから付いていく形で重なり、幻想的なハーモニーを作り出していた。
ハープの調べが広がると、青葉はゆっくりと舞台袖にはけていく。音源ではピアノのインストゥルメンタルだった「Parfum d'étoiles」をハープ、フルートも交えた室内楽編成に、そして声の多重録音で表現されていた「霧鳴島」は、ストリングスのみのアレンジへと生まれ変わり披露されるシーンも。その後ステージに戻った青葉がギタレレを手に「Sagu Palm's Song」で歌い上げた。さらに心音が会場いっぱいに響き渡った「chinuhaji」、ほのかに湿度をはらんだ「血の風」、生のストリングスがドラマチックさを増幅させた「Hagupit」が、間髪を入れずに次々と奏でられていく。クライマックスでは、力強く疾走感のある「Dawn in the Adan」ののち、夜空のようなライティングの中で、角銅が奏でる貝殻の音色から始まった「ohayashi」、アルバムラストの収録曲「アダンの島の誕生祭」が畳みかけられた。アルバムに収録された全14曲を一気に演奏し、「アダンの風」の世界をステージ上で具現化した青葉は、「今日は皆さん来てくださって本当にありがとうございました」と感謝の言葉を述べ、ステージをあとにした。
アンコールの拍手に応えて再びステージに戻った青葉は、「大切に大切にみんなで育ててきた『アダンの風』の世界を、こうして劇場で奏でることができて本当にうれしく思っています。『アダンの風』はこれで終わりではなくて、これからもずっとずっとつながっていくものだと思って、歌い演奏していました。皆さん、どうか生きて。また元気で会いましょうね」と語り、「アダンの風」誕生のきっかけになったという楽曲「守り哥」を歌唱。それでも鳴りやまない拍手に三度登場した青葉は、最後に1人ミニキーボードによる弾き語りで「海底のエデン」を丁寧に届け、ライブの幕を下ろした。
なお本公演のアーカイブ映像は6月27日23:59までStreaming+で配信中。配信チケットはイープラスにて同日22:00まで購入することができる。また当日会場の物販に並んだオリジナルグッズは、青葉のオフィシャルウェブショップで販売中。
青葉市子「ICHIKO AOBA "Windswept Adan" Concert」2021年6月21日 Bunkamuraオーチャードホール公演 セットリスト
01. Prologue
02. Pilgrimage
03. Porcelain
04. 帆衣
05. Easter Lily
06. Parfum d' étoiles
07. 霧鳴島
08. Sagu Palm's Song
09. chinuhaji
10. 血の風
11. Hagupit
12. Dawn in the Adan
13. ohayashi
14. アダンの島の誕生祭
<アンコール>
15. 守り哥
<ダブルアンコール>
16. 海底のエデン
ICHIKO AOBA "Windswept Adan" Concert
配信期間:2021年6月21日(月)~ 6月27日(日)23:59
配信チケット販売URL:https://eplus.jp/ia21st/
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