誕生日当日に行われた東京公演には
場内が暗転し、最初に観客の目に飛び込んできたのはスクリーンに映し出されたモノクロ写真。赤ん坊時代の寺岡の姿が画面いっぱいに映ると、場内には手拍子と笑い声がこだまする。そのままスクリーンにはギターを抱えた少年時代の寺岡の写真や現在までに発表されてきたミュージックビデオ、過去のライブ映像が流れ、最後にタキシード姿の寺岡が舞台に登場すると大きな歓声が上がった。さらにステージには桜井和寿、ゆず、Kも現れ、5人は「ミュージック」で華々しくイベントの幕を上げた。
彼らがリラックスした様子でジャンプしたり観客を煽りながら演奏を届けたあと、ステージには「北の国から」を歌いながらさだまさしが登場した。さだは「ご一緒に!」と呼びかけ、場内に「ルルル」のシンガロングを巻き起こす。さらには「寺岡呼人くん、誕生日おめでとう」「まだ鼻垂れ小僧だ、世界制覇をめざせ」と歌詞をつけて同曲を歌唱し、美しいバイオリンの旋律で観客を大いに沸かせた。また舞台にはサプライズのバースデーケーキが運び込まれ、出演者たちは和やかに寺岡の誕生日を祝った。
舞台に残った寺岡と桜井は“アラフィフ”トークに花を咲かせたあと、この日リリースされた寺岡のニューアルバム「LOVE=UNLIMITED」にボーナストラックとして収められているデュエットソング「秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー feat. 桜井和寿」を軽快に届ける。続くソロコーナーで寺岡は「こんな幸せな50歳いないと思います」と感謝を述べ、自身が40歳になったときに作ったという「大人」を披露。「俺たちもう50だってよ」と感慨深げに歌ってみせた。
「音楽的にも人間的にも、こんなに素晴らしいミュージシャンはいないと思います」という寺岡の紹介からステージにはKが登場。Kは「知り合って10年くらいだけど、さすが呼人さんのライブは温かいですね」と笑顔で場内を見渡した。寺岡はKの最新アルバム「Storyteller」で全曲の作詞を手がけており、2人はこのアルバムから寺岡が「Kくんにとっての『I love you』ってなんだろうと思って作った」という「春の雪」を演奏。切なくも力強いKの歌声に、寺岡は優しいアコースティックギターの音色を添えた。
続いて寺岡は「この2人に会わなかったら、今の僕は音楽やってたのかな。音楽観、人生観も変えてくれた、友達であり弟のようであり、同志であるこの2人です」とゆずを呼び込む。2人は登場するなり「贈る詩」の一節を「呼人の心へこの唄が届きますように」と替え歌してプレゼント。デビュー当時寺岡に選んでもらったというギターを持った北川悠仁は「最近どの現場に言っても自分たちが一番先輩なので、久しぶりの後輩感がうれしい! 呼人さん、桜井さん、神……さださん。神かと思いましたよ(笑)」と高いテンションで話した。和やかな雰囲気の中、彼らは共作ナンバー「星がきれい」や「少年」を息ぴったりに歌唱。岩沢厚治が「初めてのレコーディングで、呼人さんが『レコーディングは最初が楽しくなければ一生つまらなくなるから」って最高に楽しい環境でやらせてくれて。あのときの楽しい思い出のまま、20年以上走り続けてこれました」と感謝を述べたあと、彼らは最後に3人のみの演奏で「栄光の架橋」をじっくりと聴かせた。
場内が暗転すると、スクリーンには寺岡が自作したムービーが流れる。そこに映し出されたのは、寺岡と桜井和寿が出会った1991年当時の映像や写真。最後に「You’ve got a friend」という言葉が流れ、「Everything (It's you)」の演奏と共に革ジャンに着替えた寺岡と桜井が登場した。同曲で骨太なギターソロを披露した桜井は、MCで寺岡に「悪いことを教えてくれる先輩はいっぱいいたけど、一生音楽を続けていくには何をするべきなのか、将来のことを見据えて唯一アドバイスしてくれたのは呼人くん。本当に感謝してる」と思いを述べた。2人は時折目を合わせ笑いながら「バトン」を歌唱し、続けて「everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-」をパフォーマンス。激しいバンドサウンドをバックにステージを動き回り、場内の熱気をいっきに高めた。
ライブ後半、寺岡は「続いて“神”を……もしよかったら座っていただいて」と総立ちの観客を着席させる。彼の「生まれて初めて観たコンサートがさださんで。その日から40年目にして同じステージに立つことができます。これほどまでに美しい日本語を操るアーティストはいない。40年目の邂逅です」という紹介を受けていそいそと登場したさだは「あのさ、ハードル上げすぎ」とぽつり。続けて「今日は寺岡くんが選んだ曲を歌うので、言う通りにする」と言いつつも「俺だってうるさい曲あるんだぜ? 悔しいから次のアルバムロックにする」とぼやき、場内の爆笑をさらった。「雨やどり」で温かな歌声を届けたあと、さだは次の曲について「自分のコンサートでも長すぎて歌わない曲」と説明。寺岡は「この曲を皆さんに聴かせたくて(さだを)お呼びしたといっても過言ではない」と話し、「親父の一番長い日」を並んで演奏する。寺岡は共演の喜びを噛みしめるようにさだの背中を見つめる場面も見られた。
深い余韻が残る中、舞台には再び桜井和寿、ゆず、Kが登場。北川が「少し巻いてたそうなんですけど……追い越したそうです」とさだのマイペースなステージングについて述べると、場内は笑い声に包まれた。寺岡の「音楽人生30周年の中で、大事な仲間の絆が永遠に続けばいいなと思って作った曲」という言葉から本編最後に演奏されたのは「フォーエバーヤング」。ミラーボールが輝く中、幸福感あふれるフィナーレとなった。
アンコールを受け、寺岡はゆずの2人とステージに戻り「夏色」をプレイ。お約束の「もう1回!」コールで場内の一体感を作り上げた北川は、ステージを走り回り最後まで全力のパフォーマンスを繰り広げた。続いてステージに桜井が現れると、寺岡は「91年、僕の家に自転車でやってきて、一緒にカセットテープに録音した曲。未だにこの曲がいろんな人の支えになっていると聞いて、本当に音楽の力って素晴らしいなと思う」と語り、2人は「星になれたら」を爽やかに歌い上げた。
全出演者をステージに招き入れた寺岡は、最後に「さださんの大好きな曲を」と「いのちの理由」を全員で歌唱。盛大な拍手が鳴り響く中、寺岡は感謝を述べて出演者たちを見送る。彼はバンド紹介の後「この人がいなかったら今日ここに立つことはできませんでした」と、広島からやってきた自身の母を紹介し「愛してます!」と声を上げた。寺岡は瞳をうるませつつ、「最後にもう1曲だけ。本当に今日はありがとうございました」とラストに「仕舞支度」を軽やかに演奏。バンドメンバーも去りステージに1人残った寺岡は、客席をじっと眺めてから深くお辞儀をし、笑顔でイベントを締めくくった。
なお武道館公演の模様は、3月25日(日)20:00よりWOWOWにて放送される。
寺岡呼人 バースデーライブ 50歳/50祭 2018年2月7日 日本武道館 セットリスト
01. ミュージック(
02. 北の国から(寺岡呼人+桜井和寿+ゆず+K+
03. 秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー(寺岡呼人+桜井和寿)
04. 僕は、君にもう一度恋をする
05. 大人
06. スマイル
07. 春の雪(寺岡呼人+K)
08. 星がきれい(寺岡呼人+ゆず)
09. 少年(寺岡呼人+ゆず)
10. 栄光の架橋(寺岡呼人+ゆず)
11. Everything (It's you)(寺岡呼人+桜井和寿)
12. バトン(寺岡呼人+桜井和寿)
13. everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-(寺岡呼人+桜井和寿)
14. 雨やどり(寺岡呼人+さだまさし)
15. 親父の一番長い日(寺岡呼人+さだまさし)
16. フォーエバーヤング(寺岡呼人+桜井和寿+ゆず+K)
<アンコール>
17. 夏色(寺岡呼人+ゆず)
18. 星になれたら(寺岡呼人+桜井和寿)
19. いのちの理由(寺岡呼人+桜井和寿+ゆず+K+さだまさし)
20. 仕舞支度
WOWOW「寺岡呼人 バースデーライブ 50歳/50祭」
2018年3月25日(日)20:00~
リンク
- 寺岡呼人 OFFICIAL WEBSITE|YOHITO.COM
- 寺岡呼人バースデーライブ 50歳/50祭 公式サイト
- WOWOWオンライン
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寺岡呼人 @yohito_teraoka
【ライブレポート】寺岡呼人が誕生日にさだまさし、桜井和寿、ゆず、Kとコラボ「こんな幸せな50歳いない」(写真7枚) - 音楽ナタリー https://t.co/0CG4vHki7s