昨日8月14日に東京・新木場STUDIO COASTでライブイベント「MASHROOM 2019」が開催された。
「MASHROOM」はMASH A&Rが主催するライブイベントシリーズ。6回目の開催となった昨日の公演には、MASH A&Rに所属する
FRONT STAGEのトップバッターを務めたTHE ORAL CIGARETTESは、MCなしで人気曲を惜しみなく投下して会場を熱気で満たした。序盤から攻撃的なパフォーマンスでフロアを沸かせると、山中拓也(Vo, G)は「今日は仲良しこよしをしにきたわけじゃない」と挑戦的な表情で啖呵を切る。さらに4人はダンサブルな「DIP-BAP」で観客の熱狂を誘い、キラーチューン「カンタンナコト」や「BLACK MEMORY」を畳みかけて観客のテンションを引き上げた。最後は真っ赤な照明の中、「PSYCHOPATH」で鬼気迫るようなプレイを見せステージをあとにした。
LEFT STAGEの一番手は昨年MASH A&Rオーディションでグランプリを獲得し、仲間入りしたばかりのユレニワ。シロナカムラ(Vo, G)はステージに上がるなり「やっと時代が俺たちに追い付いた」と自信に満ちた表情を見せ、1曲目の「重罪」でゆったりとした演奏に乗せて激しく熱唱したかと思えば「アパート」では泣きそうな声で観客に語りかけるように歌唱するなど、振れ幅のあるパフォーマンスで会場に爪痕を残していく。そしてラストは「PLAY」で混沌とした雰囲気を作り出して出番を終えた。
LAMP IN TERRENは「innocence」でライブの幕を開け、緻密なアンサンブルで会場に熱気をもたらす。「地球儀」でハンドマイクスタイルとなった松本大(Vo, G)はステージ上を動き回りつつ、オーラルのアクトに触れ「ダイブをやってみたい!」と間奏パートでフロアをクラウドサーフに挑戦。ステージに戻ると「ダイブバージンあげちゃった」と満足気に笑う。茶目っ気のある表情を見せたかと思えば、「これしかやっていける気がしない。俺は歌っていたい」と音楽に対する情熱を語る場面も。そして壮大なサウンドの「BABY STEP」で深い余韻を残し、YAJICO GIRLにバトンをつないだ。
YAJICO GIRLは「2019」を皮切りに、最新アルバム「インドア」の収録曲を中心としたミドルテンポのメロウなサウンドで観客の体を揺らしていく。結成当初からのレパートリー「いえろう」を今のモードにアレンジするなどバンドの“最新型”を披露するパフォーマンスの中、四方颯人(Vo)は「僕らなりのニュースタンダードを作りたい」と意気込んだ。また「インドア」のリード曲「NIGHTS」では冷静さとパッションを内包した世界観を存分に表現して観客にインパクトを与えた。また途中で同期のPCが止まるトラブルで笑いながら対処する姿には、彼らの素顔が垣間見えた。
約20分のブレイクタイムを挟んで登場したSaucy Dogは、普段のライブのようにドラムセットの前で気合いを入れてからパフォーマンスを開始。石原慎也(Vo, G)の「お待たせしました、Saucy Dogです!」という挨拶を機に「真昼の月」や「雀ノ欠伸」など朗らかなトーンの楽曲で会場に明るい空気をもたらした。息の合ったプレイでバンドの成長を見せながらも、MCになると初々しいトークでオーディエンスをほっこりした気持ちにさせる。一方でライブ後半にはラブバラード「コンタクトケース」「いつか」を堂々とプレイして貫禄も見せた。
パノラマパナマタウンは、サウンドチェック時からコール&レスポンスを繰り広げたり、岩渕想太(Vo, G)がラップで煽ったりと本番前から気合いのほどを伺わせた。そんな彼らが一発目に叩き込んだのは「ずっとマイペース」。ソリッドなバンドサウンドに乗せて、岩渕はアドリブを盛り込んだフロウを繰り出し、満員の会場を曲のタイトル通り自分たちのペースに巻き込んでいく。さらに今の季節に合う新曲「HEAT ADDICTION ~灼熱中毒~」や、タノアキヒコ(B)のスラップ奏法が炸裂する挑発的な「フカンショウ」など新旧の楽曲を卓越したプレイで届け、バラエティに富んだ音楽性とバンドの進化を観客に提示した。
トリを務めたフレデリックはまず、ライブアンセムとなりつつある「飄々とエモーション」を挨拶代わりに投下した。高橋武(Dr)がタイトなビートで観客を踊らせる「シンセンス」に続いて披露されたのは、テンポを速めたアレンジの「KITAKU BEATS」。4人は火花を散らすようにスリルたっぷりのアンサンブルを奏で、満員のオーディエンスを刺激する。三原健司(Vo, G)は「濃いうえに全員違う方向に尖ってるんで、混じるわけないですよね。全員ヤバかったでしょ? 変態ばっかです(笑)」と個性的なメンツがそろったMASH A&Rの仲間たちについて触れ、「これからもよろしくお願いします」と挨拶。そして、ブルージーなサウンドが光る「NEON PICNIC」、歌とヘビーなビートにフォーカスした新曲「イマジネーション」、ライブの定番曲「オンリーワンダー」を連投してフロアに熱狂を作り出した。いよいよライブも終盤というところで、健司は「今までやったことのない新曲をやって帰ります」と宣言。レーザーが飛び交う中で始まったのは、フレデリックらしいオリエンタルな旋律を軸にしたスケール感たっぷりの「VISION」だった。4人はバンドとしての次の一手をアピールして、感謝の思いを伝えつつステージを去った。
その後、ステージにアコースティックギターや椅子が運び込まれる中でフレデリックの4人が再度登場し、健司はトリのバンドがアンコールをプロデュースすることになった経緯を説明。「フレデリックって化学反応を起こすバンドだと思っていて。MASH A&Rのボーカルが僕らの曲を歌ったらめちゃくちゃ面白いと思うんです」「MASH A&Rを引っ張ってもらいたい3組を呼びます」と1人目のボーカリスト、Saucy Dogの石原を呼び込み「ナイトステップ」をセッションした。石原は極度の緊張を見せながらも、情感たっぷりの歌声で“先輩”フレデリックを感嘆させた。入れ替わりで登場したパノラマパナマタウンの岩渕は「かなしいうれしい」を得意のラップを織り交ぜて歌うという異色のパフォーマンスで観客を驚かせ、LAMP IN TERRENの松本は持ち前のハスキーボイスで「ほねのふね」を熱唱して楽曲の新たな魅力を引き出してみせた。
三者三様な後輩とのセッションを経て、フレデリックがイベントの締めくくりに選んだのは代表曲である「オドループ」。健司が「全員で歌って帰りましょう」と呼びかけると、出演バンドのメンバーが続々とステージに集まり大合唱を始める。観客も負けじとシンガロングし、クライマックスではステージとフロアの垣根を越えた一体感が会場を包み込んだ。
関連する特集・インタビュー
「MASHROOM 2019」2019年8月14日 新木場STUDIO COAST セットリスト
THE ORAL CIGARETTES
01. 接触
02. STARGET
03. 嫌い
04. DIP-BAP
05. カンタンナコト
06. BLACK MEMORY
07. PSYCHOPATH
ユレニワ
01. 重罪
02. HelloGlow
03. 缶詰
04. アパート
05. バージン輿論
06. PLAY
LAMP IN TERREN
01. innocence
02. 新曲(タイトル未定)
03. 凡人ダグ
04. ホワイトライクミー
05. 地球儀
06. BABYSTEP
YAJICO GIRL
01. 2019
02. いえろう
03. ニケ
04. NIGHTS
05. 汽水域
06. 熱が醒めるまで
07. ニュータウン
Saucy Dog
01. 真昼の月
02. ナイトクロージング
03. バンドワゴンに乗って
04. 雀ノ欠伸
05. コンタクトケース
06. いつか
07. グッバイ
パノラマパナマタウン
01. ずっとマイペース
02. 世界最後になる歌は
03. HEAT ADDICTION ~灼熱中毒~
04. 月の裏側
05. ラプチャー
06. マジカルケミカル
07. フカンショウ
08. めちゃめちゃ生きてる
フレデリック
01. 飄々とエモーション
02. シンセンス
03. KITAKU BEATS
04. NEON PICNIC
05. イマジネーション
06. オンリーワンダー
07. VISION
<アンコール>
01. ナイトステップ(FAB!!)
02. かなしいうれしい(FAB!!)
03. ほねのふね(FAB!!)
04. オドループ
※記事初出時、セットリストの一部に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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