感覚ピエロの幕張ワンマン終幕、6年分の感謝と新たな決意を胸に渾身のライブ

感覚ピエロが11月4日に、バンド史上最大規模の会場である千葉・幕張イベントホールでワンマンライブ「感覚ピエロ 5-6th anniversary『LIVE - RATION 2019 FINAL』～幕張ヴァージンはあなたのもの～」を開催。彼らの挑戦を見届けるべく、日本中から多くのファンが集った。

メンバーがステージに立つと、場内に電話の着信音と共に、耳をつんざくようなギターの音が鳴り響き、2013年にバンド結成と同時に発表された楽曲「メリーさん」でライブがスタート。そのまま今年配信リリースした「ARATA - ANATA」に突入し、広い客席が一気に興奮と熱気に包まれた。その後も彼らは「加速エモーション」「変幻」とアグレッシブなナンバーを連発し、大会場に対応したスケールの大きなパフォーマンスで観客を魅了。「ワンナイト・ラヴゲーム」では横山直弘（Vo, G）に煽られてオーディエンスも叫び声を上げた。

2019年の活動のすべてをこの日のために注ぎ込んできた彼らは、「幕張メッセのライブの日が本当に来ただなんて信じられない」と感慨に浸りつつ、「Japanese-Pop-Music」や「無い ナイ 7i」といったダンサブルなロックで観客の体を揺らす。そして「A BANANA」ではアリーナ中で一斉にタオルが回った。ここまでアッパーチューンを次々に演奏してきた彼らだったが、たっぷり感情を込めて歌い上げた「さよなら人色」を経て、ライブでセットリストに組み込まれるのはひさびさとなるバラード「夜香花」も披露。美しい映像演出も相まって、会場は感動に包まれた。

あまりの緊張に、開演1時間前から楽屋の様子がおかしかったと口々に語るメンバーたち。メンバー全員の父母が観覧していることを横山が明かすと、秋月琢登（G）は「ナオコ！ 産んでくれてありがとうな！ 愛してるぞ！」と、自分の母親ではなく横山の母親に向かって呼びかけ、会場の笑いを誘った。さらに、普段のMCで口数が多くないのでこの機会に何か話すべきと秋月に促されたタッキーパイセン（B）が「メンバーにも言ってなかったんだけど、おかんだけじゃなくて、今日は初めておとんがライブに来てる。実は10年ぶりくらいに家族がそろったの。ありがとう、来てくれて」と口を開き、思わぬハートウォーミングなエピソードに会場が沸いた。

オーディエンスが腕を振りながら飛び跳ねる中、ライブの後半戦は「CHALLENGER」でスタート。さらにバンドはラウドでアグレッシブな「疑問疑答」や疾走感あふれる「ハルカミライ」を畳みかけていく。「A-Han!!」では観客が左右の手を上げて踊り、広い会場内が一体に。そしてバンドは、この公演の会場で無料配布されたCDの収録曲である新曲「Sing along tonight」を披露した。

「感覚ピエロ、実は東京に引っ越してきました」と来場者に明かした横山は、続けて「年齢も趣味も違う、なんで一緒にバンド組んだの？ってくらいどこから見てもバラバラな4人ですけど、なんとか6年間続けてこれました。ぶっちゃけ今年の頭は仲が悪くなったりヤバかったんですけど、今年の対バンツアーを経て、感覚ピエロは今が一番、4人でいて楽しいです」と吐露。「今まではひょっとしたらステージに立ったときに嘘があったかもしれませんが、今日は嘘はないです。俺たちはこのバンドを続けてきてよかったと心の底から思ってるし、あなたが好きでいてくれることに俺たちは胸を張れます」としみじみと語った。さらに彼は「ぶっちゃけこのステージの後ろにまだ座席が隠れてるんです。悔しいです。でも俺たち次は絶対ここ幕張メッセを正真正銘ソールドアウトさせます」と観客に宣言。そして最後にファンに向けての感謝の気持ちを込めて、渾身の演奏で「ありあまるフェイク」を披露した。曲が終了した瞬間に横山は「嘘じゃねえからな！ 大好きだよ！ ありがとうございました！」と力いっぱいシャウトした。

アンコールで再びステージにメンバーが現れると、彼らは公演翌日にオフィシャルファンクラブがオープンすることと、2020年2月に「ソンナノナイヨ」「妄想するのだ。」「『I』から『J』への宣戦布告」「TE-N-GU」という初期の4枚のミニアルバムに収録された曲だけを演奏する原点回帰のツアーを開催することを告知。そして2020年にニューアルバムを発表することを約束した。横山は「今から俺たちは、育ててくれた親の前でこの曲を歌う」と苦笑いしつつ、アンコールとして「O・P・P・A・I」を歌唱。盛大なシンガロングが轟き、会場はこの日一番の盛り上がりとなった。ステージ上のLEDモニターには思わず感涙するオーディエンスの姿が時折映し出され、それを目にした横山は、歌い終えると「『O・P・P・A・I』で泣いてる人がいるって、すげえバンドになったなと思いました」と笑った。

そしてアンコールの2曲目として、彼らは「拝啓、いつかの君へ」を披露。「一緒に歌ってほしいです。すごい景色が見たいです。俺たちの音楽があなたに届いてるんだって実感しながらやらせてください」という横山の言葉を受けて大合唱が沸き起こり、「あんたの正義は一体なんだ？」という観客の声が場内にこだました。ライブが終わるとメンバーは手を振ってステージを後にし、アキレス健太（Dr）は上半身裸になって自慢の筋肉をアピール。盛大な拍手が沸き起こる中、客席のあちこちからメンバーに向けての「ありがとう！」という言葉が飛び交った。