映画の原案を手がけたことについて山中は「50年生きてると、たぶん1つくらい物語ができるでんすよ。それに、最終的にはオクイさんに丸投げだったので、オクイさんならなんとかしてくれるという安心感があったのでできました」と言って観客の笑いを誘い、「やはり僕にも若いときはあって、なりたいものになれない自分にもがいてるときもありました。なので祐介の役も自分の過去を反映しています」とコメント。演出家であり今作が映画初監督作品となったオクイは「バカじゃないかと思いましたよ(笑)。三軒茶屋に急に呼び出されて3年ぶりに会って『監督やってください』って言われて。さわおくんは舞台の演出と映画の監督を同じようなものだと思ってたけど、作り方が全然違うから」と苦笑し、「俺が断ったらこの企画自体がなくなっちゃうからもう逃げ場がないって言われて、腹をくくって引き受けました」と語った。
今作で映画の単独初主演を果たした岡山は、撮影初日に撮った東京・Zepp Tokyoでのラストシーンについて「実際のライブのリアルな熱気の中で撮影できたので、貴重な経験でしたし刺激的な撮影でした」と回想。「撮影に入る前にステージに上がって2500人くらいのお客さんの前に立ったとき、固めの何かを投げつけられないかと怖かったんですけど、出ていった瞬間に受け入れてくださって、バスターズ(the pillowsファンの呼称)の皆さんは温かいなって思いました」と語ると、すかさず山中が「教育が行き届いてるから」と言って会場に笑いを起こした。
後東は役作りについて「ユカリが祐介くんの希望の光になれたのは、たぶんユカリがthe pillowsの音楽に救われて生きてきたからだと思って、とにかく毎日the pillowsの音楽を聴いてDVDを観てました。ユカリは宛先のない手紙を書くんですけど、私もthe pillowsの音楽を聴きながら手紙を書いてみたら、本当に曲が入ってきて、自分自身が知らぬ間にさわおさんが作った曲に支えられてました」と説明。それに付け加えるように岡田とオクイが「スタッフさんも過酷なスケジュールの中で、現場に来るまでの間にみんなthe pillowsを聴いてた」と振り返り、オクイは「the pillowsのせいで死にかけてるのに、the pillowsに励まされてるんだよ」と笑った。
岡田は「さわおさんと同じシーンを撮ることが多かったので、お芝居ということを意識させないようにしたいなと、現場にある異様な緊張案を排除したいなと思って、やたらずっと話しかけてました」と、山中との撮影についてコメント。ライブカメラマンの役である岡田は実際に撮影中に写真を撮っていたとのことで、それを見たオクイは「本当にいい写真だった」と絶賛していた。
300曲以上あるthe pillowsの曲から劇中で使用する曲を選んだオクイは、選曲について「ファンの皆さんが入れてほしかった曲を全部は入れられなかったと思うけど、この作品ではこれがベストだと思っています」と自信を見せた。
山中は最後に「30年間バンドやってきて、自分の想像を上回るようなうれしいことが3つあったんです。1つ目は、15周年のときに作ってもらったトリビュートアルバム。2つ目は、全カ所ソールドアウトのアメリカツアー。3つ目は、20周年の日本武道館。これに4つ目がやってきた。自分が映画を制作する側に回るなんて想像もできなかったし、想像を遥かに超える映画が完成してとてもうれしく思ってます」と今の胸を内を明かし、「このなんとも経験したことのない感動を胸に、横浜アリーナのステージに立ちたいと思います」と10月に開催する30周年記念ワンマンへの意欲を示した。
「王様になれ」は9月13日よりシネマート新宿ほか全国で順次公開。
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