スペースシャワーTVと
「TOKYO SKA JAM」シリーズは、2019年に30周年を迎えたスペースシャワーTVと東京スカパラダイスオーケストラがタッグを組んでスタートさせたレギュラー番組。毎回スカパラとゆかりのある多彩なアーティストをゲストに迎え、スカパラが相手だからこそ聞き出せるトークや、貴重なコラボパフォーマンスが放送されてきた。今年1月に「TOKYO SKA JAM 9+ ~ライブハウス編~」全4回のオンエアが終了したが、このたびスペシャの公開収録ライブ「LIVE with YOU」とのコラボで有観客ライブが開催されることに。ライブには、過去番組に出演した
真紅の舞台幕で装飾されたステージに登場した真っ青なスーツ姿のスカパラメンバーは、最新アルバム「SKA=ALMIGHTY」に収録された「多重露光」で華やかに“宴”の幕を開けた。加藤隆志(G)はさっそく「Are you ready!?」とオーディエンスに呼びかけ、彼の声に会場中の観客が力強いハンズアップで応える。初っ端から大いに盛り上がる聴衆の反応にステージ上の熱気もぐんぐんと高まり、9人は「5 Days of TEQUILA」「ペドラーズ」と、キラーチューン2曲を圧倒的な熱量で演奏した。
最初のMCでマイクを握った谷中敦(Baritone Sax)は「『SKA JAM 9+』を生で聴かせることができてうれしいです。スカパラの9人に“+”なんで、ゲスト来ますよ!」と期待感を煽った。スリリングなセッションが展開されるインストゥルメンタルナンバー「Great Conjunction 2020」、谷中の力強く艷やかなバリトンサックスと加藤のエッジーなギターの音色が交錯する「STORM RIDER」がプレイされると、ここからは谷中の予告通り、個性豊かなゲストアーティストとのスペシャルなコラボパフォーマンスが次々と披露されてゆく。ステージ奥の緞帳が開き、最初に登場したのはmilet。「めくれたオレンジ」のイントロに体を揺らし「ハッ!」と威勢のよい声を上げた彼女は、美しく揺らぐ無二の歌声で鮮やかに曲を歌い上げる。赤いドレスで堂々と9人のセンターに立ち、谷中、大森はじめ(Per)との溶けるようなハーモニーを聴かせるmiletの凛としたステージングには、客席からもステージ上からも大きな拍手が送られた。
「Paradise Has No Border」の曲中、GAMO(Tenor Sax)の呼び込みで登場した2組目のゲストはMAN WITH A MISSIONのJean-Ken JohnnyとTokyo Tanaka。彼らはセッションナンバーにスカパラのライブ定番曲でもある「DOWN BEAT STOMP」を選んだ。Jean-Ken Johnnyと加藤は対峙してギターをかき鳴らし、Tokyo Tanakaと谷中は並んで声を上げる。9人と2匹は、圧倒的な熱量の歌と演奏で舞台上に渦巻く熱いエネルギーを飽和状態まで高めてみせた。
ライブ中盤にはホーンセクションの優美なハーモニーが印象的な「花ふぶき~愛だろ、愛っ。~」がスカパラ9人の演奏で届けられ、NARGO(Tp)は自身の奏でるフレーズに「さくら さくら」の一節を盛り込んで春の訪れを雅やかに告げた。そして、姿を見せるなり「今日は声を出しちゃダメ。モッシュもダメだけど、踊っちゃダメなんてルールはない。モンキーダンスしようぜ!」と呼びかけ、一瞬にしてオーディエンスの心をつかんだのは3組目のゲスト・MAH(SiM)。MAHとスカパラはSiMの「GUNSHOTS」、そしてスカパラの「All Good Ska Is One」の2曲でセッションを披露した。MAHはスカパラメンバーの放つ強烈なビートを鮮やかに乗りこなし、パワフルかつソウルフルなボーカルを響かせる。MAHが見せる自由で頼もしい振る舞いに観客も自然と手を挙げ、「All Good Ska Is One」では客席にハンドウェーブの波が揺れる光景が広がった。
MAHを見送ると、スカパラは昨年の春にリリースした「倒れないドミノ」を聴衆に届け、ボーカルを務める茂木欣一(Dr)は「みんなの心の中、そして地球上が“本当の春”を迎えられるような曲を奏でたいと思って作った歌です。みんなの夢とか希望とかに届くといいなと思います」とメッセージを送る。続く「水琴窟-SUIKINKUTSU-」では、瑞々しく澄み渡るようなアンサンブルの中で沖祐市(Key)が情熱のほとばしる渾身のソロを披露。椅子から飛び上がり、夢中で1音1音に魂を込める彼の熱演に、客席からは鳴り止まない拍手が送られていた。
ライブ終盤、この日最後のゲストとしてステージに招かれたのは大木。幕が開くなり、ポケットから“きゅん”を出すというチャーミングな登場をしてみせた大木とスカパラメンバーは、「SKA JAM 9+」の番組内でも披露されたスペシャルアレンジの「追憶のライラック」でセッションを展開した。後半にかけてぐんぐんと熱を帯びていく演奏に大木は優しく豊かなボーカルで応え、彼らの熱演に聴衆はじっくりと聴き入っていた。4組のゲストとの彩り豊かなセッションを終えると、谷中は「ゲストの方たちは“光”ですね。僕らが1つの部屋だとすると、ゲストの皆さんは窓から差し込んできてくれる光。そういう縁を大事にしていきたいよね」としみじみ語り、「同時に、音楽ってクリーンなエネルギーだなと思いました。クリーンなエネルギーを大事にしている人と音楽を楽しめるって、最高なことだなと思います」と客席に大きな笑顔を向けた。
「Glorious」で本編が締めくくられたのち、アンコールには出演者全員による「美しく燃える森」が届けられ、milet、Tokyo Tanaka、MAH、大木がボーカルリレーを披露するというこの日限りのスペシャルなシーンが聴衆を熱狂させた。そしてスカパラの9人は最後に「スキャラバン」でお祭り騒ぎを繰り広げ、「TOKYO SKA JAM」の“春の宴”は、にぎやかなムードの中で大団円を迎える。興奮が伝わる熱い拍手を観客から送られ、大森は「楽しかったよ、ホントにありがとう!」とひと言。加藤は「またどこかで会おうね!」と再会を約束し、客席に大きく手を振りながら会場をあとにした。
このライブのアーカイブ映像は、3月28日(日)23:59まで配信中。視聴チケットは3月28日(日)21:00まで購入することができる。
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SPACE SHOWER TV & TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA "LIVE with YOU"~TOKYO SKA JAM 9+~ 2021年3月22日 チームスマイル・豊洲PIT セットリスト
01. 多重露光
02. 5 Days of TEQUILA
03. ペドラーズ
04. Pride Of Lions
05. Great Conjunction 2020
06. STORM RIDER
07. めくれたオレンジ(ゲストボーカル:
08. 仮面ライダーセイバー
09. Paradise Has No Border
10. DOWN BEAT STOMP(ゲストアーティスト:Jean-Ken Johnny、Tokyo Tanaka)
11. 花ふぶき~愛だろ、愛っ。~
12. JUMON
13. GUNSHOTS(ゲストボーカル:MAH)
14. All Good Ska Is One(ゲストボーカル:MAH)
15. 倒れないドミノ
16. 水琴窟-SUIKINKUTSU-
17. 追憶のライラック(ゲストボーカル:大木伸夫)
18. Glorious
<アンコール>
19. 美しく燃える森(ゲストアーティスト:milet、Jean-Ken Johnny、Tokyo Tanaka、MAH、大木伸夫)
20. スキャラバン
リンク
谷中敦bot※停止中 @yanaka1225_bot
ゲストの方たちは“光”ですね。僕らが1つの部屋だとすると、ゲストの皆さんは窓から差し込んできてくれる光。そういう縁を大事にしていきたいよね
【音楽ナタリー「SPACE SHOWER TV & TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA "LIVE with YOU"~TOKYO SKA JAM 9+~」(20210324) /https://t.co/Pz5pskHgIp】