アジカン、観客に囲まれ新旧ナンバー熱演した充実の「LIVE with YOU」

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スペースシャワーTVのライブ番組「SPACE SHOWER TV "LIVE with YOU"」の収録イベントが、ASIAN KUNG-FU GENERATIONを迎えて昨日11月27日に東京・LIQUIDROOMにて開催された。

ASIAN KUNG-FU GENERATION「SPACE SHOWER TV "LIVE with YOU"」収録中の様子。(Photo by Terukazu Sugino)

ASIAN KUNG-FU GENERATION「SPACE SHOWER TV "LIVE with YOU"」収録中の様子。(Photo by Terukazu Sugino)

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「LIVE with YOU」は「あなたの側で、生きてる音楽。」をコンセプトにした番組で、毎回招待制の公開収録ライブが行われている。第25弾アーティストに選ばれたASIAN KUNG-FU GENERATIONは、フロアにバンドセットを組み、観客に360度囲まれたスタイルで約1時間半にわたってパフォーマンスを繰り広げた。

後藤正文(Vo, G)(Photo by Terukazu Sugino)

後藤正文(Vo, G)(Photo by Terukazu Sugino)[拡大]

イベントに招待されたのは抽選で選ばれた350名のファン。会場に足を踏み入れた彼らは、円を描くように楽器や機材が組まれた目の前のセットに目を輝かせ、開演の時間を待った。そして、SEがスピーカーから流れる中、メンバーはステージからフロアに降りる形で登場。観客との距離の近さに少し照れくさそうにしながら、4人とサポートメンバーのシモリョー(the chef cooks me)は向かい合わせにスタンバイした。

メンバーが1曲目として演奏したのは「センスレス」。フロアにセットが組まれることで音がダイレクトに響き、会場全体をあっと言う間に飲み込んでいく。最初はメンバーとの近さに戸惑っていた様子のオーディエンスだったが、徐々に体を揺らしたり、後藤正文(Vo, G)に合わせて口ずさんだり自由にライブを楽しみ始めた。骨太なバンドサウンドに乗せて、サビで後藤が堰を切ったようにシャウトする「スタンダード」を経てひと息ついた4人。後藤は「俺たち、今日、動物園の動物みたい(笑)」と全方位を囲む観客を見渡し、「こんな近いライブもなかなかないから。みんな緊張しないで」と呼びかけた。

喜多建介(G)(Photo by Terukazu Sugino)

喜多建介(G)(Photo by Terukazu Sugino)[拡大]

伊地知潔(Dr)の叩く鼓動のようなリズムが印象的な「マーチングバンド」では、後藤と喜多建介(G, Vo)が頷きあいながらギターの音を重ねる姿が見られ、メンバー同士も近い距離でのプレイを楽しんでいる様子。複雑なリズムを軸に展開する「ブルートレイン」では、互いの音だけでなく楽器を奏でる手元にも注意を払いつつ、息の合った盤石のアンサンブルを聴かせた。青い照明演出で魅せた「ブルートレイン」のあとは、一瞬の間を置いてフロアが真っ赤な照明で染まり「サイレン」がスタート。派手な演出こそなかったが、曲に合わせて天井とフロアに置かれた照明が色を変え、曲の持つ世界を彩っていく。まったりとしたトーンの「生者のマーチ」が終わると、後藤は「相撲取りってこういう気分なんだな」とぼそりとつぶやく。さらに、メンバー同士が向かい合って演奏するスタイルについて「珍しい光景だと思うんだ」「メンバーのことは見ないようにしてたのに、建さんがビッグマック食べてるときの顔をしてて。それで『サイレン』のときに(ギターの)ディレイを鳴らし過ぎた」と喜多をいじったかと思えば、続いて山田貴洋(Vo, G)の取材時の衣装についてツッコミを入れ観客を笑わせた。

山田貴洋(Vo, G)(Photo by Terukazu Sugino)

山田貴洋(Vo, G)(Photo by Terukazu Sugino)[拡大]

「アルバムタイトル曲を初めて披露するから。すごい練習したもんね」という後藤の紹介から、12月5日にリリースされるニューアルバムの表題曲「ホームタウン」を奏で出したメンバーたち。躍動的なリズムとメロディアスなベースを中心にしたシンプルなアンサンブル、後藤が朗々と歌い上げるナンバーを観客は楽しげに聴き入る。後藤とシモリョーのハーモニーで始まる「スリープ」に続き、今度は「ホームタウン」に収録されているシングル「荒野を歩け」に。大サビで大きなクラップが起き、フロアの中心でプレイする5人を包み込んだ。

その後、演奏されたのは、ハウリングするようなギターの音色とたっぷりしたイントロで幕を開ける「Re:Re:」。なんの曲が演奏されるのか察した観客は顔を輝かせ、後藤と一緒にシンガロングをした。さらに、伊地知のスティックカウントからライブの定番曲「リライト」になだれ込むと、会場の熱気がグッと高まっていく。この曲の間奏ではメンバー紹介とソロが盛り込まれたほか、後藤が音頭を取るコール&レスポンスでフロアが沸き立つ。観客の盛り上がりに後押しされるように、曲の終盤ではメンバーのプレイにも後藤のシャウトにも力がこもった。

伊地知潔(Dr)(Photo by Terukazu Sugino)

伊地知潔(Dr)(Photo by Terukazu Sugino)[拡大]

続いてのMCで「10年前ならやらないこともやれるようになりました」「ただ、いい曲を作りたい、いい演奏したい」と口にした後藤だが、次の瞬間には「山ちゃんと潔だけ今日ファンデーション塗ってるんだよ! モテようとしてる!」とメンバーをいじり出し、しまいに話は印税や機材費の配分の話に発展。シモリョーが温かい笑みを浮かべる前で、後藤は「この先はもう楽屋で揉めよう」と話を切り上げて観客を爆笑させた。話題を変えるように後藤は2019年はライブ三昧になることを宣言し、「来年よろしくお願いします!」と挨拶。そして、ライブ本編は山田、喜多、シモリョーのコーラスが光る「今を生きて」と、ノスタルジックな空気を紡ぐ「ボーイズ&ガールズ」でクライマックスを迎えた。

ASIAN KUNG-FU GENERATION「SPACE SHOWER TV "LIVE with YOU"」収録中の様子。(Photo by Terukazu Sugino)

ASIAN KUNG-FU GENERATION「SPACE SHOWER TV "LIVE with YOU"」収録中の様子。(Photo by Terukazu Sugino)[拡大]

熱烈なアンコールに応え再び戻ってきたメンバーは、スタンバイしつつMCを開始。後藤は「アルバム、自信作です。あの潔が、マスタリング終わっても『いい』って言ってたし」と、普段はあまり自分たちの曲に関心を示さない伊地知も気に入った作品であることをアピールする。さらに「どんな環境で聴いてもいい音で鳴るように作ったので。41歳とか42歳のおっさんたちなりに一番やりたいことと、一番鳴らしたい音を録って、その端っこでもいいから届いてくれたらいいな思って作ったアルバムです」と自信をのぞかせた。そんな言葉から続いたのは、メンバーが敬愛するWeezer「You Gave Your Love To Me Softly」のカバー。パワフルかつリスペクトを込めたプレイで旧知の仲であるバンドの代表曲を届けたあと、「All right part2」でライブはフィナーレへ。全15曲を演奏しきったメンバーは、観客と笑顔でハイタッチをしながらフロアをあとにした。

なお、この日のライブの模様は2019年1月26日(土)にスペースシャワーTVにて1時間にわたって放送される。新旧のナンバーにカバーという濃密なセットリストをもとに繰り広げられた一夜限りのステージを追体験してみよう。

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ASIAN KUNG-FU GENERATION「SPACE SHOWER TV "LIVE with YOU"」2018年11月27日 LIQUIDROOM セットリスト

01. センスレス
02. スタンダード
03. マーチングバンド
04. ブルートレイン
05. サイレン
06. 生者のマーチ
07. ホームタウン
08. スリープ
09. 荒野を歩け
10. Re:Re:
11. リライト
12. 今を生きて
13. ボーイズ&ガールズ
<アンコール>
14. You Gave Your Love To Me Softly
15. All right part2

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