最新アルバム「Agapanthus」のリリースツアーは4月から5月にかけて行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて開催中止に。約半年を経て、このツアーに代わる公演として幕張でワンマンライブ2DAYSが実施されることとなった。アルバムタイトルになっているアガパンサスの花は“ラブレター”“愛の言葉”という花言葉を持つ。それにちなんでライブは“手紙”をテーマに、麻倉がファンに向けて手紙をつづっている映像を挟みながら展開された。
オープニング映像では麻倉が手紙に「新しい生活にはもう慣れた? 桜の季節に植えたアガパンサスはすくすく育っています。つぼみの咲く頃にまたお手紙します」という言葉をつづる。映像が終わるとステージを覆うカーテンが開き、アガパンサスの花が咲くメルヘンなステージセットが現れた。麻倉はステージセットの上部に立ち、アルバムのリード曲「Agapanthus」を歌い始める。蝶々が飛び交うなど紗幕を使った演出に彩られながら、麻倉は可憐な歌声を響かせた。
イメージカラーのピンクの衣装に身を包んだ麻倉は「ライブ『Agapanthus』にようこそー!」と元気いっぱいに観客に挨拶し、ダンサーを従えて「スマッシュ・ドロップ」を披露。新型コロナウイルス感染防止のために声を出せなくとも、観客はピンクのペンライトを振って彼女のパフォーマンスに応えた。そんな観客の思いを受け取って、麻倉は「カラフル」をキュートに歌唱。振り付けやハンドクラップで1つとなったオーディエンスに向かって「ありがとうー!」と満面の笑顔を見せた。「トキメキ・シンパシー」では麻倉とダンサーが花道やセンターステージへ。観客の熱い視線を浴びながら、手でハートマークを形作ってラブリーなダンスを披露した。
ダンサーが一度去り、センターステージに1人となった麻倉は「アルバムには恋の歌をぎゅっと詰め込みました。皆さんが共感できるものはありましたか?」とオーディエンスに呼びかけ、それに応える拍手を受けて「あるんだ。へえ、いいね。それがリア充ってやつですかね」と観客を笑わせた。そして麻倉はアガパンサスの花言葉である“ラブレター”について「最近は手紙ではなくLINEで済ませちゃうこともあると思うんですよ。でも、直筆で手紙を書くことにも意味があるかもしれませんね」と語り、「いつも温かいお手紙を皆さんからいただいて。熱い思いがつづられた30枚くらいのお手紙が届いたこともあるんですよ。なかなか皆さんに会えない期間が続いていたんですけど、そんな中、皆さんの温かいお手紙で勇気づけられました」と感謝を述べた。
ここで再び映像が流れ、その中で麻倉は「新緑の季節になって街路樹も青々としてきました。こんなに会えない時間が長いのは初めてだね。日常の中で会えたり一緒に歌ったりできてたのってこんなに特別だったんだ」「一緒に植えたアガパンサスに毎日水やりをしながら、元気かな、笑顔でいるかなって思っています。種を植えれば芽が出るように、当たり前の変わらない日々が続くと思っていたけど……咲かない花はないよね。早くつぼみが開くといいな」と希望をつづった。映像が終わるとバックステージにスポットライトの光が当たり、そこには純白の衣装に身を包んだ麻倉の姿が。麻倉はカントリー調の楽曲「“さよなら”聞いて。」を柔らかな表情で歌唱。ハンドクラップを浴びながら、初恋の人との別れをたおやかに歌唱した。続いて麻倉はピンクのソファーや机が設置されて部屋のような空間が作られたセンターステージで「Twinkle Love」を披露。ハートのクッションを抱き抱えたり、手紙を書いたりしながら楽曲を歌い上げた。
ミラーボールが放つ光をバックに「星空を想えば」で伸びやかな歌声を響かせた麻倉は、「今年は私にとって当たり前が当たり前じゃないんだなって気付かされるような1年でした。突然いろんなことが変わってしまって、心配なことや不安なことがとても増えました。いつもの日常がこんなにありがたかったんだなって改めて考えさせられました」と胸の内を明かす。そして「思いを伝える機会が減ってしまって、もどかしさもありますが、続いてのパートではそんな思いも込めて皆さんに楽曲を届けたいと思います」と述べ、「花に赤い糸」をじっくりと歌い上げた。その後麻倉はバラード曲「今すぐに」を歌唱。会えない時間の寂しさを切ない歌声で表現した。楽曲と連動するように、直後の映像でも「会えない時間に思いが募るって本当だね。今すぐにでも会いたい気持ちを我慢する夜は長いよ。本当はもっと早く会えると思っていたんだけど……でも、一生懸命がんばってることは知ってるから。同じ空の下、手紙の向こうで応援してるよ。アガパンサスのつぼみが膨らんできました。花開く頃、会いに行きます」と募る思いが手紙につづられた。
映像では季節が巡り、麻倉は「いよいよ待ちに待ったひさびさに会える日だね。この手紙が届く頃にはもう会えてたりして。ちょっと緊張しちゃう。ひさしぶりだからって会ったときに大声を出したり飛び跳ねたりしちゃダメだよ。きっとそのうれしそうな表情や視線でお互い伝わるから」「桜の季節に植えたアガパンサスは華やいできました。花束にして会いに行くね」とうれしそうに言葉をつづった。映像が終わると、赤い衣装にチェンジした麻倉が元気いっぱいに登場し、ダンサーと共に「Good Job!」をパフォーマンス。親指を上に向ける“グッド”のハンドサインを取り入れた振り付けを観客と一緒に楽しんだ。麻倉は“手紙”をテーマにしたライブについて「しっとりとした大人っぽいもちょが見せられたんじゃないかなと思います」と語ったあと、デビュー曲「明日は君と。」をさわやかに歌唱。さらにロックナンバー「秘密のアフレイド」を拳を突き上げながらエネルギッシュに披露した。
「ここからさらに盛り上がるために私と遊びましょう!」と麻倉は観客に呼びかけ、さまざまなリズムのクラップや振り付けを観客にレクチャー。会場の一体感が高まったところで「Shake it up!」を披露し、手を使ったキャッチーな振り付けで会場を盛り上げた。その勢いをさらに加速させるように麻倉は「トクベツいちばん!!」をキュートにパフォーマンス。麻倉とファンの掛け声があって初めて成り立つという楽曲「妄想メルヘンガール」では、麻倉の熱い思いによって事前にファンから募集した掛け声がライブに取り入れられた。「Fanfare!!」を楽しげに届けたあと、麻倉は11月11日にリリースした最新シングル「僕だけに見える星」について「基本的に私は女性目線の恋の歌を歌っていることが多くて。こんなに視点をぼやかした歌はなかったんですが、たくさんの年齢、性別の方に寄り添えるようにこういうシングルを作ってみました」とコメント。最後にその「僕だけに見える星」を披露し、温かな歌声を会場いっぱいに響かせた。
アンコールで再びステージに登場した麻倉は「No Distance」を歌い、心の距離はないというポジティブなメッセージをファンに届ける。「ユメシンデレラ」では花道をゆっくりと歩きながら客席に手を振った。麻倉は客席を見渡し、「最初ライブをやることになったときは、どうなるんだろうって思ってたんです。みんな無言で無表情で見てるんじゃないかな、拍手のタイミングも難しいしパラパラとしか拍手がないんじゃないかなって。でもみんな練習してきたかのようにほしいところで拍手をくれて、ペンライトを振ってほしいところで振ってくれて、手を上げてほしいところで上げてくれて、みんなの『一緒にライブを作ろう』という気持ちを受け取りました。最初は不安でいっぱいだったんですけど、ずっとここにいたいって思えるくらいアットホームな空間になりました」と顔をほころばせる。そして「ありがとうしかないです。こんなに素敵な時間をくれて、本当にありがとうございます。また絶対いつか、今度は声を出せるときに会おうね!」と再会を誓った。
最後の1曲に選ばれたのは「365×LOVE」。麻倉の楽曲には恋の歌が多いが、この曲から「私は恋の歌を歌いたい」という気持ちがより強くなったという。麻倉は「私が何やりたいかどういうものが伝えたいのか分かり始めた曲です。この曲が私のスタートだという思いを込めて、アルバムの1曲目に入れました。今日はここからが始まり、ここから続いていくという気持ちで、笑顔で皆さんに届けたいなと思います」と語り、この曲を生き生きと歌唱。「また会いましょうね!」とマイクを通さずに叫び、大きな拍手を浴びながら笑顔で手を振ってステージの奥へと去って行った。
このライブの模様は12月23日に有料配信される。ライブの配信後には麻倉によるアフタートークも行われる予定。
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麻倉もも「LAWSON presents 麻倉もも Live 2020 “Agapanthus”」2020年11月15日 幕張メッセ 幕張イベントホール セットリスト
01. Agapanthus
02. スマッシュ・ドロップ
03. カラフル
04. トキメキ・シンパシー
05. “さよなら”聞いて。
06. Twinkle Love
07. 星空を想えば
08. 花に赤い糸
09. 今すぐに
10. Good Job!
11. 明日は君と。
12. 秘密のアフレイド
13. Shake it up!
14. トクベツいちばん!!
15. 妄想メルヘンガール
16. Fanfare!!
17. 僕だけに見える星
<アンコール>
18. No Distance
19. ユメシンデレラ
20. 365×LOVE
麻倉もも「LAWSON presents 麻倉もも Live 2020 "Agapanthus"」
2020年12月23日(水)19:30~
ろぅりぃ💕 @yui0920present1
麻倉ももが幕張でファンと再会、真っすぐに届けた“愛の言葉” #SmartNews https://t.co/16iMmtoZDy