今年の初夏に行われた「Girls Are Back In Town VOL,1」に続く2度目の単独開催となる今回のツアー。初日は前回の東京・LIQUIDROOM公演に引き続き特別にバンド編成でのステージとなったが、今回はさらにホーン隊も加わり、フィロのスの魅力であるファンキーな楽曲が一段と力強いサウンドで表現された。
満員のフロアは開演前からDaft Punk「Get Lucky」などのBGMでじわじわと熱気を帯び、薄暗いステージにバンドメンバーがスタンバイすると早くも熱狂的な歓声が上がる。そして巨体の外国人MC・デイヴィッドがグルーヴィなバンド演奏に乗せて盛り上がる観客をさらに煽り、4本のスポットライトがフィロのスの奥津マリリ、日向ハル、佐藤まりあ、十束おとはの姿を浮かび上がらせた。メンバーの衣装はこのツアーのために新調されたもので、これまでの1980~90年代を想起させるファッションから、1970年代のヒッピー風に様変わり。4人は広いステージに横1列に並び、ビートに合わせてポーズを決めた。
ツアーの幕開けを飾る1曲目に選ばれたのは、今年8月にリリースされたシングル曲「イッツ・マイ・ターン」。メンバーの振り付けを真似したり、ビートに乗せて軽く体を揺らしたり、熱狂的な声を上げたりと、フィロのスファンの楽しみ方はさまざま。日向は「好きに踊って帰ってください」と自由に楽しむ観客たちに呼びかけた。続けて「すききらいアンチノミー」「スーパーヴィーニエンス」「ロジック・ジャンプ」「フリー・ユア・フェスタ」「アイム・アフター・タイム」と新旧6曲を一気に畳みかけたところで4人はひと呼吸置き、改めて観客に挨拶した。リーダー奥津が「最高な日になると思うので、安心して踊ってください」と伝えると、4人とバンドはここでグッとBPMを落として「シャル・ウィ・スタート」を披露。奥津のシルキーな歌声と日向の伸びやかなハイトーンがフロアをムーディな空気で包んだ。
「さて、ここからはホーンセクションの皆さんに参加してもらいます!」と十束が明るくホーン隊を呼び込み、小池隼人(Tb / MORE THE MAN)、藤田淳之介(Sax, Flute / TRI4TH)、織田祐亮(Tp / TRI4TH)の3人が合流。宮野弦士(G, Key)、福田裕彦(Key)、久次米真吾(G)、砂山淳一(B)、城戸紘志(Dr)、早藤寿美子(Per)の総勢9名からなるバンドがステージ後方に構え、フィロのスの4人が前方に並び立つ。十束は「もうすぐクリスマスじゃないですか? 私たち、実はクリスマスソングを持っているんです!」と続け、フィロのスオリジナルのクリスマスナンバー「ネクスト・クリスマス」へ。陽気なシャッフルビートでひと足早いクリスマスムードを作り上げたあとは「バッド・パラダイム」を起点に「ライク・ア・ゾンビ」「バイタル・テンプテーション」「エポケー・チャンス」を挟んで「バッド・パラダイム」に着地するファンキーなメドレーでフロアを揺らした。途中に差し込まれたバンドメンバー紹介ではホーン隊の3人が前に飛び出し、藤田と織田は「サンタが街にやってくる」「ジングルベル」とスタンダードなクリスマスソングでソロ演奏。小池は「お正月」をトロンボーンで鳴らして和ませた。
エキゾチックな「アルゴリズムの海」で始まったライブ後半は、「コモンセンス・バスターズ」「ラブ・バリエーション」「はじめまして未来」「ライブ・ライフ」「アイドル・フィロソフィー」とソウルフルなナンバーが並ぶ。「コモンセンス・バスターズ」ではカーティス・メイフィールドの「Movin' On Up」、「はじめまして未来」ではEarth, Wind & Fire「September」のフレーズが引用されるなど、生演奏ならではの気の利いたアレンジが加えられ、「ライブ・ライフ」では歌詞とリンクしてステージ上の巨大なミラーボールが旋回。ステラボールは巨大なダンスホールと化した。それぞれの楽しみ方で盛り上がっていた観客も、「アイドル・フィロソフィー」ではシンガロングで一体に。そしてフィロのスは「今日1日をハッピーな気分で終えるために」と、最後に新曲「ハッピー・エンディング」を初披露した。4人は「一緒に歌いましょう!」とサビのメロディを観客に教え、ゴスペルさながらの大合唱に。観客の「ラララ」がフロアに広がるも、十束は「もっともっとだよ!」、奥津は「こんなんじゃあと10年続いちゃうよ!」、日向は「早くビール飲みたいからもっと声出して!」とさらに大きな声を求める。関係者席やスタッフにまでシンガロングの輪は広がり、佐藤は「忘れられない1日になりました!」と充実した笑顔を見せた。
アンコールではメンバー登場時、観客からのサプライズが。ステージ上でポーズを決めた4人が顔を上げると、観客が一斉にサイリウムを点灯させ、ステラボールが一面真っ白に染め上げられた。4人はここで12月14日に発売されたばかりの最新シングル「ヒューリスティック・シティ」を歌い、3月22日に3枚目のオリジナルアルバム「エクセルシオール」をリリースすることを発表した。タイトルの「エクセルシオール」(Excelsior)について、「カフェ?」と首をかしげる日向に対し、十束は「常に向上していくというという意味です」と説明するも、日向は「めっちゃいいカフェじゃん!」とハイテンション。十束は「今日やった新曲もたくさん含まれますので、アルバムを聴いてまた(ライブに)遊びにきてください」と付け加えた。そして4人は暮れ行く2018年を振り返ろうと話し始めたが、奥津は「今はこのワンマンライブがあと少しで終わってしまう寂しさで1年とか振り返ってらんない」と初手からちゃぶ台をひっくり返してしまう。6月のツアー初日に「大船に乗ったつもりで信じて付いてきてください!」と頼もしい言葉を残した佐藤は「フィロソフィーのダンスはまだまだたくさんの人に知っていただけるんじゃないかと希望が見えた1年でした。『2019年はフィロソフィーのダンスの年だった』と言っていただけるような1年にしたいと思います」と来年に向けての抱負を語った。十束は「日本国民全員、じゃなく世界中の人を踊らせるようなグループになりたい」と宣言。そして日向が「ここから先もこの素晴らしい楽曲を10年20年と、この4人で歌っていきたいと思っています」と話すと、「最強の4人組だってこと証明したいと思います!」とフィロのスは強力なバンド演奏をバックに「ベスト・フォー」を披露した。日向のパワフルなボーカルを前面に押し出したバラード「ジャスト・メモリーズ」でアンコールを締めくくり、4人は深々と頭を下げて挨拶。惜しみない拍手と歓声が広がるフロアの光景に感極まった日向は大粒の涙を流した。
鳴り止まぬ拍手に応え、“ベスト・フォー”と9人のバンドメンバーはさらにもう1曲、フィロのスの代表曲と言えるナンバー「ダンス・ファウンダー」を演奏し、ミラーボールの光が飛び交うフロアに銀テープが発射されライブは大団円。ツアー初日を大成功に収めた4人は「それではフィロソフィーのダンス、全国ツアーに行ってきます!」とステージをあとにした。
フィロソフィーのダンス「Girls are Back In Town VOl,2」
2019年12月16日 ステラボール セットリスト
01. イッツ・マイ・ターン
02. すききらいアンチノミー
03. スーパーヴィーニエンス
04. ロジック・ジャンプ
05. フリー・ユア・フェスタ
06. アイム・アフター・タイム
07. シャル・ウィ・スタート
08. ネクスト・クリスマス
09. メドレー:バッド・パラダイム→ライク・ア・ゾンビ→バイタル・テンプテーション→エポケー・チャンス→バッド・パラダイム
10. アルゴリズムの海
11. コモンセンス・バスターズ
12. ラブ・バリエーション
13. はじめまして未来
14. ライブ・ライフ
15. アイドル・フィロソフィー
16. ハッピー・エンディング
<アンコール>
17. ヒューリスティック・シティ
18. ベスト・フォー
19. ジャスト・メモリーズ
<ダブルアンコール>
20. ダンス・ファウンダー
フィロソフィーのダンス「Girls are Back In Town VOl,2」(終了分は割愛)
2018年12月22日(土)福岡県 DRUM SON
2018年12月23日(日・祝)愛知県 ell.FITS ALL
2018年12月24日(月・振休)大阪府 BananaHall
2019年1月13日(日)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2019年1月14日(月・祝)千葉県 KASHIWA PALOOZA
2019年1月18日(金)宮城県 仙台MACANA
2019年1月20日(日)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
2019年1月27日(日)広島県 CAVE-BE
※記事初出時、一部写真キャプションにアーティスト名の抜けがありました。訂正してお詫びいたします。また、アルバム「エクセルシオール」の発売日が3月22日から4月5日に変更になりました。
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