吉澤嘉代子「最高に愛してる曲」だけ歌ったツアー千秋楽で悪い知らせといい知らせ

吉澤嘉代子のライブツアー「ウルトラスーパーミラクルツアー」の最終公演が、昨日3月22日に東京・LIQUIDROOMで開催された。

吉澤にとって初の試みとなるホーンを加えたバンド編成で、東名阪3都市を舞台に行われた今回のツアー。バックバンドには吉澤の楽曲を数多く手がける横山裕章（Key）をバンマスに、ハマ・オカモト（B / OKAMOTO'S）、尾崎博志（G）、伊藤大地（Dr / グッドラックヘイワ、サンフジンズほか）、湯本淳希（Tp / FIRE HORNS）、加藤雄一郎（Sax）という強力なメンバーが顔をそろえた。

吉澤が歌うツアーオリジナルのジングルに乗せてメンバーが登場すると、2015年1月発売の1stフルアルバム「箒星図鑑」からのナンバー「ストッキング」でライブはスタート。2曲目の「ユキカ」からホーン隊の2人が加わり、続けて「綺麗」「手品」が彩り豊かなサウンドで披露された。「もう、たまんないんですよ」と厚みを増したバンドサウンドに喜びを隠しきれない様子の吉澤は「ライブって楽しいな。このまま北から南まで横断したい……けど今日が最終日なんですよ」とツアー終了を惜しみつつ、「このツアーで初めてお披露目する曲です。舞台は異国の城下町。普段目立たない町娘が女怪盗に変身する物語です」と資生堂「インクストローク アイライナー」のWeb CMソング「怪盗メタモルフォーゼ」をこの日限りの“ウルトラスーパーミラクルバージョン”で届けた。

アルバム発売時のツアーではそのアルバムを軸にセットリストが組まれるが、今回は「全曲、私が最高に愛している曲」を選んだという吉澤。前半5曲は彼女曰く“キラキラ女子、きゅるるん系”の楽曲が並べられていたが、6曲目の「ユートピア」からは物語性の強い楽曲が続いた。「ユートピア」は昨年3月発売の3rdフルアルバム「屋根裏獣」からの楽曲で、ツアーメンバーであるハマ・オカモトがプロデュースしたナンバー。尾崎が奏でるペダルスティールが混沌とした世界を作り、吉澤はピンクのエレキギターをかき鳴らす。サビで大きく展開する「化粧落とし」はよりドラマチックに表現され、「地獄タクシー」では加藤が地獄から派遣されたタクシー運転手を演じ、吉澤との芝居を繰り広げた。「麻婆」は伊藤＆ハマのリズムセクションと派手なホーンでオリジナル以上にファンキーな仕上がりに。加藤のフルートが印象的な「えらばれし子供たちの密話」では一転して場内がメロウなムードに包まれた。

ライブ後半は「シーラカンス通り」「ぶらんこ乗り」とディープな楽曲が並び、「movie」では横山のシンセを中心としたサウンドの渦がLIQUIDROOMを包み込む。ディレイの効いたアンビエントな演奏に乗せて「一角獣」を歌い終えた吉澤は終わりゆくステージを惜しみながら「次が最後の曲なんですけど……このツアーをやるうえで絶対にやりたい、最後に歌いたいと第一優先にしていた曲を歌いたいと思います」と宣言。そして「私の歌が必要だと思ってくれた人はみんな大切な人です。だけど、皆がすごくつらいなと思ったときに、会いに行くことができないんですよね。いつも自分を救うのは自分だけで、誰かが何かをしてあげるのができないのが人かなと思っているんですが、歌を通していつもみんなのそばに、むしろみんなそのものになって、一体化して、主人公を通してできたらなと思っています」と音楽に対する思いをつぶやいたあと、学生時代からの親友に向けて書いた「雪」を歌い上げた。

アンコールに応じて再度ステージに上がった吉澤は、ここで「2つお知らせがあります。1つは悪いお知らせ。私吉澤嘉代子はこのツアー中に花粉症になりました。あともう1つ、いいお知らせがあります。私吉澤嘉代子は6月13日に新しいCDを出します」と、ニューシングル「ミューズ」の発売が決定したことを会場のファンに報告した。そして改めてバンドメンバーを呼び込み、昨年5月リリースの1stシングル「月曜日戦争」と、先日放送されたNHK総合「SONGS」でも歌われた2ndシングル「残ってる」の2曲を披露。合計17曲を歌い、満面の笑顔でツアーを終えた。

吉澤はこのあと3月30、31日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでオフィシャルファンクラブ「ほうきの会」会員限定公演「第1回ほうきの集い～決起会～」を開催。3rdシングル「ミューズ」発売直後の6月16、17日には東京・東京国際フォーラム ホールＣで2DAYSコンサート「吉澤嘉代子の発表会」を行う。

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