2011年に行われた1stコンサートのツアータイトル「Memoria×Melodia」に「II」という文字を冠した本公演。彼女はオリジナル曲はもちろん、クラシックから日本の名曲のカバーまで、幅広いジャンルの楽曲をこの日ならではの特別なアレンジで届けた。
開演時間を過ぎた頃、ドレスを身にまとった高垣が白い柱で装飾されたクラシカルなステージへ。開演を告げるように会場にベルの音色が鳴り響くと、彼女は9月にリリースしたカバーミニアルバム「melodia 4」より「Ave Maria」を、ピアノとストリングスカルテットが奏でる優美なサウンドに乗せてラテン語で歌い上げた。音楽大学の声楽科出身の彼女は、卓越した歌唱力と繊細な表現で楽曲の世界観を丁寧に紡ぎ上げていく。会場には神秘的な空気が広がり、オーディエンスの目はスポットライトに照らされながら歌う彼女の姿に釘付けとなった。ステージ前方にゆっくりと進み出た高垣は、「Ave Maria」と同じく教会音楽「Panis Angelicus」を2曲目に歌唱。美しい歌声を響かせた彼女は、同曲を歌い終えると「皆さまこんばんは!」と元気よく客席に手を振って挨拶した。
「今日は1日限りの特別な夜になると思います」と告げ、高垣は緩急を付けたスケール感のあるサウンドに乗せて映画「アメリカ物語」の主題歌「Somewhere Out There」、そしてオリジナル曲「ソプラノ」を披露する。その後彼女はステージに作られた階段の上に立ち「Rebirth-day」をそっと歌い始めるも、ワンコーラスを終えたところで、どこからともなく鳴り響いたドラムカウントを合図に空気は一転。ステージ後方の幕が勢いよく開き、バンドセットと共に4人のバンドメンバーが登場した。ピアノとストリングに疾走感あふれるバンドサウンドが加わり、迫力のある演奏が繰り広げられる。ここまでじっくりと楽曲の世界観に浸っていたオーディエンスは、グルーヴィなサウンドにつられるように赤のペンライトを振り上げ、全力でコールを飛ばした。
高垣は自身のイメージカラーであるピンクのライトに染まった会場を見渡し、「Inner Galaxy」をさわやかに歌唱。「これがフルメンバーでございます!」と声を弾ませ、7年前の1stコンサートツアー「Memoria×Melodia」を振り返ったうえで「当時歌ってた楽曲も、そのときはまだ生まれていなかった曲も、バンド、カルテット、そしてピアノという編成でお届けできたらと思っています」と改めて観客に伝えた。レアナンバー「All around me」を経て、高垣は「Brand New Smile」でタップダンスを披露。華麗なステップで楽曲の世界観を彩り、客席から大歓声を浴びた。ミラーボールが輝きディスコフロアと化した会場で「Can't Take My Eyes Off Of You」を楽しげに届け、彼女は衣装チェンジのため一度ステージからはけていく。その間ステージ上のメンバーは高垣が2015年に発表した初の自作曲「縁」を丁寧に紡ぎ、場内を温かな空気で包み込んだ。
ピンクのドレス姿でステージに登場した高垣は、昨年出演したミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」の楽曲「Happiness」をたおやかに歌唱。MCではずっと憧れだったというタップダンスの練習を振り返り、苦労を経てセッションが叶ったことを喜んだ。「Journey to the past~心のままに~」で丁寧に日本語を歌った高垣は、そのまま壮大な世界観が広がる「夢のとなり」へ。観客は息を呑み、楽曲の展開に合わせた彼女のダイナミックな歌に魅了されていた。ライブも終盤に差しかかった頃、高垣は「皆さん思いっきり盛り上がっていきましょう!」と会場を煽り、一瞬の間にドレスからワンピース姿に。躍動感のあるストリングスによってドラマティックに彩られた「Futurism」、重厚なギターが渦巻く「Meteor Light」が続き、場内に熱いコールが沸き起こった。高垣はデビュー曲「君がいる場所」を情感豊かに歌い上げ、本編最後のMCでは得意のダジャレを連発。和やかな空気の中、彼女は「今日皆さまとお会いできたご縁に感謝して、そして今日出会って一緒に過ごした時間がまた新しい何かを生み出しますように祈りを込めて、最後はこのナンバーでお別れしたいと思います」と告げ、カバーミニアルバムにも収録されている中島みゆきの名曲「糸」を温かみのあるアレンジでじっくりと歌い上げた。
アンコールで再びステージに登場した高垣は、今年初主演を務めたミュージカル「ひめゆり」の楽曲「生きている」を抑揚のあるピアノ伴奏をバックに歌唱した。カルテットメンバーをステージに呼び込んだ彼女は、「キャラクターソングを何か1曲歌いたいなと思いまして」と話を切り出し、彼女が声を演じるアニメ「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズのキャラクター・雪音クリスの楽曲「教室モノクローム」をクラシックアレンジで披露。バンドメンバーも登場すると、高垣は「このメンバーだからこそ奏でられる音楽があって、今日ここに集ってくださった皆さまがいるからこそ、この空間になったんだなと。一期一会の特別な瞬間というのを噛みしめています」と感慨深げに語った。「出会ってくださってありがとうございます。今日という日が、一緒に過ごした時間が、振り返ったときに心の中で少しでもきらめく時間でありますように。今日も、そして明日からもあなたにとって宝物のような日々でありますように」と告げ、高垣が穏やかに歌唱したのは「たからもの」。最後まで観客を魅了した彼女は「またどこかで会いましょうね!」と笑顔で手を振り、一夜限りのコンサートを締めくくった。
高垣彩陽「LAWSON presents 高垣彩陽コンサート『Memoria×MelodiaII』」2018年10月7日 中野サンプラザホール セットリスト
01. Ave Maria
02. Panis Angelicus
03. Somewhere Out There
04. ソプラノ
05. Rebirth-day
06. Inner Galaxy
07. All around me
08. Brand New Smile
09. Can't Take My Eyes Off Of You
10. BAND Interlude“縁”
11. Happiness
12. Journey to the past~心のままに~
13. 夢のとなり
14. Futurism
15. Meteor Light
16. 君がいる場所
17. 糸
<アンコール>
18. 生きている
19. 教室モノクローム
20. たからもの
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高垣彩陽:ストリングスカルテット&バンドアレンジで届けた一夜限りのコンサート。中野サンプラザホール10/7公演レポート - 音楽ナタリー https://t.co/9QPFaMSTbG