オーディエンスの温かい拍手に迎えられたGRAPEVINEは、西川弘剛(G)が繰り出すクリアトーンのアルペジオを合図に「FLY」でライブをスタートさせる。この曲では高野勲(Key)もエレキギターを手にし、田中和将(Vo, G)、西川、高野によるトリプルギター編成による演奏でオーディエンスを惹き付けていった。1曲歌い終え、「どうもセンキュー日比谷!」と快活に挨拶した田中は、メンバーに合図を送りながら「スレドニ・ヴァシュター」のイントロを弾き始める。重厚なバンドアンサンブルをバックに、叫びにも似たエモーショナルなボーカルを響かせた。最初のMCで「ひさしぶりのライブ、お集りいただきありがとうございます」とオーディエンスを歓迎した田中は、シャツの袖をまくりながら「我々は『いくぜー』とか『みんなの声を』とか不謹慎なことは言いませんので、僕らがいい演奏していたら最大限の拍手を」と呼びかける。さらに彼は「もしかしたら新しい曲が混じっているかもしれない」と新曲への期待感を煽り、さっそくライブを再開。アコースティックギターの音色に乗せて田中が優しい歌声を聴かせた「Darlin' from hell」、高野のピアノを強調したライブアレンジで楽曲に新たな表情が付けられた「風待ち」など、会場を吹き抜ける涼やかな風を受けながらバンドは淡々と楽曲を披露していく。またMCでの宣言通り、5月26日発売予定のアルバム「新しい果実」に収録される新曲「リヴァイアサン」が繰り出されると、オーディエンスは食い入るようにバンドの演奏に見入っていた。
西川と田中が呼応するようにエレキギターのアルペジオを重ねた「アルファビル」のアウトロからシームレスに繰り出されたのは、ライブで初披露となる新曲「阿」。金戸覚(B)の力強いベースラインにそれぞれが音を重ね、約1分にわたるグルーヴ感あふれるイントロで濃密な音の世界を作り出して観客を揺らした。演奏がひと段落すると田中は青空の垣間見える空を見渡し「降らへんでー」と誇らしげに語る。この日の天気予報は雨であり、幸いにも天気に恵まれたことを喜ぶ彼は、改めて5月にアルバムがリリースされること、新作の発売にともなうツアーが開催されることを予告し、「達者で会いましょう」とファンとの再会の約束を交わす。「あと6万曲あります」と冗談交じりのひと言から「MISOGI」の演奏がスタートすると、あたりはだんだん暗くなり始め、夕暮れに合わせてステージ上の照明も橙色に。「Alright」の演奏中にはステージ上にある巨大なミラーボールに七色の照明が当たり、ステージや客席が華やかに装飾された。本編最後の曲「光について」が披露される頃にはすっかり日も落ち、バンドは暗がりの中でこの曲を演奏。歌詞の最後の一節「僕らはまだここにあるさ」が歌われると同時に、会場中の照明がミラーボールに集中し、光が雨のように会場中に降り注ぐ幻想的な風景が広がった。
本編終了後も鳴りやまない拍手に応え、GRAPEVINEは再びステージに登場。いつも通り揉み手をしてファンに感謝の言葉を述べた田中は「ツアーのときまで達者で。そのときも元気な顔で会いましょう」と呼びかけ、「おっしゃー、アンコールやります!」という宣言から「Arma」をプレイ。さらにファンの間で熱烈な人気を誇る「スロウ」を披露すると、会場全体が高揚感に満ちていく。最後にバンドは「smalltown,superhero」を奏で、会場内に深い余韻を残してワンマンライブの幕を閉じた。
GRAPEVINE「GRAPEVINE LIVE AT HIBIYA PARK」2021年4月25日 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音) セットリスト
01. FLY
02. スレドニ・ヴァシュター
03. 放浪フリーク
04. Darlin' from hell
05. 風待ち
06. リヴァイアサン
07. Golden Dawn
08. 無心の歌
09. アルファビル
10. 阿
11. 弁天
12. すべてのありふれた光
13. MISOGI
14. JIVE
15. Alright
16. さみだれ
17. Gifted
18. 光について
<アンコール>
19. Arma
20. スロウ
21. smalltown,superhero
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GRAPEVINE「新しい果実(スペシャルパッケージ盤)」
[CD3枚組+グッズ] 2021年5月26日発売 / SPEEDSTAR RECORDS / NZS-837
syouko @Lacus_Temporis
日比谷で演奏した曲のタイトルも出ている。CD発売が楽しみです。
【ライブレポート】GRAPEVINE、春の野外で風を感じながら新曲含む21曲熱演(写真7枚) https://t.co/ODPsDliXsr