このライブは東京女子流が2010年のデビューから現在までのレパートリーを、2日間に分けて全曲披露するという試みの前半戦として実施されたもの。彼女たちは今年2月に「"DISCOGRAPHY" CASE OF TGS」と銘打った昼夜2公演でこの全曲披露ライブを行う予定だったが、メンバー新井ひとみが急性気管支炎にかかったため、急遽開催中止に。ただしライブは取りやめず、チケット払い戻しのうえで無料の“エキシビジョン公演”として、庄司芽生、山邊未夢、中江友梨の3人のみで昼夜計67曲をパフォーマンスした。今回の2公演は、体調万全となった4人で再び挑むリベンジマッチ。ライブのタイトルには4人の決意を込めた「STARTING OVER!」が冠された。
東京女子流の楽曲には制作された順に“TGS”を冠したナンバーが付けられており、今回の2公演ではすべての“TGS”楽曲がナンバー通りに進行する。前半戦「TGS00~TGS32」は2014年2月発売の「Partition Love」までの楽曲が対象だが、ライブの1曲目に歌われたのは、2014年6月に発売された4thアルバムの表題曲「Killing Me Softly」。この曲は東京女子流のデビュー曲「キラリ☆」よりも前に制作されながら音源化されていなかった幻の“TGS00”ナンバーで、デビューから4年半を経てようやく日の目を見た楽曲だ。ゼロからのスタートを切った東京女子流は、まず1人ずつ会場のアスタライト(東京女子流ファンの呼称)に挨拶。新井は「ただいま!」と満面の笑顔でライブに参加できる喜びを爆発させ、リーダー庄司は「完全体の女子流で、完全体のものをみんなと作っていきたいなと思いまして、ここからはアルバムごとに歌っていこうと思います。ここにいるみんなで一緒に奇跡の時間を作っていきましょう!」と呼びかけた。
2011年5月発売の1stアルバム「鼓動の秘密」は、メンバーとアスタライトが照明の消えたフロアに一斉に真っ赤なペンライトを灯す「Love like candy floss」、ヒマワリの指飾りを付けて踊る「ヒマワリと星屑」、ボンボンを持ってパフォーマンスする「頑張って いつだって 信じてる」、高速ファンクチューンに乗せてタオルを振り回す「Attack Hyper Beat POP」など、小道具を用いながら観客との一体感を作り上げる楽曲が多数。4人は計11曲を間髪入れずに披露し「鼓動の秘密」の世界観を表現した。ステージ後方のスクリーンには、時折2010~11年当時のメンバーの姿が映し出される。東京女子流は2012年12月に行った初の東京・日本武道館ワンマンライブ「TOKYO GIRLS' STYLE『LIVE AT BUDOKAN 2012』」まで年齢を明かしていなかったが、デビュー時は全員小中学生。中江が「本当に幼かった私たちが、まあーいい歳になりまして。20歳、21歳と今が旬な年齢ですよ」と話すと、新井が「柿みたいな感じでしょ? 秋だから柿」と重ねて会場をなごませた。
2012年3月発売の2ndアルバム「Limited addiction」のブロックは、「Sparkle」「W.M.A.D」「Liar」など、女子流サウンドの基盤を作ったプロデューサー・松井寛の個性的なアレンジが光るファンキーな楽曲がズラリと並ぶ。「Liar」では曲中に衣装を変化させたりと、4人は妖艶さを感じさせるパフォーマンスと巧みなフォーメーションで観客を惹き付け、拳を突き上げ歌う「Rock you!」ではアスタライトも掛け声を上げフロアが一体に。2ndアルバムのラストを締めくくるバラード「追憶 -Single Version-」では発売当時より成長したメンバーの歌声が、大人びた失恋ソングにさらなる説得力を加えていた。計10曲を歌い終えると、4人は次のブロックで使用する椅子をステージ上に並べ、くつろぎムードで「Limited addiction」発売当時を振り返る。中江は「思春期って言うんですか? 不安になったりセンチメンタルになる時期があるんですよ女の子には。男の子たち聞いてる? あのときはどうやったらライブがうまくできるかすごく悩んで、今では考えられないけど、控室がしんと静まり返ってたんですよ」と青春真っ盛りの時代ならではの苦悩を懐かしんだ。
1日目のラストは2013年1月発売の3rdアルバム「約束」のブロック。「約束」は初の日本武道館ワンマンを経ての決意が込められた1作で、メンバーにとっても「たくさんの思い出が詰まったアルバム」だという。1曲目「Bad Flower」では4人が羽衣のような衣装をはためかせて妖艶なムードを作り上げた。さらに「月とサヨウナラ」では直前のトークで使用した椅子を使い、ジャジーななまめかしいダンスを踊る。エイベックスの大先輩・TRFのカバー「Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~」は一転ハイテンションなパフォーマンスで、アスタライトも盛大なコールで応戦。衣装をチラリとめくるセクシーな「LolitA☆Strawberry in summer」、未来への決意を熱く歌い上げる表題曲「約束」と、4人はバリエーション豊かな10曲でさまざまな表情を見せた。そして最後に歌われたのは、女子流をデビュー当時から高く評価していた小出祐介(Base Ball Bear)が作詞作曲を手がけたシングル曲「Partition Love」。教師と生徒の禁断の愛を描いた歌詞は、リアルタイムで学生生活を送っていた当時の女子流には刺激的な内容だったが、全員が20歳を超えた現在は1つの物語を演じるように表現している。全33曲、3時間を超えるパフォーマンスを終えた4人は、疲れを感じさせない笑顔で挨拶。庄司は「やっとこのステージに4人で帰ってくることができて本当によかったって。これはまだ半分なんですけど、今まで過ごしてきた8年間の大切な歴史なので、こんなにたくさんのみんなと共有できてうれしいです。次はよりいろんな女子流が観れると思いますので、12月1日もお待ちしています!」と締めくくった。
12月1日に同じくマイナビBLITZ赤坂で行われる後半戦「STARTING OVER! "DISCOGRAPHY" CASE OF TGS -TGS33~TGS68-」は、“TGS33”とナンバリングされた4thアルバム収録曲「pain」から最新楽曲までが披露される予定だ。
東京女子流「STARTING OVER! "DISCOGRAPHY" CASE OF TGS -TGS00~TGS32-」
2018年11月23日 マイナビBLITZ赤坂 セットリスト
01. Killing Me Softly
02. 鼓動の秘密
03. Love like candy floss
04. ヒマワリと星屑
05. 頑張って いつだって 信じてる
06. サヨナラ、ありがとう。
07. Attack Hyper Beat POP
08. おんなじキモチ
09. ゆうやけハナビ
10. きっと 忘れない、、、
11. 孤独の果て ~月が泣いている~
12. キラリ☆
13. Sparkle
14. W.M.A.D
15. Regret.
16. 僕の手紙
17. Don't Be Cruel
18. Liar
19. Rock you!
20. 眩暈
21. Limited addiction
22. 追憶 -Single Version-
23. Bad Flower
24. ディスコード
25. それでいいじゃん
26. 大切な言葉
27. 月とサヨウナラ
28. 幻
29. Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~(TGSver.)
30. ふたりきり
31. LolitA☆Strawberry in summer
32. 約束
33. Partition Love
東京女子流「STARTING OVER! "DISCOGRAPHY" CASE OF TGS -TGS33~TGS68-」
2018年12月1日(土)東京都 マイナビBLITZ赤坂
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