きのこ帝国、初期ナンバーから最新作まで“10年間”詰まった夜

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きのこ帝国が9月20日に大阪・なんばHatch、23日に東京・新木場STUDIO COASTでワンマンライブ「きのこ帝国 New Album『タイム・ラプス』Release Party」を開催した。この記事では東京公演の模様をレポートする。

佐藤千亜妃(Vo, G)(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])

佐藤千亜妃(Vo, G)(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])

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9月12日に最新アルバム「タイム・ラプス」をリリースしたきのこ帝国。彼女たちは結成10周年イヤーを締めくくるリリースパーティを行い、最新アルバムの収録曲はもちろん、バンドの歴史の中で生まれたさまざまなナンバーを披露した。

きのこ帝国(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])

きのこ帝国(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])[拡大]

ステージ後方から放たれる眩い光に包まれた4人は、アルバムの1曲目を飾るナンバー「WHY」でリリースパーティをスタート。ライブの幕開けからギターを熱くかき鳴らした佐藤千亜妃(Vo, G)は「こんばんは。きのこ帝国です」とひと言挨拶をし、「&」で淀みのない歌声を響かせた。陽だまりのような柔らかな光が差し込むステージで、彼女たちが演奏し始めたのは「ラプス」。柔らかなメロディに乗せて切迫感のある言葉が届けられると、オーディエンスはバンドの世界観にじっくりと浸かっていた。彼女たちは疾走感あふれるギターロックナンバー「Thanatos」、哀愁漂うギターと気だるげなドラムが響く「傘」といったように、その後もアルバムの曲順通りに次々と新曲を披露していく。「ヒーローにはなれないけど」を軽快にプレイしたのち、4人が演奏したのはノスタルジックな雰囲気漂う「金木犀の夜」。観客は心地のいいメロディに酔いしれ、自由に体を揺らしてライブを楽しんだ。

佐藤千亜妃(Vo, G)(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])

佐藤千亜妃(Vo, G)(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])[拡大]

アルバム収録曲を7曲続けてプレイしたところで、佐藤は「めっちゃいいアルバムじゃないですか? どうですか?」とゆるやかに話し出す。観客が大歓声で応えると、彼女は「うれしいな。今日は自分たちを出し切って終えたいなと思っています。皆さんもきのこ帝国の音楽にじっくり浸ったり、踊ったり、最後までそれぞれ楽しんでいってください」と笑顔を見せた。ここからバンドは過去のナンバーも織り交ぜながらライブを展開。「猫とアレルギー」「怪獣の腕のなか」をたおやかに奏でたあと、ピンクのライトに染まったステージで「桜が咲く前に」をゆったりと届けた。メンバーが大学生のときに作ったという楽曲「中央線」では、メンバー同士目を見合わせながら、みずみずしいサウンドを鳴らす。佐藤がそっと言葉を吐き捨てるように歌い始めたのは「タイトロープ」。重く沈み込むようなドラムとベースの音が、ゆるやかに場内を支配していった。

「きのこ帝国 New Album『タイム・ラプス』Release Party」東京・新木場STUDIO COAST公演の様子。(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])

「きのこ帝国 New Album『タイム・ラプス』Release Party」東京・新木場STUDIO COAST公演の様子。(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])[拡大]

アコースティックギターを交えた音色に乗せて、無垢な歌声が響きわたったのは「LIKE OUR LIFE」。天井に設置された大きなミラーボールが輝き、幻想的な光景が生み出された。4人は美しいメロディを紡いだ「愛のゆくえ」を経て、歌声に気迫にじむインディーズ時代のナンバー「夜が明けたら」、そして「東京でこの曲をやらないと締まらないでしょう」とバンドの代表曲の1つでもある「東京」をプレイ。「カノン」ではオーディエンスが声を合わせて「ラララ」と楽しげに歌い、会場にピースフルな空気が広がった。本編の最後に演奏されたのは、アルバムのラストを飾るナンバー「夢みる頃を過ぎても」。「大切な人に向けて作った曲です」と佐藤は前置きし、柔らかなサウンドと共に飾り気のない歌声を響かせた。

きのこ帝国(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])

きのこ帝国(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])[拡大]

アンコールでは、マイクが4つ横並びに置かれたステージにオーディエンスの視線が集まった。佐藤が「慣れないことをしようとしています。懐かしい曲をやろうと思っていまして……」と話を切り出すと、次の曲の提案者だという西村“コン”(Dr)は「ワンマンだから特別な曲をやれたらいいなと思って、提案させていただきました」と説明。佐藤はアコギ、そして西村はタンバリン、谷口滋昭(B)はマラカス、あーちゃん(G)はハーモニカを担当し、アコースティックなナンバー「フェイクワールドワンダーランド」を奏でた。温かな空気の中、4人はそれぞれ楽器の配置につき「クロノスタシス」へ。「海と花束」「国道スロープ」といった人気ナンバーをエモーショナルに届け、オーディエンスの歓声を浴びた。佐藤は「きのこ帝国が結成してから10年……きのこ帝国中心の生活で10年間走ってきました。ここにいるみんな、CDを買ってくれるみんなに支えられて、音楽人生やってきてここに立ってるなと思います。ありがとうございます」と素直な思いを言葉に。そして「すごく前向きな話をしてもいいですか? きのこ帝国はこれから、メンバーそれぞれさらに自由な形で活動をしていけたらいいなと思っています。みんなの中できのこ帝国の音楽はずっと鳴っていると思うので……これからもゆっくり見守って、応援してください。よろしくお願いいたします」と思いを伝え、深くおじぎをした。この日最後に披露されたのは「明日にはすべてが終わるとして」。4人は最後の一音まで力を込めて鳴らし、深い余韻を残してライブを終えた。

なおきのこ帝国は、10月3日に東京・下北沢BASEMENT BARと下北沢THREEでライブイベント「きのこ帝国 presents 退屈しのぎ ~10th Anniversary編~」を開催。佐藤は11月28日にソロライブ「Special Cover Live VOICE3 ~Luxury Banquet~」を東京・Billboard Live TOKYOで行う。

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きのこ帝国「きのこ帝国 New Album『タイム・ラプス』Release Party」2018年9月23日 新木場STUDIO COAST セットリスト

01. WHY
02. &
03. ラプス
04. Thanatos
05. 傘
06. ヒーローにはなれないけど
07. 金木犀の夜
08. 猫とアレルギー
09. 怪獣の腕のなか
10. 桜が咲く前に
11. 中央線
12. タイトロープ
13. LIKE OUR LIFE
14. 愛のゆくえ
15. 夜が明けたら
16. 東京
17. カノン
18. 夢みる頃を過ぎても
<アンコール>
19. フェイクワールドワンダーランド
20. クロノスタシス
21. 海と花束
22. 国道スロープ
23. 明日にはすべてが終わるとして

きのこ帝国 presents 退屈しのぎ ~10th Anniversary編~

2018年10月3日(水)東京都 下北沢BASEMENT BAR / 下北沢THREE
<出演者>
きのこ帝国 / paionia / 突然少年 / 太田哲宇 / チーナ / モリソンレコド / LAIKA DAY DREAM

佐藤千亜妃「Special Cover Live VOICE3 ~Luxury Banquet~」

2018年11月28日(水)東京都 Billboard Live TOKYO
[1st]OPEN 17:30 / START 18:30
[2nd]OPEN 20:30 / START 21:30

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tsugihiro yasushi @yts

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