ASIAN KUNG-FU GENERATIONが有観客「酔杯」3DAYS完遂、連日若手と相見える

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ASIAN KUNG-FU GENERATIONが10月26~28日に神奈川・KT Zepp Yokohamaにて、有観客での公開収録ライブ「ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2020 酔杯2 ~The Song of Apple~」を開催した。

「触れたい 確かめたい」を披露するASIAN KUNG-FU GENERATIONと塩塚モエカ(羊文学)。(撮影:山川哲矢)

「触れたい 確かめたい」を披露するASIAN KUNG-FU GENERATIONと塩塚モエカ(羊文学)。(撮影:山川哲矢)

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3日間にわたるライブは、初夏に実施予定だった全国ツアー「Tour 2020 酔杯2 ~The Song of Apple~」が新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止されたことを受けて企画されたもの。東郷清丸、YeYe、Jurassic Boys、the chef cooks me、加藤修平(NOT WONK、SADFRANK)、突然少年君島大空羊文学といったアーティストが出演し、“先輩”アジカンと競演を果たした。この記事では君島大空、突然少年、羊文学がゲスト出演した28日公演の模様をレポートする。

君島大空(撮影:山川哲矢)

君島大空(撮影:山川哲矢)[拡大]

トップバッターを務めた君島大空は、西田修大(G)、新井和輝(B / King Gnu)、石若駿(Dr / Answer to Remember、CRCK/LCKS、SMTK)からなる合奏形態でステージへ。丸く柔らかなギターの旋律に乗せて、ささやくような歌声を重ねる「旅」でライブの幕を開けた。手練れのミュージシャンたちと音を紡ぎながら君島は「うれしいですね。お客さんがいて、バンドセットができて」と旧知の仲間と共に観客の前で演奏ができる喜びを口にする。その後、彼は石若が刻む奔放なリズムの上で、西田と新井と共に音を絡ませるトリッキーな「散瞳」、ダイナミズムを感じさせる雄大なミディアムチューン「午後の反射光」、壮大なスケールを描く「遠視のコントラルト」など多様で多彩な楽曲を披露し、最後に爆音をステージに刻み付けてステージを後にした。

突然少年(撮影:山川哲矢)

突然少年(撮影:山川哲矢)[拡大]

続く突然少年のメンバーは、拳を突き合わせ気合いを入れてからスタンバイ。大武茜一郎(Vo, G)は「僕ら、こんな大きいところでライブをすることがあまりなくて……」と少し萎縮しながら、まずは自分たちのパフォーマンスを支える全国から集まったスタッフを紹介する。「ライブハウスからやってきました、僕ら突然少年と言います」という大武の丁寧な挨拶とは裏腹に、演奏が始まれば表情を一変。1曲目の「ボール」から岩本斗尉(Dr)と戸田源一郎(B)のリズム隊によるエネルギーがみなぎるようなビートに、カニユウヤ(G)がかき鳴らすノイジーかつメロディアスな旋律、大武の魂を振り絞るような歌と絶唱が渾然一体となってフロアを揺らしていた。なお、MCでは大武が突然少年を組んで初めてコピーした楽曲がアジカンの「リライト」だったことを告白し、「火ヲ灯ス」のアウトロでは「新世界」の一節を歌い、最後に「アジカン先輩、今日は呼んでくれてありがとうございます」とペコリと頭を下げ拍手を浴びていた。

羊文学(撮影:川島悠輝)

羊文学(撮影:川島悠輝)[拡大]

羊文学は、塩塚モエカ(Vo, G)と河西ゆりか(B)がそろいの柄のワンピース、フクダヒロア(Dr)が黒一色のシンプルな装いで登場。塩塚の憂いをにじませた繊細な声と、フクダがタイトなグルーヴを刻む「ドラマ」を皮切りに、「砂漠のきみへ」「ロマンス」を続けて披露した。序盤は少し緊張した面持ちの3人だったが、時間の経過と共に表情が和らぎ、奏でられる音も伸びやかなものに。塩塚が「ひさびさに屋根のあるところで演奏してます」「アジカンさんに呼んでいただけるなんて、人生がんばった感じするよね」としみじみすればゆりかもそれに同意する。そんな2人のやり取りに、フロアに温かな空気が漂った。ひと息ついたところで3人は、塩塚とゆりかがノイジーな轟音の中で凛としたハーモニーを響かせる「1999」、会話をするような軽やかなコーラスワークを聴かせる「天気予報」を届け、大きな拍手に送られながら退場した。

ASIAN KUNG-FU GENERATION(撮影:山川哲矢)

ASIAN KUNG-FU GENERATION(撮影:山川哲矢)[拡大]

イベントのホストであるASIAN KUNG-FU GENERATIONは、シモリョーこと下村亮介(the chef cooks me)をサポートに迎えた編成で約1時間にわたってパフォーマンスを展開。序盤で後藤正文(Vo, G)がうねるようなギターリフに乗せて「センスレス」を歌い始めると、オーディエンスは次々と席から立ち上がりそのグルーヴに身を委ねる。新型コロナウイルス感染拡大防止のため声を出すことは禁じられていたが、観客はソーシャルディスタンスを保った状態で体を揺らし、普段コール&レスポンスが行われるパートでは拳を突き上げて応えるなど、5人が鳴らす爆音を全身で堪能していた。

後藤正文(Vo, G / ASIAN KUNG-FU GENERATION)(撮影:山川哲矢)

後藤正文(Vo, G / ASIAN KUNG-FU GENERATION)(撮影:山川哲矢)[拡大]

この日のセットリストを構成したのは、「Re:Re:」「ワールドアパート」「惑星」「リライト」といった懐かしいナンバーから、「UCLA」「ボーイズ&ガールズ」といった近年の楽曲まで、バンドのキャリアを代表するナンバーたち。5人はタイトかつソリッドなプレイを繰り出し、盤石のバンドサウンドでライブハウスを満たしていった。本編中のハイライトとなったのは塩塚をゲストボーカルとして招いた最新曲「触れたい 確かめたい」。甘くたおやかな塩塚の歌声と、後藤の低く骨のあるボーカル、楽器隊の豊かなアンサンブルが絶妙に溶け合いオーディエンスを酔わせた。アンコールで後藤は3日連続公演の疲労が背中に出たとボヤきつつも、「(みんなに)エネルギーをもらったのか、今日はめちゃくちゃ声が出ましたね」と満足げ。またコロナ禍に生きるファンに思いを馳せながら、「ホントにホントにタフな時代だから、今を生き抜いて。またどこかで生きて会いましょう」と呼びかけ「解放区」につなげた。シンガロングができないオーディエンスに代わり、ステージ上のメンバーは力強く大きな歌声を重ね、会場を優しく包み込んでいく。そして最後に5人がこれまでのライブと同じように、肩を組みお辞儀をすると、この日一番の拍手が沸き起こった。

なお3日間のライブの模様は12月18日(金)と19日(土)に、Streaming+、PIA LIVE STREAMING、ZAIKOで有料配信される。

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※記事初出時、カメラマンクレジットに誤字がありました。お詫びして訂正いたします。

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