神宿初のZeppツアーとして2020年12月に幕を開けた今回のツアー。神宿の5人は福岡、大阪、東京、北海道、愛知と5都市6カ所のZepp会場を年をまたいで巡り、グループの進化をステージで証明した。千秋楽となったZepp DiverCity公演はYouTubeで生配信も行われ、会場に足を運ぶことができなかった全国の舁夫(神宿ファンの呼称)もリアルタイムで5人のパフォーマンスを楽しんだ。
最終公演のオープニングを飾ったのは、昨秋リリースされた最新アルバム「THE LIFE OF IDOL」からのナンバー「明日、また君に会える」。さわやかにライブをスタートさせた神宿は、同じく「THE LIFE OF IDOL」から「Brush!!」を続けて歌うと、会場およびムービーカメラの向こうの舁夫に挨拶し、5人それぞれライブの意気込みを語った。そして「グリズリーに襲われたら▽」「CONVERSATION FANCY」とポップでキャッチーな2曲が披露されたところでステージは暗転。神宿での仕事を終え帰路に着くメンバーのプライベートな側面が垣間見えるイメージ映像が流れる。夜道を歩く羽島めい、塩見きらのシーンが終わると、ハットにジャージパンツというラフな衣装にチェンジしためいが1人でステージへ。グループ結成当時の思いを歌うラップナンバー「Intro:Attitude」をソロで披露した。めいと入れ替わりで登場した塩見きらは、エレキギターを鳴らしながらソロ曲「Twenty」をパフォーマンス。透明感のある歌声を会場に響かせた。
再び5人がステージにそろうと、「ボクハプラチナ」「MAD GIRL」と、かつての神宿にはなかったシリアスでディープな楽曲を連発。さらに一ノ瀬みか、小山ひな、塩見の3人で熱唱する「Erasor」、歪んだギターの強烈なフィードバック音で始まる「全身全霊ラプソディ」へとつなげ、冒頭のポップさとは正反対の表情を見せた。再度暗転ののち、羽島みきと小山のイメージ映像が流れ、みきはソロ楽曲「トキメキ☆チュウ」をバレエ経験を生かした振り付けとともに披露。小山はチェアに腰かけて神宿の楽曲「ビ・ビ・ビ▽」「好きといわせてもらってもいいですか?」をアコースティックアレンジで歌い上げた。
ポジティブ全開の元気なナンバー「ほめろ!」、みき&めいの羽島姉妹によるユニット曲「SISTERS」とバラエティに富んだステージ運びで観客と視聴者を楽しませる神宿。ソロパートのラストを務めた一ノ瀬は、テレビ朝日系「関ジャム 完全燃SHOW」でも取り上げられ話題となったジャスティン・ビーバー「Love Yourself」のカバーを含む洋楽メドレーを披露した。5人に戻り間髪入れずに始まった「春風Ambitious」からライブは終盤へ。「Action!」「必殺!超神宿旋風」「お控えなすって神宿でござる」とライブ定番のアッパーチューンでフロアを盛り上げた神宿は、アルバム「THE LIFE OF IDOL」のラストナンバー「Orange Blossom」でライブをしっとりと締めくくり、ステージに穏やかな余韻を残した。
メンバーがステージを去ると、スクリーンを使って新たに決定した神宿史上最大規模の全国ツアー「KAMIYADO THIS IS THE DREAM TOUR」の開催が告知され、会場の舁夫たちはスクロールで流れてくる公演数の多さに驚きつつ拍手を鳴らし大盛り上がり。また塩見の加入からちょうど2年となる4月29日には、東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でアニバーサリーライブ「神が宿る場所~ここが私の生きる場所~ KAMIYADO 2ND ANNIVERSARY LIVE」が行われることも発表された。
発表を終えたところで5人は再度ステージに上がり、今回のツアーを終えた心境を語る。みきは初めてワンマンでZepp DiverCityのステージに立った2016年12月のことを振り返り、「そのときはこうしてZeppツアーなんてやれるようになるなんて思ってもいなかったし、こうして実現できたのは皆さんのおかげだと思っています。Zeppツアーということでいろいろと悩んでしまって、正直ステージに立つ自信がなかった。でも、みんなのおかげで成長できたし、次のツアーではよりたくさんの人にみきを観てもらいたいなと今は思っています」と堂々とした表情を見せた。塩見は「私は神宿に入るまでやりたいことがなかったんですよ。周りの目を気にしながら作り笑いしてなんとなく毎日を過ごしていた。そんな自分が嫌で、神宿のオーディションを受けました。うまく踊れなくてうまく歌えなくて、悔しくて涙を流すこともあって。オーディションの頃からずっと私は泣いてばかりだけど、それ以上に笑顔であふれる毎日になっています。それは支えてくれるみんなのおかげです」と涙ながらに語り、「春のツアーでは初めて地元愛媛に帰ります。大好きなメンバーと、大好きな舁夫さんと、夢のような時間をもっともっと作っていきたいです。私は例え客席にあなた1人になったとしても、1人のために歌い続けます。だからずっと付いてきてほしい。ここが私の生きる場所です」と決意を新たにした。
一ノ瀬は「Zeppツアーが決まったときは正直不安で、怖くて。期待はどんどん膨らんでいると実感したし、背負うものも膨大な数になってきていると肌で感じていました。言葉1つひとつ、発するのが怖かったです。そうして1人で考えていると、頭に“孤独”という文字が浮かんでくるんですね。すごくつらかった」と偽らざる心情を吐露しつつ「でも、こうしてステージに立つとたくさんの笑顔で迎えてくれるみんなのことを、本当に心の底から大好きだと思いました。全国ツアー、そして渋谷公会堂でのワンマン。どんな笑顔が見れるのか楽しみです」と客席に笑顔を向ける。小山は「いろいろな選択肢がある中で今日ここに来てくれたみんな、ライブを観てくれているみんな、神宿を選んでくれてありがとう。普段は別々の世界で生きてるけど、この時間だけは私が君のことを、みんなのことを独り占めできてる気がしてとってもうれしかった。生きていたらつらいこととか逃げ出したいこととかあるけど、やっぱり私はこの大事な4人とステージに立つことが大好きだなって思えた。次は全国ツアーでみんなに選んでもらえるようにがんばります」とコメント。めいは「3日前から“16時間ダイエット”を始めました」という語り出しから「きついダイエットをしていると思うことがあって。生物がいかに食べ物で生かされているのかが痛いほどわかったの。食べることがしゃべったり走ったり働いたりするエネルギーにつながっているけど、単においしいものが食べたくて外食したりするでしょ? 神宿のライブってレストランだと思うんですよ。1つのライブがコース料理だと思っていて。曲をどんなふうにつなげてどう味わってもらえるか。私たちはみんなに幸せを食べてもらいたいんですよ。幸せでお腹いっぱいになってほしいの。今日は事情で来れなかった人も多いと思うけど、正直、生で味わってほしいと思っています。ツアーでは『レストラン神宿』みたいな感じで皆さんのところに行くので、ぜひお腹をすかせて待っていてください」と言葉を結んだ。
YouTubeの生配信はこれにて終了となったが、神宿の5人は会場の舁夫に向けて、さらに「それから」と「KMYD」の2曲をパフォーマンス。フロアを幸せなムードで満たし、Zeppツアー全公演を終えた。
神宿 Zepp Tour 2020-2021 Bloom of Life
2021年2月23日 Zepp DiverCity(TOKYO)セットリスト
01. 明日、また君に会える
02. Brush!!
03. グリズリーに襲われたら▽
04. CONVERSATION FANCY
05. Intro:Attitude / 羽島めい
06. Twenty / 塩見きら
07. ボクハプラチナ
08. MAD GIRL
09. Erasor / 一ノ瀬みか、塩見きら、小山ひな
10. 全身全霊ラプソディ
11. トキメキ☆チュウ / 羽島みき
12. ビ・ビ・ビ▽~好きといわせてもらってもいいですか? / 小山ひな
13. ほめろ!
14. SISTERS / 羽島みき、羽島めい
15. Fly Me to the Moon~Love Yourself~Dynamite / 一ノ瀬みか
16. 春風Ambitious
17. Action!
18. 必殺!超
19. お控えなすって神宿でござる
20. Orange Blossom
<会場のみアンコール>
21. それから
22. KMYD
※「グリズリーに襲われたら▽」「ビ・ビ・ビ▽」の▽はハートマークが正式表記。
関連商品
音楽ナタリー @natalie_mu
【ライブレポート】神宿、新たな一面見せたZeppツアー完走し次の旅へ「ぜひお腹をすかせて待っていて」(写真70枚)
https://t.co/TvZOlvuW5b
#神宿 https://t.co/Yyqi8wdRUu