MCバトルの全国大会「UMB GRAND CHAMPIONSHIP」で3連覇を成し遂げたR-指定と、DJの世界大会「DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIP FINALS 2019」バトル部門で優勝したDJ 松永は、ヒップホップシーンのみならずバラエティやドラマなど多数の番組で存在感を発揮。等身大の魅力でお茶の間の人気を博し、一躍時の人となった。
そんなCreepy Nutsにとって初の日本武道館でのワンマンライブとなった11、12日の公演。新型コロナウイルス感染防止対策を徹底しつつ観客を動員して行われ、2日目の模様はThumva、LINE LIVE-VIEWING、Streaming+を通じて中継された。セットリストは各日共に、8月発売の最新アルバム「かつて天才だった俺たちへ」の収録曲をはじめ、初期の楽曲や初披露の新曲など、これまでのキャリアを総括するような選曲で構成。また、木村拓哉をリスペクトするR-指定は木村が歌番組への出演時に歌詞を一部変更するアドリブを“木村”と呼び、9月にテレビ朝日系「ミュージックステーション」に出演した際に“木村”を行って視聴者を沸かせたが、武道館公演でもアドリブを随所に盛り込んでファンを歓喜させた。
そろいの黒い衣装でサブステージに姿を現したCreepy Nutsは「スポットライト」でライブを開始。「生業」「耳無し芳一Style」では緊迫感のあるムードの中、R-指定が不穏なトラックに乗せて高速ラップを繰り出し、観客から拍手喝采を浴びた。花道を通りメインステージに移動した彼らは、ステージに立ちたいという欲求を表現した「ヘルレイザー」をパフォーマンス。「今日の主役はこんな状況でも来てくれたお客さんですよ」というR-指定の言葉と共に、2人は「助演男優賞」でライブを盛り上げ、日本武道館公演も行われた「オードリーのオールナイトニッポン10周年全国ツアー」のテーマソング「よふかしのうた」、ジャジーなサウンドにアダルトなリリックを乗せた「阿婆擦れ」ではオーディエンスがソーシャルディスタンスを保ちながら手を上げ体を揺らした。
ひと息ついた2人は、初日公演を振り返って感慨に浸り始める。R-指定は、公演中はなんとか涙をこらえていたDJ 松永が終演後に楽屋にこもって号泣したエピソードを明かし、ライブを観に来た先輩・般若もドン引きしていたと暴露。和やかな雰囲気でテンポよくトークを続けていた2人だったものの、武道館のステージにいることを改めて実感したようで、自然と表情が引き締まる。さらに彼らは多くの人々の協力によって武道館公演が成り立っていることを述べ、スタッフやファンに向けて感謝の言葉を口にした。続いて2人はTHE HIGH-LOWSのカバー「日曜日よりの使者」や「サントラ」といった、Creepy Nuts × 菅田将暉名義の楽曲をエモーショナルにパフォーマンス。R-指定がマイクを握り締めながら菅田のパートを熱唱すると、それに合わせてオーディエンスが左右に手を振った。
ライブ中盤に「武道館は気持ちいいね」とアイコンタクトを交わした2人はラップ、DJを始めた当時を回想し、こみ上げる感情をあらわに。tella(梅田サイファー)の家で宅録したCreepy Nutsにとって初めての曲「シラフで酔狂」を披露し、山里亮太(南海キャンディーズ)と若林正恭(オードリー)のバラエティ番組「たりないふたり」のファンである2人は「たりないふたり」「さよなら たりないふたり」を畳みかけた。R-指定のソロ曲「使えない奴ら」というレアな選曲でファンを驚かせた彼らは、出会った当時を振り返りながら、今も変わらぬヒップホップへの愛を伝える。R-指定はしばらく思い出を懐かしんでいたが、DJ 松永の異変を察知。タオルで顔を覆いながら泣き顔を隠すDJ 松永を前に、困惑した表情を浮かべていた。DJ 松永が落ち着いたところで、2人は「フリースタイルダンジョン」のブームを冷静に捉えた「未来予想図」、哀愁のにじむ「朝焼け」を披露。本編最後の曲を前に、R-指定がテークエム(梅田サイファー)とのやりとりを思い出しながら、「ヒップホップはセラピーやと思います。ヒップホップに限らず音楽の表現に触れると、現実に向き合う力をくれます。ヒップホップが面白いのは、人間性がもろに出る音楽だからやと思う」と熱弁。さらに「生まれた瞬間のことを思い出してほしい。世間に揉まれてないまっさらな状態。これは天才の状態なんですよ。その気持ちを30手前に思い出しました。赤ちゃんみたいに好奇心いっぱいに、いろんなことに挑戦していきたいと思います」と言葉に力を込め、彼らは「かつて天才だった俺たちへ」をパフォーマンスしたあと、深々と頭を下げてステージを去った。
観客が手にするスマートフォンのライトに照らされ、舞台に再登場したR-指定とDJ 松永。「いつも通りのライブをしよう」という思いのもと、Creepy Nutsのライブ恒例の“聖徳太子スタイルフリースタイルRAP”を始める。R-指定がファンから集めたワードを入れて即興ラップを披露するこのコーナー。会場内に設置した“お題投函箱”を通じて来場者から募集した「マロニーちゃん」「鬼滅の刃」「オードリー」「小野妹子」「ジャスミン茶」「渋沢栄一」「ナンバープレート」「マイナス金利」という8つのワードを加え、見事フリースタイルラップをやりきった。この流れに乗ってDJ 松永も自身のDJスキルを披露。リフトアップしたサブステージ上で上着を脱ぎ、華麗な指さばきを見せつけた。互いのスキルをアピールした2人は、ある対象に向けての本音を表現したという新曲「bad orangez」を聴かせ、「グレートジャーニー」で次なるライブでの再会をファンに誓い、晴れやかな表情でステージをあとにした。
12日公演の映像は11月19日までアーカイブ公開中。なおCreepy Nutsは12月19日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で「Creepy Nuts 準ワンマンライブ『延長戦』at LINE CUBE SHIBUYA」、2021年1月から3月にかけてライブツアー「Creepy Nuts ONE MAN TOUR かつて天才だった俺たちへ」を開催する。
関連する特集・インタビュー
「Creepy Nuts One Man Live『かつて天才だった俺たちへ』日本武道館公演」2020年11月12日 セットリスト
01. スポットライト
02. 生業
03. 耳無し芳一Style
04. ヘルレイザー
05. 助演男優賞
06. よふかしのうた
07. 紙様
08. 阿婆擦れ
09. オトナ
10. 日曜日よりの使者
11. サントラ
12. シラフで酔狂
13. たりないふたり
14. さよなら たりないふたり
15. 合法的トビ方ノススメ
16. トレンチコートマフィア
17. 使えない奴ら
18. 未来予想図
19. 朝焼け
20. Dr.フランケンシュタイン
21. かつて天才だった俺たちへ
<アンコール>
22. 聖徳太子スタイル
23. ルーティーン
24. bad orangez
25. グレートジャーニー
Creepy Nuts 準ワンマンライブ「延長戦」at LINE CUBE SHIBUYA
2020年12月19日(土)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
Creepy Nuts One Man Tour 「かつて天才だった俺たちへ」
2021年1月9日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
2021年1月10日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
2021年1月15日(金)愛知県 Zepp Nagoya
2021年1月17日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
2021年1月24日(日)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
2021年1月29日(金)神奈川県 KT Zepp Yokohama
2021年2月7日(日)北海道 Zepp Sapporo
2021年2月10日(水)東京都 Zepp Tokyo
2021年2月11日(木・祝)東京都 Zepp Tokyo
2021年2月14日(日)沖縄県 ミュージックタウン音市場
2021年2月20日(土)香川県 高松festhalle
2021年3月5日(金)新潟県 NIIGATA LOTS
2021年3月6日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
2021年3月11日(木)大阪府 Zepp Osaka Bayside
2021年3月17日(水)神奈川県 ぴあアリーナMM
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ゆっこ。🌈基本箱推し @dearainbow
【ライブレポート】Creepy Nuts初の武道館ワンマンでDJ 松永が涙、R-指定は“木村”で盛り上げる(写真11枚) https://t.co/7yV40ZN9dv
号泣松永写真ないんかい!!!!