1月6、7日の2日間にわたって日本武道館公演を行ったでんぱ組.inc。2日目の公演はミントグリーン担当としてグループを牽引してきた夢眠の卒業公演として開催された。今年3月には芸能界からも引退する夢眠のアイドル人生最後の晴れ舞台を見届けようと、会場にはミントグリーンをあしらった服装のファンが大集結。夢眠は最後のわがままとして自らセットリストを組み、新旧織り交ぜた楽曲とユーモアあふれる演出で、集まったファンにでんぱ組.incの夢眠ねむとして最後のメッセージを伝えた。
初日公演と同様に、オープニングムービーを経てステージ上のUFOの下から姿を現したでんぱ組.incは「太陽系観察中生命体」でライブをスタートさせる。自己紹介では夢眠が「どうも! 今日の主役でーす!」と明るく挨拶しつつ、「今日はみんなと私の戦いですよ。どっちが楽しめるか勝負だー!」とファンに宣戦布告した。次に「ギラメタスでんぱスターズ」や「VANDALISM」を畳みかけて客席を沸かせた7人は、古川未鈴の「平成最後のでんぱ組.incとしての夢眠ねむ、刮目せよ!」という言葉からサマーチューン「プレシャスサマー!」を披露。「でんぱれーどJAPAN」では「君と繋がる電波のパワーで」というフレーズが「君と繋がるねむさんのパワーで」にアレンジされたほか、最後の決めポーズでは古川のセンターの座を夢眠が奪い、藤咲彩音が「ねむきゅんの勝ち!」と判定を述べるなどスペシャルな演出が。そして夢眠と古川が握り拳を交わすと、客席から大きな歓声が上がった。
夢眠がディアステージでの思い出を振り返るVTRを挟み、7人は「わっほい?お祭り.inc」「ピコッピクッピカッて恋してよ」「電波圏外SAYONARA」「Kiss+kissでおわらない」と最近はほぼライブで歌われることのないレアな初期楽曲をつなげたメドレーを披露。夢眠は前日に続いて行われた根本凪と鹿目凛による「教えて!先輩のコーナー」で、「今日一番わがままを通したのはこの“いにしえメドレー”でした!」「絶対にこのステージでやりたかったんです! これでもう未練はない!」とこのメドレーパートに込めた思いを明かした。また夢眠は、根本に「1人ひとりにメッセージとかいたただきたいなと思うんですけど……」とアイドルの卒業公演で定番の卒業メンバーからのメッセージを求められるも、「ない。みんなに言うことはあるんだけど、ここで言うと長くなるし、それより曲を多くやりたいから、メッセージはパンフレットに書いときました!」「あと手紙を楽屋で渡すから、みんなの前ではそういう感動のやつはやらない!」と断固拒否していた。
その後7人は「くちづけキボンヌ」や「あした地球がこなごなになっても」といった切ない曲調のナンバーを連続で届け、思わず感極まった古川の目には涙が浮かぶ。バンドメンバー紹介に続く「FD3, DEMPA ROCKET GO!!」「キラキラチューン」のあとには夢眠の卒業曲「エバーグリーン」が歌われ、日本武道館がミントグリーンのペンライトの光一色に。ここまでいつものライブ以上にハイテンションでライブを進行していた夢眠だったが、「実はずっと考えていたことがあって……最後のわがままなんですけど聞いてもらえますでしょうか」とふいに緊張の面持ちで語り始める。そして「ずっと大事にしてきたこのミントグリーンをどうしてももらってほしい人がいます」と緑担当の根本を指名。夢眠は「色を急に変えるのは大変なことだと思うんですけど、よかったらミントグリーンになってくれませんか?」と秘めていた意思を伝え、観客は温かい拍手で夢眠の思いを後押しした。無事にミントグリーン担当を根本に引き継いだ夢眠が「これからもでんぱ組.incは絶対に大丈夫だ!」と宣言するも、ほかのメンバーは「はー、この先、大丈夫かなあ」と声をそろえて弱音を吐露。「正直なところ、これからのライブの動員が気になるよね……」という現実的な不安を漏らす古川をはじめ、それぞれ悩みを語る6人を夢眠が順番に励まして元気を取り戻したのち、代表曲「でんでんぱっしょん」がライブ本編のラストナンバーとしてパフォーマンスされ、会場は熱気で満たされた。
熱烈な「ねむきゅん!」コールに応えて再びステージに登場した7人は、ここで最新アルバム「ワレワレハデンパグミインクダ」の収録曲「絢爛マイユース」を披露。メンバーは「月並みだけど『ありがとう…』 その先はまた今度ね 今まで過ごした全部が 私の宝物」と歌う夢眠に大量の紙吹雪を浴びせ、「ねむきゅん、卒業おめでとう!」と大きな花束をサプライズでプレゼントした。古川は「すごくいい卒業式だけど、やっぱり心の中では寂しくてさ」「でんぱ組.incになってくれてありがとう」と涙ながらに話し、夢眠に寄り添うように優しくハグ。夢眠も涙を流して「今日は泣かないと決めてたけど、やっぱりダメでした。でもこれは完全にうれし泣きです」と述べ、「でんぱ組.incの一員になれて本当によかったと思っています。私は本当にみんなのおかげで幸せでした! ありがとうございました!」とファンに感謝の気持ちを伝えた。そして「最後の曲は絶対にやりたい、一番大好きな曲にしました。では、この曲でアイドル夢眠ねむを終わりにします」と語った彼女がアイドル人生のラストを飾る楽曲として選んだのは「WWDBEST」。7人体制では初の披露となったこの曲にファンからは大きな歓声が沸き起こり、銀テープが舞う客席に向けて笑顔で歌唱したでんぱ組.incは「萌えキュンソングを世界にお届け! 以上、でんぱ組.incでした!」と7人での最後の挨拶を届けてステージから立ち去った。
ここで公演の全編が終了したかと思いきや、ライブはダブルアンコールへ突入する。ステージには法被を着た夢眠が1人で現れ、「元でんぱ組.incの夢眠ねむです」と自己紹介。「みんな、めでたしめでたしって思ってない? 『俺、今日でんぱ組.incのライブ見納めなんだ』と思ってない? 『ねむきゅんがいないでんぱ組.inc見るの怖いからライブ行かんとこ……』ってなってるでしょ! ダメだよ、そんなことじゃ! 私が一緒に見てあげるから!」と呼びかけた夢眠がペンライトを持ってステージの端へ移動すると、でんぱ組.incの6人がステージへ。夢眠卒業後、新体制初のライブとして「Future Diver」をパフォーマンスし、根本が夢眠から受け継いだ「夢は終わらんよ Yes, ふゅーちゃだいばっ ユメダラケ 泳いで来なさいよ」という落ちサビを歌うと会場は割れんばかりの歓声に包まれた。
ファンと共にステージを見守った夢眠は「でんぱ組.incのライブ、初めて観たの! みんな、これからも来るよね、現場。私も行けるところは行きたいと思います! みんなライブ会場で会おうね!」と挨拶し、晴れやかな表情で自身の卒業公演の幕を閉じた。エンディングムービーの上映後にはメンバーのメッセージカードがスクリーンに映し出され、夢眠の「宇宙でいちばん幸せなアイドルでした」という言葉が日本武道館に心地よい余韻を残していた。
6人体制となったでんぱ組.incは、3月から4月にかけて東名阪ライブハウスツアーを開催する。
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でんぱ組.inc「でんぱ組.inc コスモツアー 2019 in 日本武道館 夢眠ねむ卒業公演 ~新たなる旅立ち~」
2019年1月7日 日本武道館 セットリスト
01. 太陽系観察中生命体
02. ギラメタスでんぱスターズ
03. VANDALISM
04. バリ3共和国
05. プレシャスサマー!
06. まもなく、
07. でんぱれーどJAPAN
08. わっほい?お祭り.inc
09. ピコッピクッピカッて恋してよ
10. 電波圏外SAYONARA
11. Kiss+kissでおわらない
12. でんぱーりーナイト
13. くちづけキボンヌ
14. あした地球がこなごなになっても
15. FD3, DEMPA ROCKET GO!!
16. キラキラチューン
17. エバーグリーン
18. でんでんぱっしょん
<アンコール>
19. 絢爛マイユース
20. WWDBEST
<ダブルアンコール>
21. Future Diver
でんぱ組.inc 2019 東名阪ライブハウスツアー
2019年3月28日(木)大阪府 BIGCAT
2019年4月10日(水)東京都 TSUTAYA O-EAST
2019年4月30日(火・祝)愛知県 DIAMOND HALL
※▽はハートマークが正式表記。
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