NICO万感のツアー千秋楽&新作は「サドンデスゲーム」に

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NICO Touches the Wallsの全国ツアー「NICO Touches the Walls TOUR2010 ミチナキミチ」の最終公演が、6月12日に横浜BLITZにて開催された。密着レポート第7弾は、ツアーの集大成となったライブの模様をメンバー4人のコメントを交えて紹介する。

ツアーを終えたばかりのNICO Touches the Wallsは、6月30日に赤坂BLITZで行われるHiGEの自主企画「9mmのHiGEとNICOのASSHOLE」に出演。7月以降は「JOIN ALIVE」を皮切りに全国各地の夏フェスやイベントを席巻する。

ツアーを終えたばかりのNICO Touches the Wallsは、6月30日に赤坂BLITZで行われるHiGEの自主企画「9mmのHiGEとNICOのASSHOLE」に出演。7月以降は「JOIN ALIVE」を皮切りに全国各地の夏フェスやイベントを席巻する。

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光村龍哉

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古村大介

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坂倉心悟

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対馬祥太郎

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■NICO Touches the Walls「NICO Touches the Walls TOUR2010 ミチナキミチ」レポート第7回

全7都市で展開された「ミチナキミチ」ツアーの最終地に選ばれたのは、1700人を収容する横浜BLITZ。今回のツアーの中で最大のキャパシティを誇る会場だ。都心からのアクセスが便利なこともあり、チケットは早々に完売。開場するとあっという間にフロアが満員になり、オーディエンスの興奮が会場に立ちこめる。定刻を迎えると順々に明かりが消え、ジャジーなSEに乗ってメンバー4人がふらりと登場。大歓声が会場にこだまし、ライブの幕が上がった。

定位置にスタンバイしたメンバーは、腕鳴らしのためにそれぞれの楽器を奏でる。そして光村龍哉(Vo,G)と古村大介(G)が頷き合ったことを合図に、1曲目の「芽」がスタートした。みずみずしいフレーズを奏でるメンバーの顔には笑顔が浮かび、それにつられてオーディエンスもうれしそうな表情を見せる。「N極とN極」では古村と坂倉心悟(B)がステージの前方に移動。光村が「横浜!今日はファイナルだ!」とあおると、オーディエンスはその言葉に歓声で応える。そのままなだれ込んだ「B.C.G」の間奏では古村と坂倉が間奏で向かい合いセッションを重ね、曲の終盤で光村と古村が熾烈なギターバトルを展開。対馬祥太郎(Dr)は3人の前のめりなプレイを、パワフルなリズムとグルーヴで支えた。

「横浜のみなさんはしっとりめの曲はお好きですか?」という質問で始まったのは、熱気で飽和した会場にぴったりな「夏の雪」。切なげな光村の歌声とアクアブルーのライトがフロアを染めていく。しかし、会場がチルアウトしたのは束の間のこと。「Broken Youth」で会場のボルテージは再び上昇。オーディエンスは拳を突き上げ、ジャンプを繰り返し床を揺らす。それに呼応するように、古村は積極的にステージの前方へ。ステージの縁で轟音をかき鳴らし、ギターロックバンドとしての本領を見せつけた。

「僕らにとって初めての横浜ワンマンにようこそ!」という光村の挨拶から最初のMCがスタート。過去に坂倉が肺炎で入院してしまったため横浜でのライブが中止になったことを振り返り、「今日は、坂倉がメンバーの中で人一倍気合いが入っているそうです」と光村が語る。その坂倉は、自身の気合いを表現するようにグルーヴィなベースを響かせ、観客の拍手を浴びた。

「出し惜しみなく最後までいきたいと思います!」という光村の宣言で中盤戦に突入。まず披露されたのは、バンドアレンジに生まれ変わった「かけら -総べての想いたちへ-」。キーボードの音色が削られることによって、ボーカルとドラマチックな旋律がより際立つサウンドに変化。またここではステージの後ろに設置されたLEDスクリーンに黄昏をイメージした映像が浮かび上がり、楽曲のセンチメンタルな世界を演出した。続く「エトランジェ」ではビッグバンや星空、地球を思わせる映像が、幽玄なサウンドとの妙を生み出した。

その空気を受けて演奏されたのは、横浜公演のために用意された新曲「YOU」。対馬のスティックカウントから始まったこの曲は、切ない心模様を描いたストレートなラブバラードだ。少なめの音数でまとめられたリズム隊のアレンジや古村の奏でる丸みのあるギターソロが、哀切たっぷりのボーカルを引き立てていく。今後のNICO Touches the Wallsの定番バラードになりそうな楽曲を、光村は目を閉じて歌い上げ、他の3人も真剣な表情で音を紡いだ。

バラードナンバーでフロアをほどよく潤したところで、バンドは攻撃的なモードへとシフトチェンジ。「錆びてきた」「武家諸法度」と刺激的なアンサンブルな聴かせる楽曲が連続投下される。間奏にメンバー紹介を盛り込んだ「武家諸法度」では、4人が気合いたっぷりのソロを響かせる。まず古村は得意の超絶プレイを披露し、続く坂倉は滑らかなチョッパーを響かせ観客を挑発する。ツアー中毎回異なるドラムソロを披露した対馬は、和太鼓を思わせる重厚かつトリッキーなドラミングを展開。光村はジャキジャキとしたギターをのけぞりながらかき鳴らし、オーディエンスの耳を惹きつけた。

そんなシリアスなムードは、対馬の外国人を意識したような掛け声で一変。光村の「ここはアメリカか?」というツッコミで場の空気が和らぎ、再びMCが始まる。光村は「今回のツアーではおなじみのノープランのおしゃべりコーナーがやってきました」「今回のツアーでは、日本3大中華街を制覇しました。ってことで古村君に問題です。日本3大中華街とはどこでしょう?」と古村に尋ねる。予想外の展開に古村は「長崎、横浜……」と2つまでは挙げられるものの、3つ目が思い出せない様子。業を煮やした光村が「ぱっと思い浮かんだところでいいから!」と告げると、なぜか「山形!」と回答する天然っぷりを発揮。「山形に中華街はないし、そもそも山形はツアーで行ってないから!」と光村が叫ぶと場内は大爆笑で包まれた。その後もなぜか日本3大夜景、世界3大映画祭と観客を巻き込んでのクイズコーナーは続き、ステージ上が次第に楽屋的な空気に。

さすがにゆるすぎる雰囲気に危機感を感じた光村が途中で、「今日はニューシングルのタイトルを発表するんですが、発表の前にもう少しロックをやっていいですか? 勢いつけてからいいですか?」と観客に質問。威勢の良い声援が返ってきたところで「風人」が始まった。続く「バニーガールとダニーボーイ」は冒頭から盛大なハンドクラップが沸き、間奏では光村のリードで美しいコール&レスポンスが会場に響きわたる。加えて大サビでは光村がフロアに手を伸ばし、ファンと手をつなぐサービスも。会場の一体感はこの曲を皮切りに、急激に増していった。

「THE BUNGY」で会場のテンションがピークに達したところで、深遠なドラムロールから幕を開ける「サドンデスゲーム」がスタート。対馬と坂倉は緊迫感のあるリズムを刻み、古村と光村はスピーディなギターセッションを重ねる。各地のライブによってブラッシュアップされたサウンドは、すぐさまオーディエンスを圧倒。続いての「そのTAXI,160km/h」では、破壊力たっぷりのアンサンブルに光村の絶唱が重なり、分厚いサウンド―スケープが会場を支配した。

いよいよライブも大詰めに。光村は「今日は会場が広いから最後まで汗もかかず、平穏に終われると思ったら大間違いでした。横浜熱すぎ!」とオーディエンスを絶賛。そしてニューシングルのタイトル曲が「サドンデスゲーム」、カップリングが長崎公演で披露したミディアムナンバー「泣くのはやめて」になることをアナウンスした。しかしサプライズはまだ終わらない。「予定にはなかったんですけど……。今回のツアーが楽しすぎて、何かに残したいと思って、今日はカメラが回ってます。あと音源も録ってます。なので何らかの形でシングルに収録したいと思います」と、横浜公演が映像化されることを発表した。

「今回のツアーは、今まで行ったことのない場所でライブをしたんですが、待っててくれる人がいることがうれしくて。ライブでは毎日違う曲をやって、それによってバンドでも今まで聞こえてこなかった音が見つかったりして」とツアーで得たものを感慨深そうに振り返った光村。「待っててくれる人がいる限り、もっとたくさん曲を書いて、曲を届けられればなと思います。行ったことがない土地がある限り、『ミチナキミチ』ツアーは終わりません」と語り、オーディエンスのあたたかな拍手を浴びた。バンドバージョンの「Aurora」の後、本編のラストを飾ったのは「ホログラム」。LEDスクリーンにはツアーのテーマとも言える「You say "No Way". We say "Go Way"」の文字が流れ、ドラマチックなラストを盛り上げる。演奏後4人は「どうもありがとう!」とお礼を述べると、舞台の下手に一旦消えた。

アンコールで、「楽屋がいつになく神妙な空気で。終わるのがもったいないなと思って。ほんと寂しいね」と開口一番に語った光村。「せっかくだからやらせてもらおうかな……」という言葉で始まったのは、初日の福島公演でも披露された新曲「ダイバー」。ダイナミックなアンサンブルは初日に比べよりスケール感を増し、清涼感ある空気が会場を満たした。

アンコール2曲目の前に光村は、さらなるサプライズを発表。10月7日に渋谷C.C.Lemonホールでワンマンライブ「NICO Touches the Walls LIVE2010 East×West アポロとルーナ -Night of Luna-」を開催することを告知し、9月25日に大阪城音楽堂で行われる公演と対になるようなコンセプトライブであることを説明した。

「GANIMATA GIRL」でオーディエンスのテンションをあげたところで、ライブはついにラストナンバーへ。光村は「また必ず横浜でライブをしたいと思ってます。まだ会いに行けてないところは、『ミチナキミチ vol.2』で会いましょう」と約束すると「トマト」を歌い始めた。光村の穏やかな歌声に、古村、坂倉、対馬の奏でる音が重なり楽曲の世界観を作り上げる。さらにぬくもりのある照明が壮大なアウトロのアレンジに映え、ライブのクライマックスを美しく演出した。

演奏終了後、4人はそれぞれの言葉でファンに感謝を伝える。坂倉は「本当に楽しかったです。『ミチナキミチ』ツアー、パート2やりたいと思います」と語り、古村は「俺は函館でやりたいです」と宣言。対馬は野太い男性ファンの声援を受けながら「本当にありがとうございました。横浜が最後でよかった!」と笑顔で語り、光村は簡潔に「ありがとう!」と挨拶。そして4人はステージの縁で深くお辞儀をすると、堂々とした足取りでステージを去っていった。その背中は自信に満ち、「ミチナキミチ」ツアーが充実したものであったことを証明していた。

なおニューシングル「サドンデスゲーム」は、ライブ映像の追加収録に伴い、発売日が7月28日から8月11日に変更。ファンは内容盛りだくさんの新作の完成を楽しみに待とう。

■ライブ終演後コメント(メンバー全員編)

――全7公演おつかれさまでした! 今回のツアーの感想を四字熟語で表してください。

光村龍哉:俺は切磋琢磨ですね。毎日がそんな感じでステージに立ってましたね。

対馬祥太郎:一番好きな言葉なんですけど、融通無碍ですね。臨機応変と似た意味で、何事にも対応できるものみたいな。ツアー自体がそういう内容だったので。

坂倉心悟:マイペースにできたツアーなので、悠々自適です。

古村大介:日進月歩かな。ツアーによってバンドが飛躍したと感じているので。

――ツアー中に食べた一番美味しかったものは何でしたか?

古村:長崎のカステラですかね。

対馬:神戸牛ですね。あれは美味しかったなぁ。さすが神戸牛って感じでした。

坂倉:神戸で食べたお刺身が印象に残ってます。

光村:俺は初日の郡山で食べた塩ホルモン。あれはまたぜひ食べに行きたいです。

――次回の「ミチナキミチ」ツアーで訪れたい都市を教えてください。

対馬:いつも移動では通ってるんですけど、熱海でやってみたいですね。なかなかない感じが面白そうなので。

古村:故郷に錦を飾るために、函館でライブしたいです。

坂倉:俺は祖父母の家がある長野です。祖父母を呼ぶとしたらオールスタンディングだと厳しいから、着席型のアコースティックライブとかいいかも(笑)。

光村:本州以外で九州全県とか四国全県、北海道一周とかやりたいなぁ。でも一番行きたいのは秋田! 日本酒とか名物が多い土地なので。

■「NICO Touches the Walls TOUR2010 ミチナキミチ」横浜BLITZ公演セットリスト
01. 芽
02. N極とN極
03. B.C.G
04. 夏の雪
05. Broken Youth
06. かけら -総べての想いたちへ-
07. エトランジェ
08. YOU
09. 錆びてきた
10. 武家諸法度
11. 風人
12. バニーガールとダニーボーイ
13. THE BUNGY
14. サドンデスゲーム
15. そのTAXI,160km/h
16. Aurora
17. ホログラム
<アンコール>
18. ダイバー
19. GANIMATA GIRL
20. トマト

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音楽ナタリー @natalie_mu

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