くるり&岸田繁楽団、充実のパフォーマンスを繰り広げた初のオンライン「音博」

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くるり主催のライブイベント「京都音楽博覧会2020」の模様が、昨日9月20日にStreaming+にて配信された。この記事ではその模様をレポートする。なおライブのアーカイブ映像がチケット購入者を対象に9月27日まで公開されているので、これから視聴する方はご注意を。

前列くるり。後列左から野崎泰弘(Key)、松本大樹(G)、BOBO(Dr)。(撮影:井上嘉和)

前列くるり。後列左から野崎泰弘(Key)、松本大樹(G)、BOBO(Dr)。(撮影:井上嘉和)

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例年は京都・梅小路公園で行われている「音博」だが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえて、初めてオンライン形式で行われることに。京都市内にある老舗ライブハウス・拾得を舞台に、岸田繁(Vo, G)が楽団長を務める岸田繁楽団による“演奏会”とくるりのライブが、約2時間にわたって繰り広げられた。

岸田繁楽団(撮影:井上嘉和)

岸田繁楽団(撮影:井上嘉和)[拡大]

畳野彩加(Homecomings)(撮影:井上嘉和)

畳野彩加(Homecomings)(撮影:井上嘉和)[拡大]

岸田繁楽団のコンセプトである「誰でも入れる楽団」「どこでも演奏する楽団」「なんでも演奏する楽団」の説明が画面に映し出されたのち、岸田が弾くアコースティックギターの調べから軽やかなトーンの「Main Theme」で今年の「音博」が開幕。三浦秀秋(Conductor)の指揮に合わせて、楽団員たちは温かなアンサンブルを紡いでいく。続いて届けられたのはTHE BOOM「島唄」と荒井由実「ひこうき雲」のカバー。「島唄」では岸田が朗々とした歌声を響かせ、弦楽器の豊かな音像が彩りを加える。「ひこうき雲」ではゲストボーカルの畳野彩加(Homecomings)が登場し、ユーミンの代表曲を情感豊かに歌唱する。曲が終わると岸田が親指を畳野に向けて掲げ、満面の笑みを浮かべた。そのまま畳野は、平賀さち枝とホームカミングスの「白い光の朝に」をパフォーマンスし、サビでは岸田がコーラスを添えて聴き手を包み込むようなハーモニーを聴かせた。

UCARY & THE VALENTINE(撮影:井上嘉和)

UCARY & THE VALENTINE(撮影:井上嘉和)[拡大]

小山田壮平(撮影:井上嘉和)

小山田壮平(撮影:井上嘉和)[拡大]

岸田繁楽団(撮影:井上嘉和)

岸田繁楽団(撮影:井上嘉和)[拡大]

画面が切り替わったあと、ボーカルマイクの前に立ったのはゲストボーカルであるUCARY & THE VALENTINE。彼女は岸田と息の合った掛け合いを聴かせながら、コミカルなトーンの「ドンじゅらりん」と「琥珀色の街、上海蟹の朝」の2曲を披露した。一瞬の間を置き、画面に現れたのは3人目のゲストボーカルの小山田壮平(ex. andymoriAL)。彼は楽団員たちとファンファン(Tp, Key, Vo)が奏でるスケール感のあるアンサンブルに身を委ね、ときには目を閉じながら「ブレーメン」を堂々と熱唱してみせた。その後、画面にはandymori「1984」のアレンジに勤しむ岸田の姿が。岸田の「同業者の曲にここまで心を持っていかれることはなかったんですよ」という言葉に続いて、カメラの映像が拾得に切り替わる。岸田が奏でるギターの音色に乗せて小山田が歌い出し、その声に楽団員たちの音が重なっていく。さらにサビでは小山田と岸田の声、ファンファンが吹くファンファーレのようなトランペットの音が溶け合い視聴者を魅了した。そして、岸田の貫禄たっぷりの歌いっぷりが印象的だったナポリ民謡「Santa Lucia」と、別れの寂しさを匂わせるような哀愁を帯びたメロディが特徴の「Ending Theme」の2曲をもって岸田繁楽団初の演奏会は終了した。

くるりのライブの様子。(撮影:井上嘉和)

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岸田繁(Vo, G)(撮影:井上嘉和)

岸田繁(Vo, G)(撮影:井上嘉和)[拡大]

その後、間を置かずにくるりによるライブがスタート。サポートの野崎泰弘(Key)、松本大樹(G)、BOBO(Dr)を含め、演者たちはソーシャルディスタンスを保ってフロアにスタンバイすると、「愉快なピーナッツ」を演奏し始めた。カメラは穏やかな表情で歌う岸田や、真剣な眼差しでベースを弾く佐藤征史(B, Vo)の姿を捉え、会場の臨場感を細かに伝えていく。さらにくるりは、ファンファンの柔らかなコーラスが冴えたミディアムチューン「さよならリグレット」、岸田がハンドマイクで渋く激しく歌い上げたジャジーな「京都の大学生」、複雑な曲展開が特徴の「Liberty & Gravity」をパフォーマンス。懐かしい楽曲が彩った序盤から一転して、続くブロックでは新曲を続けて披露し視聴者を驚かせた。哀切に満ちたメロディとバンドサウンド、社会風刺も込めた歌詞が耳に残る「益荒男さん」、くるりの王道とも言えるスケール感のあるミディアムチューン「潮風のアリア」が届けられ、異なるタイプの新曲にチャット欄やTwitterは大いに盛り上がった。

佐藤征史(B, Vo)(撮影:井上嘉和)

佐藤征史(B, Vo)(撮影:井上嘉和)[拡大]

ファンファン(Tp, Key, Vo)(撮影:井上嘉和)

ファンファン(Tp, Key, Vo)(撮影:井上嘉和)[拡大]

ライブの中盤戦ではバンドの代表曲である「虹」「東京」や、最新アルバム「thaw」に収録されている「鍋の中のつみれ」、豪快なロックチューン「トレイン・ロック・フェスティバル」など新旧のナンバーが盤石のアンサンブルで演奏されていく。なお、7月に開催した無観客ライブ「LIVEWIRE くるり in 京都磔磔」ではトークもたっぷり挟みながらパフォーマンスをしていたメンバーだが、今回の配信では集中して演奏するスタイルに。「ロックンロール」では岸田と佐藤が笑いながらそれぞれの楽器を奏で、「怒りのぶるうす」では全員が息ぴったりのプレイを展開する。言葉こそ交わさないものの、音やアイコンタクトでお互いにコミュニケーションを重ね、ライブを堪能していることを全身で表現していた。

インストゥルメンタルナンバー「Tokyo OP」を挟んで始まったのは、岸田繁楽団もプレイした「ブレーメン」。管楽器と弦楽器を中心としたダイナミックな岸田繁楽団とバージョンとは異なり、岸田のつま弾くアコースティックギターやファンファンの吹く伸びやかなトランペットを軸とした素朴なサウンドが、アレンジによって変化する楽曲の魅力や底力を視聴者に伝えた。その後、温かな余韻が残る中で今年の「音博」はいよいよ終盤戦に突入。岸田、佐藤、ファンファンは3人だけで「キャメル」と「宿はなし」の2曲を丁寧にプレイし、「京都音楽博覧会2020」をクライマックスに導く。メンバーの姿が消えたあと、画面には「来年は梅小路公園でお会いしましょう」の文字がファンと約束するように映し出されていた。

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「京都音楽博覧会2020」2020年9月20日セットリスト

岸田繁楽団

01. Main Theme / 岸田繁楽団
02. 島唄 / THE BOOM
03. ひこうき雲 / 荒井由実
04. 白い光の朝に / 平賀さち枝とホームカミングス
05. ドンじゅらりん / 岸田繁
06. 琥珀色の街、上海蟹の朝 / くるり
07. ブレーメン / くるり
08. 1984 / andymori
09. Santa Lucia / ナポリ民謡
10. Ending Theme / 岸田繁楽団

くるり

01. 愉快なピーナッツ
02. さよならリグレット
03. 京都の大学生
04. Liberty & Gravity
05. 益荒男さん(新曲)
06. 潮風のアリア(新曲)
07. 虹
08. 鍋の中のつみれ
09. 太陽のブルース
10. トレイン・ロック・フェスティバル
11. 東京
12. ロックンロール
13. 怒りのぶるうす
14. Tokyo OP
15. ブレーメン
16. キャメル
17. 宿はなし

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