12月27日の大阪・大阪城ホール公演まで合わせて3公演が開かれるアリーナツアーの初日として行われたこの日のライブは、超特急にとって初めてのさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ。メンバーはかねてより同会場でのワンマン実現をグループの目標の1つとして公言してきた。6人と8号車(超特急ファンの呼称)の夢が実を結ぶ瞬間をその場で感じようと、会場には約2万3000人が集結。開演を待つ場内は色とりどりのペンライトを持つ観客の熱気にあふれ返っていた。
悲願のステージに、6人は“天から”降り立った。大きな発車ベルの音がライブの幕開けを告げると、上空からゆっくりと下がる架け橋がメインステージの最上層とセンターステージをスロープ状につなぐ。そのスロープを見上げた先、スモークの中から姿を見せたのはタクヤがデザインした金銀の衣装に身をまとった超特急の6人。まっすぐに前を見据え、割れんばかりの8号車の歓声を受け止めた彼らは「No. 1」に乗せてゆっくりとスロープを下り、センターステージへと歩みを進めた。自身のイメージカラーの真紅に髪を染めたユーキが鮮やかな2連続バク転を決めれば、タカシは「一緒に楽しんで行こうな!」と叫ぶ。思い切り右手を天に突き上げ「No. 1」のポーズを決める6人に向けて、8号車は彼らの名前を何度もコールして広い空間を大歓声で満たした。
続けて「Drive on week」がドロップされると8号車のコールはますます熱を帯びていく。ユーキの「ついに来た、この時が! さいたまスーパーアリーナに8号車のみんなを連れて来た、最高に楽しんで行こう!」という声にも気合いがこもり、彼が「Call my name!」と言うと観客は大きな声で「ユーキ! ユーキ!」と名前を叫んだ。リョウガが「お楽しみはこれからだ!」と不敵な笑みを浮かべた「Believe×Believe」で会場の一体感をいっそう高めたのちに届けられた「BREAK OFF」ではユースケの「踊って叫んでいくよー!」という声を合図に6人がトロッコに乗って客席通路へ飛び出す。トロッコがすれ違う際にはそれぞれがハイタッチを交わし、広い会場を楽しそうに進むメンバーの姿を8号車は笑顔で追いかけていた。彼らがメインステージへたどり着くと、最新アルバム「GOLDEN EPOCH」に収録されたオリエンタルなダンスチューン「PUMP ME UP」へ。ステージ上空には6つのミラーボールが輝き、無数の光の粒に照らされたメンバーはタクヤをセンターに据えて真顔でパラパラを踊ってみせる。初披露ながら8号車は息の合ったかけ声を飛ばし、楽曲を大いに盛り上げた。
「Booster」を終えるとこの日最初のMCへ。カイは「ついに来ましたね!」と声を上げ、リョウガは「ずっと目標にしていた場所に立つことができました!」とカイに続いた。そして「ただ、立つだけでは成功とは言わないんです。来てくださった皆さんが笑顔になってくれないと、意味がないんじゃないかと思うんですよね……」とつぶやくリョウガの言葉を受けて、タクヤは「あのねえ、今日1日しかないんですよ! 楽しむのはいつですか!? 悔いのないように、腹から声出せますか!?」と威勢よく客席に呼びかけ「今日を最高に楽しもうぜ!」とシャウト。勢いのまま「コーシエンノイ」(タイ語が正式表記)になだれ込んだ6人は重低音のダンスサウンドにクールに体を弾ませ、一瞬でステージ上のムードを切り替えてみせる。
「Time Wave」から始まった中盤のパートでは、可動式の6枚のLEDパネルを使った演出がオーディエンスの目を楽しませた。この曲で6人はパネルの表と裏を目まぐるしく行き来し、パネルに映し出される“もう1人の自分”とのデュエットで8号車を驚かせる。そして、この曲を終えるとステージ上では披露曲とその順番にメッセージが込められたコンセプチュアルなパフォーマンスが展開されていく。開演前の会見でユーキが言った「超特急の時代」というコンセプトが強く反映されたそのステージを、8号車は息を飲むように見つめていた。
「ここからは、8号車の皆さんの心に沁みるような曲を」とリョウガが誘ったライブ中盤、会場中のペンライトの光がすべて消えた中で届けられたのはバラードナンバーのセクション。「Fashion」のイントロが鳴り、タクヤが見立てたモノトーンのモードルックに着替えた6人はさっそうとセンターステージに進む。初披露のこの曲で、彼らはタカシの柔らかなファルセットに乗せ、たゆたうような身のこなしで美しく切ない楽曲の世界観を描き出した。続く「FLASHBACK」では、既存のフォーメーションとは異なる円の隊形で歌い踊った6人。曲のシーンごとに違った角度から彼らの躍動を捉える照明演出が楽曲の立体感を増幅させていく。そしてアウトロ、背を向けたユースケが右手を小さく弾ませる仕草で曲を結ぶと、彼の目線の先にはグランドピアノの前に座るリョウガの姿が。思いもよらぬ光景に観客がはっと言葉を詰まらせる中、リョウガは静かに鍵盤に手を置き、柔らかなタッチで「霖雨」の旋律を奏でだした。
リョウガの伴奏に乗せ、タカシは歌声にいっそう思いを込めた叙情的なボーカルを聞かせる。2番からはカイ、ユースケ、ユーキ、タクヤによるソロリレーが展開され、暗闇の中でスポットに照らされる彼らは苦く切ない表情を浮かべながら曲のストーリーを物語るような激しいダンスで躍動した。
鮮やかに曲の情景を聴衆の眼前に提示し、会場に静寂をもたらした6人は「a kind of love」でその空気を一変させた。タクヤが「ペンライトのご協力ありがとうございました! 悔いのないように楽しんで行こう!」と言うと、彼の言葉を聞いた8号車はカラフルな光で再び6人の立つステージを輝かせる。この「a kind of love」ではダンサー陣のにぎやかな“ガヤ”がタカシの歌声の上に加わり、ユースケは「リョウガくん、ピアノ素敵でした!」と踊りながら「霖雨」の感想を伝えていた。大きな笑顔の輪を広げたのち、6人が大サビを大合唱した「Burn!」から突入したラストスパート、メンバーは何度も何度も客席へ向かって声を求めて大きな一体感を作り上げていく。本編最後に用意されていたのはこのツアーのテーマ曲である「Time of GOLD」。タカシがまっすぐな眼差しで「時代を超えて。新たな時代を僕らと築き上げましょう」と呼びかけたこの曲で、ダイナミックにリズムに乗る6人はときに肩を組み、ときに交錯し、ときに1人の動きに全員が同調しながら大きなうねりを生み出していった。高揚感に満ちたパフォーマンスをさらに盛り上げるように、舞台上では80発の火薬による特効が放たれ、8号車の大きな歓声を誘っていた。
アンコールは「GOLDEN EPOCH」収録の朗らかなナンバー「You know, I know」でスタート。MCでは6人それぞれがさいたまスーパーアリーナのステージを満喫した感想を語り、ユースケは「めっちゃ楽しかったな! いざステージに立つとね、8号車の笑顔が! もっともっと8号車の皆さんといろんな景色を見ていきたいと思ったひとときでした!」と笑顔を弾けさせる。ユーキは「皆さんがこのライブを観て、素直に楽しいと思ってくれたらうれしいです。新たな超特急の可能性を感じて、2019年が楽しみになってくれたらうれしいです!」と語り、カイは「もっと大きいところに連れていきたいし、新しい景色を見せたいし……日本全国、世界各地につながる“最高の列車”になれるように、皆さんで一緒に進んでいきましょう!」と思い切り叫んだ。そして最後にバトンを受け取ったリーダーのリョウガが「8号車も、まだ超特急のことを知らない方も一緒に。長い道のりを明るい未来に向かって走っていきたい。今日のライブが『もっと超特急と一緒にいよう』と思ってもらえるものになっていれば」と挨拶を締めくくると、カイの「なんだか燃え尽きちゃったなあ」というぼやきをきっかけにダンサー陣が次々と“やる気ないマン”と化していく。ダンサーの態度にあきれたタカシは「Party Maker」を鳴らして「盛り上がって行こうぜ!」と自らステージを牽引。タカシの喝によって再び覚醒したメンバーはハチャメチャに持ちうる限りのエネルギーを放出させ、無数のレーザー光線の中でオーディエンスを圧倒するパフォーマンスを見せつけた。
ステージの上も客席も一緒に超特急ポーズを作り、大きなシンガロングで1つになった「走れ!!!!超特急」でアンコールは締めくくられるも8号車の興奮は醒めることなく、止まない「超特急!」コールがメンバーの再登場を待つ。すると会場にけたたましい踏切音が鳴り響き、ライブはダブルアンコールへと突入した。ここで届けられたのは、ユースケが作詞作曲を手がけた超ハイテンションなアッパーチューン「超特急です!!!!!!!!」。1人ずつポップアップで登場したメンバーは「その瞳は大海原、ブルー!」(カイ)、「グリーンはみんなの目の保養、タクヤ!」(タクヤ)、「黄色い幸せ、ピースケ!」(ユースケ)と次々にヒーロー風の口上を叫んで8号車の大歓声を誘う。勢いのまま“暴走列車”と化した6人は電車ポーズでステージを無尽に駆け巡りながらこの曲を披露。ユースケは「紅白出たいよ! Mステ出たいよ!」と自身の歌唱パートに思い切り力を込め、「超特急が、好きだからー!!」という絶叫を広い会場に響き渡らせた。
超特急の新たなライブアンセム誕生の瞬間を8号車も息ぴったりのコールで盛り上げ、初披露を終えたユースケは「やっと、やっとだよ!」と楽曲制作から1年越しのライブパフォーマンスに喜びをにじませた。リョウガが「神曲じゃん!」と彼の言葉を受けると、ユースケは「歌番組とかさ、いつか出られるグループになろうぜ!!」と言い、これにユーキは「よっしゃ!」と反応。そしてリョウガは「それこそ僕らの“黄金時代”だよ。歌詞の有言実行を果たすためにも、もう目にも見えないスピードで走って行こうと思う」とリーダーとして誓い「付いて来てくれる人!? 今この瞬間から、走っていきましょう!」と笑顔で8号車に呼びかけた。瞳を輝かせながら前を見据える6人の言葉に、観客はペンライトを振って最後まで応える。熱狂の中でフィナーレを迎えた超特急のさいたまスーパーアリーナワンマンは、6人と2万3000人による「以上僕たちは、超特急でした!」の挨拶で終幕。ファンとの別れを惜しむメンバーは「ありがとう!」「最高に楽しかった!」と何度も言葉をかけながら、ステージをあとにした。
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