A9、熱いライブで“魔王”倒し15周年の一歩踏み出す「みんなと一緒に終わらない旅へ」

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今年結成14周年のA9が、8月25日に東京・新木場STUDIO COASTでアニバーサリーライブ「『ALICE IN CASTLE』-星の王子と月の城-」を行った。

A9(Photo by Lestat C&M Pro.)

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4月にリリースした最新アルバム「PLANET NINE」を携えた「『STAIRWAY TO MOON』-月への招待-」「『STAIRWAY TO MARS』-火星への招待-」という2つツアーを経て新木場STUDIO COASTの地に立ったA9。彼らは14周年の記念すべきこの日、九組(A9ファンの呼称)との熱いライブにより、鈴木達央が声を演じる“魔王S”を目覚めさせてしまうというストーリーのもと演劇チックなパフォーマンスに挑戦した。

将(Vo)(Photo by Lestat C&M Pro.)

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ステージ後方のスクリーンに映し出された時計が開演時刻の17:14を指した頃、場内には鈴木達央アナウンスによる歓迎の言葉と「今宵は5人の王子と心おきなくパーティをお楽しみください」というメッセージが流れる。その言葉通り、将(Vo)、ヒロト(G)、虎(G)、沙我(B)、Nao(Dr)の5人はEDMサウンドの「PLANET NINE-INVITATION-」に乗せ、“月の城の王子”としてステージに登場。将王子の「僕たちの城にようこそ! さあパーティを始めようか!」という言葉から「UNDEAD PARTY」でライブを開始し、曲中にはサングラスをかけたNao王子がハイテンションで九組のジャンプを煽った。さらにこの日はステージからバルコニー席へと伸びる花道も用意され、ヒロト王子と虎王子がバルコニー席目前でギタープレイを見せて九組を喜ばせた。

目覚めてしまった“魔王S”。(Photo by Lestat C&M Pro.)

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沙我王子とNao王子のリズム隊が作り出す重々しいサウンドがヘッドバンギングの嵐を巻き起こした「Adam」を経て最初のMCへ。将王子は「『STAIRWAY TO MOON』『STAIRWAY TO MARS』を経て今日、この城へたどり着きました。各地の素晴らしい出会いを無駄にしないような夜にしたい。力を貸してください! そのために、まずこの曲でみんなで笑顔を作りたい!」と語り、「アリーナ!」とフロアを、「その1段上がったところ!!」とバルコニー席を煽って客席に笑いを起こした。そのまま「F+IX=YOU」へと突入し、続く「CASTLE OF THE NINE」でメンバーが楽器を置いてフォーメーションダンスを繰り広げていると、会場中にCO2が噴射。雷の音が響きメンバーと九組がざわめく中、「はっはっは! うるさい演奏は止めてやったぞ王子たちよ」と“魔王S”が登場した。

九組に花をプレゼントしたあと、残った花をくわえて演奏した沙我(B)。(Photo by Lestat C&M Pro.)

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月の裏側から星々を支配しているという魔王は、A9の熱いパーティのせいで15年ぶりに眠りから目覚めてしまったと言い「私はうるさいことも熱いことも大嫌いなのだ! キンキンに冷えるくらいの冷たーい空気が好きなのだ!」と激怒。これにNao王子は「ドラムの金属部分がキンキンに冷えてやがるよー!」と「カイジ」の藤原竜也モノマネを披露し、もう一度魔王からのCO2噴射攻撃に遭っていた。ここからA9は魔王を倒すべく、さらなる熱い空気を目指してライブを再開。しかし「FIVE JOKER」ではヒロト王子と虎王子が「魔王を倒すのはこの俺だ」と張り合い、ギターバトルが勃発する。白熱のあまり、ギターを弾きながら近距離でにらみ合っていた2人はなぜかキスし、会場から黄色い歓声が上がった。続く「造花の代償」で5人はそれぞれ客席に散らばり、九組に花をプレゼントしてさらなる黄色い歓声を沸き起こした。

魔王の手下のGたかし。(Photo by Lestat C&M Pro.)

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ほかのメンバーがはけ、ステージに1人残ったNao王子は会場をもっと熱くすべくパワフルなドラムソロを披露。すると再度CO2が噴射し、「カイジ」モノマネでおなじみのGたかしがステージに登場した。魔王の手下だと言うGたかしは「ドラムセットがキンキンに冷えてやがるよー!」とモノマネを披露し、「ほ、本物きたー!」とNao王子をたじろがせる。しかし負けじとNao王子も熱いドラムを叩き、魔王と同じく熱い空気に弱いというGたかしを追いやった。メンバー4人が合流すると、虎王子のキャッチーなギターリフから「ハイカラなる輪舞曲」へとなだれ込み、沙我王子のムーディなベースソロが九組を魅了する。将王子は「この曲は、俺たち5人の王子の無限の愛が刻まれた曲です」と語った「無限の花」で、スタンドマイクの前に立ちじっくりと歌声を聴かせた。

“暗黒モード”へと入った将(Vo)。(Photo by Lestat C&M Pro.)

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将王子と沙我王子が向かい合ってつぶやくように歌ったエモーショナルな「ASYLUM」から開放感のある「Re:Born」へとつなげたA9に対し、魔王は「なかなかやるではないか5人の王子、そして九組たち! いいだろう、決着を付けてやる! 勝負だ、かかってこい!」と宣戦布告。A9はヘビーなサウンドで「the Arc」を熱演し、九組も激しいヘドバンで参戦するも、魔王は「どうした? 大したことはないな? 所詮貴様らの言う熱さなど、その程度のものだ」とA9を蹴散らす。すると将王子は片手で顔を覆い、会場には地響きの音が。「光がダメなら……闇の力でぶっ壊してやる!」と“暗黒モード”へと入った彼は、黒い剣を手に取り「どちらが本物の魔王か見せてやるよ……死ぬ気でかかってこい!」と声を上げた。彼は「闇ニ散ル桜」で男らしいシャウトと艶やかな歌声を織り交ぜ九組をヒートアップさせ、続く「MEMENTO」ではさらなる熱気が会場を包んだ。

サイリウムを持って踊るA9と九組。(Photo by Lestat C&M Pro.)

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しかし会場には大きな雷の音が響き、メンバーはステージ上に倒れてしまう。「なかなかやるな! だが通用せん! 貴様らの努力も歴史も何もかもが無駄! 絶望に飲み込まれながら消え去るがいい!」とあざ笑う魔王に対し、ヒロト王子は「あきらめるな! 俺たちと九組が14年間紡いできた思い、その1分1秒に無駄なものはないんだ!」、沙我王子は「九組のみんな! 光を掲げてくれ! 今こそ俺たちの本当の熱さを見せてやるんだ!」と言葉に力を込める。メンバーは楽器を持たずステージに並び、この日2回目の「CASTLE OF THE NINE」をサイリウムを持って歌い踊り、九組もサイリウムやLEDブレスレッドを掲げた。大盛り上がりの会場にカラーテープが噴射すると魔王は撃沈。メンバーの「俺たちは今が一番熱いんだよ!!」という言葉と共に魔王は叫びながら封印された。

ヒロト(G)(Photo by Lestat C&M Pro.)

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「今日は僕たちの14周年ライブに遊びに来てくれてどうもありがとう」と改めて“A9のフロントマン”として九組に感謝した将は「みんなのおかげで月にも火星にも行けて、魔王も倒せました。僕たちは2004年8月24日にアリス九號.として結成して……今日は2018年8月25日。今日が15周年の第一歩なんです! これからもいろんな苦難があると思いますが、みんなと一緒に終わらない旅に出かけたいと思ってます!」と言葉を重ねる。そして5人は楽器を持ち、スクリーンに歌詞が映し出される中「the beautiful name」を九組1人ひとりに届けるようにして演奏。会場が祝祭感で包まれる中、メンバーは手をつないで一礼してステージを去った。

Nao(Dr)(Photo by Lestat C&M Pro.)

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アンコールは「祭にふさわしい曲を」と「H.A.N.A.B.I.」でスタート。「もっと声聞かせてくれー!!」と将がシャウトした「G3」でメンバーは熱演のあまり客席に散り散りに。これに将は「ステージ人少な!」とツッコみ、会場には和やかな空気が流れた。最後はメンバーそれぞれが九組にメッセージを贈ることに。ヒロトは「新しい雰囲気のステージを、これだけの皆さんと最高のチームで作れてます。それは九組1人ひとりが最高の景色を見せ続けてくれたからです」、Naoは「14年前は今がこうなってるなんて想像してなかった。たくさんの人に支えられて14年続けることができて、これからも……100年後もやりたいな! ついてきてくれよ!」とコメント。沙我は「演劇チックなことからダンスまでやって。『A9どこに向かってんだよ!』って心配される人もいるかもしれないけど、僕らは特にどこかに向かってるわけでもなく、メンバーで手をつないで、とにかく駆け抜けてるだけなんで。ついてくるの大変かもしれないけど、何をしでかすかわからないバンドとしてこれからも突っ走っていきます!」と述べた。

虎(G)(Photo by Lestat C&M Pro.)

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また虎が「自分のことながら、A9って目を離せないぞって(笑)。年々、時間が経つにつれてメンバーの仲のよさもヤバいし……」と話すと、将は「沙我さん、カーテンコールのとき恋人つなぎしてきた」と暴露。これに虎は「沙我さん! 俺には普通でしたよ!!(笑)」とユーモアたっぷりにクレームを入れていた。最後に将は「14年間バンドやっててよかったなって思える景色を見せてくれてありがとう! こうやってみんなと顔を突き合わせられることが幸せでさ。みんなと笑ってこういう時間を作れるなら、俺たちはどれだけ笑われても、傷付いても構わないって思えます。ホントにどうもありがとう!」と九組に感謝の気持ちを表した。ラストナンバー「NUMBER SIX.」で彼は拳を握って力強く歌声を届け、ほかのメンバーも並んで楽器を弾いたりと感動的なムードが漂う。将は「みんな、愛してるぜー!!」と叫び、14周年ライブの幕を下ろした。

なおA9は2019年春に全曲再録バージョンを収めたベストアルバム(タイトル未定)をリリースする。また12月から2019年1月にかけてワンマンツアー「絶対“黒”領域」を東名阪で開催し、12月24日には東京・ステラボールにてオーケストラアレンジで楽曲を披露するライブ「ALICEMAS 2018~A9 with ORCHESTRA」を行う。バンドのオフィシャルファンクラブでは、これら公演のチケット先行予約を9月9日まで受付中。

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A9「『ALICE IN CASTLE』-星の王子と月の城-」2018年8月25日 新木場STUDIO COAST セットリスト

SE. PLANET NINE-INVITATION-
01. UNDEAD PARTY
02. Adam
03. F+IX=YOU
04. CASTLE OF THE NINE
05. UNREAL
06. RAINBOWS
07. FIVE JOKER
08. 造花の代償
09. Drum Solo
10. ハイカラなる輪舞曲
11. 無限の花
12. ASYLUM
13. Re:Born
14. the Arc
15. 闇ニ散ル桜
16. MEMENTO
17. CASTLE OF THE NINE
18. the beautiful name
<アンコール>
19. H.A.N.A.B.I.
20. G3
21. SHINING
22. NUMBER SIX.

A9 ベストアルバム(タイトル未定)収録曲

DISC 1

01. タイムマシン
02. 華一匁
03. グラデーション
04. H.A.N.A.B.I.
05. 銀の月 黒い星
06. 無限の花
07. 平成十七年七月七日
08. 光環
09. ヴェルヴェット
10. FANTASY

DISC 2

01. NUMBER SIX.
02. -Dice-
03. 虹彩
04. RAINBOWS
05. CROSS GAME
06. the beautiful name
07. Waterfall
08. Le Grand Bleu
09. GEMINI-0-eternal
10. GEMINI-I-the void
11. GEMINI-II-the luv

A9「絶対“黒”領域」

2018年12月21日(金)愛知県 名古屋ReNY limited
2018年12月23日(日・祝)東京都 ステラボール
2019年1月6日(日)大阪府 なんばHatch

ALICEMAS 2018~A9 with ORCHESTRA

2018年12月24日(月・振休)東京都 ステラボール

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keills @bxnutk9464

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