BAD HOP、無観客の横浜アリーナから世界に届けた希望「俺たちは止まらねえ」

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神奈川・川崎の幼なじみ8人からなるヒップホップクルー・BAD HOPが、昨日3月1日に神奈川・横浜アリーナで無観客ライブを行った。

BAD HOP(Photo by cherry chill will.)

BAD HOP(Photo by cherry chill will.)

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2018年11月に東京・日本武道館でのワンマンライブを成功させたあと、2019年6月にライブツアー「COLD IN SUMMER ZEPP TOUR」を行ったBAD HOPは、このツアーの千秋楽で横浜アリーナでのワンマンライブ開催を発表。8人は「BAD HOP WORLD 2020」と銘打ったワンマンライブの準備を自分たちの力で進めてきたが、新型コロナウィルスの感染拡大状況と政府からのイベント自粛要請によりライブは開催が困難な状況となってしまう。ギリギリまで議論を重ねた末、BAD HOPは通常の公演は中止としつつ、本番同様のステージセットで無観客のライブを行い、その模様をYouTubeで生中継することを決断。これにより8人は1億円以上の負債を抱えることとなったが、彼らを支援したいというファンの強い声を受けてライブ当日にスタートしたクラウドファンディングにはライブ前にして約1500万円の金額が集まった。

BAD HOP「BAD HOP WORLD 2020」の様子。(Photo by cherry chill will.)

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BAD HOP「BAD HOP WORLD 2020」の様子。(Photo by cherry chill will.)

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そしてライブ直前、人であふれかえるはずだった広い客席にはスタッフのみが待機。静寂が会場を包む中、定刻を迎えるとオープニングムービーの上映がスタートする。映像は宇宙船に乗って何光年も先にある惑星「BAD HOP WORLD」に向かうというライブのコンセプトを説明する内容で、上映が終わると巨大なLEDモニターが左右に割れ、宇宙船内部を思わせる2階建てのセットと共にT-Pablow、YZERR、Tiji Jojo、Benjazzy、Yellow Pato、G-k.i.d、Vingo、Barkの8人が現れる。海外のトッププロデューサーを迎えて制作した最新作「Lift Off」の収録曲「JET」でライブの口火を切った8人は、ライブ定番曲「I Feel Like Goku」などを交えつつ、「Lift Off」の収録曲を次々に披露。モニターに宇宙の映像が映し出される中、気迫あふれるパフォーマンスを繰り広げていった。その後「2018」でスキルフルな高速ラップを放ったBenjazzyはその勢いのままソロ曲「WAR」を畳みかけ、Vingo、Bark、G-k.i.dの3人はアルバム 「RedruM」から「In The Mode」「RedruM」をパフォーマンス。軽快なビートとポップなサウンドがTiji Jojoの個性を際立たせるソロ曲「PLAYER 1」に続いては、人気曲「Super Car」「Asian Doll」がダイナミックなスケールで披露された。

YZERR(Photo by cherry chill will.)

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YZERR(Photo by cherry chill will.)

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中盤ではYZERRがソロパフォーマンスを展開。18歳の頃に初めて観客として訪れた横浜アリーナのスケールに圧倒され、自分がこのステージに立つことはないだろうと考えていたというYZERRは、たとえ無観客であってもライブが実現したことをファンに感謝し、「俺たちみたいなどうしようもない人間でも、本気でやったらここまで来れるってことに希望を感じてほしかった。そこにお金以上の価値があると俺たちは本気で思っています」と語る。「この配信を観た俺よりも若い子たちが何かに挑戦したい気持ちになったら、それは1億円なんてちっぽけなものに見えてしまうほど素晴らしいことなんです」と次世代への思いを伝えたYZERRはヒップホップへの情熱を込めた新曲「ZION」を披露し、続く「Back Stage」では「同じ場所で見上げてた俺も / 同じ夢を見せるお前にも」と歌った。

「Prologue」でライブ後半戦をスタートさせたBAD HOPは「Ocean View」「White T-Shirt」「Life Style」といったクルーの代表的ナンバーを連発。「京浜工業地帯出身の不良少年たち」というBAD HOPのイメージを決定付けた「Chain Gang」に続く「これ以外」では苛烈な環境を生きる彼らにとってヒップホップが唯一の救いであったことが歌われる。また観客がスマートフォンのバックライトでステージを照らすことが恒例となっているナンバー「Diamond」では、無観客の会場に立つメンバーが配信を見守るファンに向けて「夢に見たシチュエーション」と歌い上げた。

T-Pablow(Photo by cherry chill will.)

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無観客の横浜アリーナ。(Photo by cherry chill will.)

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ライブ終盤、「普通に公演をキャンセルすれば負債は3~4000万円で済んだんですよ。でもコケるんだったら、コケ方にこだわりたいと思った」と語り始めたT-Pablowは、「コロナウイルスのせいでネガティブな気持ちが蔓延しちゃうのが嫌だったんだよ。例えば、このウイルスが最初に広まった中国の人を攻撃したり、心ないことを言ったりさ。俺らは画面越しからポジティブなメッセージを発信したかった」と無観客ライブに込めた思いを伝える。そして「次は俺たちをどんなステージで観たい? みんなのポジティブな気持ちが俺たちを連れて行ってくれるんだよね」とファンに語りかけたT-Pablowが「俺たちは止まらねえ、行くぞ」と告げると、代表曲「Kawasaki Drift」へ。8人は渾身のマイクリレーを繰り広げ、T-Pablowは体を震わせながら「川崎で有名になりたきゃ人殺すか俺みたいになりな!」と叫んだ。そして最後に披露されたのは、BAD HOPのイメージをアップデートする最新作「Lift Off」の収録曲「Foreign」。すべてのパフォーマンスを終えると、左右に分かれていたLEDモニターが再び1つとなり、モニターには「BAD HOP WORLD」のロゴと共に「続」の文字が映し出された。

またBAD HOPはこの日のライブで、6月に3rdアルバム「BAD HOP WORLD」をリリースすることを発表。全14曲が収録される予定の3rdアルバムは実施中のクラウドファンディングのリターンの1つであり、支援者には一般流通よりも先に届けられる。クラウドファンディングにはアルバム以外にもさまざまな特典が用意されているので、ファンは特設ページをチェックしよう。

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※記事初出時、発言箇所に一部誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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だいす @dice0214

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