オープニングDJは森雅樹(G)が自ら務め、ジャズやジャンプブルース、R&Bを中心とした「キネマ倶楽部に浸るみたいな」渋めな選曲で場内に心地よいムードを作り上げた。客電が落ち、ステージ下手のバルコニーにスポットライトが当たると、そこにはバンジョーを手にした森の姿が。彼がおもむろに演奏を始めると、後方のカーテンの隙間から中納良恵(Vo)が登場してディズニー映画「Jungle Book」の挿入歌「I Wanna Be Like You」を歌唱。そこにバンドメンバーが1人ひとり加わっていきマーチングバンド風の演奏で彼女のボーカルを賑々しく盛り上げる。この日のライブで2人の脇を固めたのは、真船勝博(B)、伊藤大地(Dr /
最初のMCで中納はソーシャルディスタンスが確保されたフロアを見渡して、「去年までギュウギュウ詰めだったのに、いきなり人気がなくなったバンドみたいな(笑)」と観客の笑いを誘いつつ、「ディスタンスだけど気持ちはハイオク満タンで来てますんで」と力強く意気込みを述べる。ブルージーなサウンドで酔わせる「GI GO LO」、マニアックな選曲センスが炸裂したグロリア・アーヴィング「I Need A Man」のカバーに続けて、「Nervous Breakdown」「サイコアナルシス」といったライブでおなじみの楽曲が立て続けに繰り出されるとフロアは大きな盛り上がりを見せた。「次は懐かしい曲を」という中納の言葉に続けて披露されたのは2000年発表のミニアルバム「色彩のブルース」に収録されているミディアムチューン「タバコ」。観客たちは静かに喜びを噛みしめるかのように哀愁漂う楽曲の世界に浸っていた。
アンニュイな雰囲気の「あしながのサルヴァドール」、中納が自由奔放なスキャットを聞かせる「チェルシーはうわの空」を経てライブは中盤に差しかかる。中納がステージ袖にはけると、森いわく「ジャマイカンオールディーズを守る会による趣味のコーナー(笑)」がスタート。バンドは「007」「Charade」といった映画のテーマ曲をスカアレンジでカバーして、ルーディなサウンドでフロアを揺らす。続く「Time For Change」で中納が合流し、「A Little Dance SKA」では軽快なダウンビートに乗せて晴れやかな歌声を会場いっぱいに響かせた。
満を持して「色彩のブルース」を届けたのち、中納と森は2001年に東京キネマ倶楽部で「Midnight Dejavu」をスタートさせた当時を回想。もともとはグランドキャバレーであったこの会場を“ライブスペース”として使用するにあたり、自ら音響機材を持ち込むなどD.I.Y.で試行錯誤を繰り広げていたことを振り返った。エゴは終盤にかけて「CAPTURE」「くちばしにチェリー」「Mother Ship」といったキラーチューンを間髪入れずに畳みかけ場内に狂騒的なムードを作り上げる。ライブで定番と化している「くちばしにチェリー」でのコール&レスポンスのパートでは、声を上げられない観客たちが熱唱する中納に向けて力いっぱい手を伸ばし、ステージとフロアの間でソウルフルな交歓を繰り広げていた。
アンコールでは中納と森がバルコニーに登場。「老いぼれ犬のセレナーデ」では森が奏でるメランコリックなエレキギターの調べに乗せて、中納が情感あふれる歌声をじっくりと聞かせる。ノスタルジックな「かつて..。」を挟み、エゴは最後に「Midnight Dejavu」の20周年を記念したメモリアルソング「カーテンコール」を披露。ゆったりとしたサウンドと中納の温かみのある歌声が溶け合い、メロウな雰囲気の中ライブはフィナーレを迎えた。
「EGO-WRAPPIN' live Midnight Dejavu」2020年12月19日 東京キネマ倶楽部 セットリスト
01. I Wanna Be Like You
02. Crazy Fruits
03. PARANOIA
04. GI GO LO
05. I Need A Man
06. Nervous Breakdown
07. サイコアナルシス
08. タバコ
09. あしながのサルヴァドール
10. チェルシーはうわの空
11. 007
12. Charade
13. Time For Change
14. A Little Dance SKA
15. 色彩のブルース
16. CAPTURE
17. くちばしにチェリー
18. Mother Ship
<アンコール>
19. 老いぼれ犬のセレナーデ
20. かつて..。
21. カーテンコール
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EGO-WRAPPIN'「カーテンコール」
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【ライブレポート】EGO-WRAPPIN'、20周年迎えた年末キネマ倶楽部公演で「ディスタンスだけど気持ちはハイオク満タン」(写真10枚) https://t.co/4JSTrwn3ZS