KREVAがラップの力で「敵がいない国」建国、愛する国民と国歌大合唱

KREVAが昨日12月23日に全国ツアー「KREVA CONCERT TOUR 2019-2020『敵がいない国』」東京・チームスマイル・豊洲PIT公演を行った。

このツアーはKREVAが9月にリリースしたニューアルバム「AFTERMIXTAPE」を携えて行っているもので、チームスマイル・豊洲PIT公演はライブハウス編の最終公演として開催された。開演時刻を迎えると、ステージに下ろされた幕には国旗がはためく映像が映し出され、オーディエンスはKREVAが統治する国の国民として迎え入れられる。高揚したファンが歓声を上げる中、爆音と同時に幕が落ちるとステージには両腕を広げた国王・KREVAの姿が。興奮に包まれる場内でKREVAは白根佳尚（Dr）、熊井吾郎（MPC+DJ）、SONOMI（B, Cho）と共にツアータイトル曲「敵がいない国」でライブを開始し、「パーティーはIZUKO？」で会場をダンスフロアに変えた。

“国王によるサングラス外しの儀”と称して大袈裟にサングラスを外したKREVAは「ようこそ、“敵がいない国”へ。ラップという音楽で“敵がいない国”を作った国王が私です」と国民に挨拶。巧みな話術で笑いを起こしつつ、「香川県には“うどん県”だと言わせるうどんのうまさがあるように、この国には“敵がいない国”を作り上げるラップのうまさがあります！」と力説して拍手を集める。KREVAはバンドとのセッションによる「Glory」でライブを再開して「今日の敵も明日の友に」と歌うと「国民的行事」「王者の休日」と“国”にちなんだ楽曲を立て続けにパフォーマンスした。

「AFTERMIXTAPE」収録曲「人生」を情感豊かに歌い上げたあと“前ボタン開けの儀”を行ったKREVAは「これから皆さんを“敵がいない国”にある『AFTERMIXTAPE』の街に連れて行きたいと思います。いろんな店があるけど安心して。俺がラップの力で引っ張っていきますから」と宣言。「迷ったら天を見上げてください。星のように俺が輝いていることでしょう」と語り、最新アルバムの収録曲を次々に披露していく。バンドとのセッションによる「One」に続けて、芝居を交えながら「リアルドクターK」「それとこれとは話がべつ！」をパフォーマンスしたKREVAは「アイソレーター」でマナーが悪い人々への怒りをラップすると、その勢いのまま「無煙狼煙」に突入。全力のスピットで国民を圧倒した。

卓越したラップスキルを存分に見せつけたKREVAは「ここからは1人ひとりにメッセージを届けていきたい」と告げると、最新アルバムから「S.O.S.が出る前に」を披露。スクリーンにはリリックが表示され、悩みや問題を抱える人々に寄り添う言葉をしっかりと伝えていった。熱気あふれる会場で“上着脱ぎぬ儀”を行い、黒いTシャツ姿になったKREVAは、バンドとのセッションで「神の領域」「Rain Dance」のリリックを畳みかけるようにラップし、「もしかしない」「かも」「C'mon, Let's go」の3曲を続けて披露。「タイトルを並べるといい感じ」という理由で選ばれた3曲だが、「最終的に決めるのは自分」というメッセージが貫かれていることにあとで気付いたという。

ライブ終盤、KREVAは “国民の妹”ことSONOMIが結婚したことを彼女の愛らしいエピソードと共に紹介し、「“敵がいない国”に悲しみはいらないと思うんです」という言葉から「涙止まれよ」をSONOMIとデュエット。続く「ひとりじゃないのよ」ではSONOMIがセンターに立って、伸びやかな歌声を会場に響かせた。さらに代表曲「音色」でシンガロングを促したKREVAは「“敵がいない国”に敵が現れたときにどうやって立ち向かうか。大きな声で歌いましょう。両手を広げましょう。誰も拒まずにいくらでも広がっていける国です」と語ると「Na Na Na」を披露。“国歌”であり“アンセム”であると語るこの曲で、この日一番の大合唱を巻き起こしてステージをあとにした。

KREVA退場後、アンコールを求める拍手が起こる中、観客の一部は「敵がいない国」を歌い始める。その歌に「ヘイ！」と合いの手も入り、暗転したままフロアが勝手に盛り上がると国王・KREVAがご機嫌な様子で“敵がいない国”に帰還する。今年15周年を迎えたKREVAは50周年を迎えた井上陽水のトリビュートアルバムに参加したことに触れつつ、悪いニュースがある中でも世界は確実によくなっていると語り、「最後のニュース」のカバーを披露。ギターを弾きながら「希望の炎」を歌ったあと、最後は「AFTERMIXTAPE」収録曲「君の愛 Bring Me To Life」で国民と“愛の交換”、コールアンドレスポンスを繰り広げた。すべてのパフォーマンスを終えたKREVAは「敵がいない国」が流れる会場でバンドメンバーを改めて紹介。大きな拍手と歓声に包まれながらライブに幕を下ろした。

ツアーのライブハウス編を終えたKREVAは、来年2月からホール編、アリーナ編を行う。アリーナ編の日程や会場など詳細は後日発表される。