この日の公演は、13日の大阪・Zepp Namba公演に続き、坂本昌之(Piano)、室屋光一郎(Violin)、結城貴弘(Cello)をサポートメンバーに迎えて行われた。鬼束は同公演にて終盤までMCを挟まず、いつもながらのストイックなパフォーマンスを披露して観客を圧倒した。
坂本、室屋、結城が奏でるThe Beatles「Because」のインストゥルメンタルバージョンがライブの幕開けを告げ、セッションが終わったところで裸足の鬼束がステージに。彼女はステージの中央に立つと、声を震わせるようにしながら「シャイン」を披露した。床を踏みしめ力強い声を聴かせたあとは、間を置かずに「青い鳥」へ。鬼束は時折、歌いながら舞うような仕草を見せ、オーディエンスを魅了していく。さらに彼女は「infection」を声を体から絞り出すような声で切々と歌い上げ、張り詰めたムードをフロアに作り出した。観客は彼女の一挙一動を見守るようにステージを見つめ、曲が終わるごとに厳かな拍手を送った。
代表曲である「月光」や「流星群」も盛り込まれた中盤戦には、この日の編成にぴったりな「MAGICAL WORLD」「弦葬曲」も披露した鬼束。一瞬天井を仰いで歌い始めた「CROW」ではサポートメンバーが奏でるアンサンブルに身を委ね心地よさそうな姿を見せ、また「Sign」ではオレンジの温かな照明の下で柔らかな声を響かせる。「Sign」を歌い終えたあとにはかわいらしくお辞儀をし、チャーミングな曲に彩りを添える。緊迫したムードが漂っていた序盤から一転して、優しげな空気が会場を包み込んでいた。
後半に差し掛かると、ワルツを踊るようなパフォーマンスを披露した「私とワルツを」、曲名に合わせて真っ赤な照明が印象的だった「僕等 バラ色の日々」などエレジーが続く展開に。鬼束の情感豊かな歌声に、オーディエンスはじっと耳をすませた。さらに鬼束は子守唄のような「King of Solitude」、新曲バラード「Twilight Dreams」という穏やかなトーンの楽曲を続けて歌唱し、緊張したフロアの空気を再び和らげていた。
最初で最後となったMCで彼女は、先日の大阪公演を振り返り、近畿地方で発生した地震について言及。同地方で不安な時間を過ごしている人のために「VENUS」を捧げる旨を口にする。そして、淡くピンクの照明がステージを染める中でパフォーマンスを始め、曲のクライマックスでは力強く美しいロングトーンを響かせた。
なお鬼束は「UNDER BABIES」の追加公演を、8月20日に福岡・福岡国際会議場メインホール、31日に宮城・SENDAI GIGSで開催する。
鬼束ちひろ「UNDER BABIES」2018年6月18日 Zepp Tokyo セットリスト
01. シャイン
02. 青い鳥
03. infection
04. 漂流の羽根
05. 月光
06. 流星群
07. CROW
08. edge
09. MAGICAL WORLD
10. 弦葬曲
11. Sign
12. 私とワルツを
13. 僕等 バラ色の日々
14. 螺旋
15. King of Solitude
16. Twilight Dreams
17. VENUS
鬼束ちひろ CONCERT TOUR「UNDER BABIES」追加公演
2018年8月20日(月)福岡県 福岡国際会議場メインホール
2018年8月31日(金)宮城県 SENDAI GIGS
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