この日のゲストは
転換時にはステージ横のビジョンに、会場内の様子が映し出される。そこにはタオルを掲げるファンや、Hi-STANDARDのTシャツを着用した子供の姿などが投影され、会場の興奮はますます高まっていく。
いよいよHi-STANDARDの出番がスタート。難波章浩(Vo, B)は小走りに、横山健(G, Vo)と恒岡はゆっくりとステージへ登場する。難波は「おお、来たね、来ちゃったね」と興奮気味に口にしたあと「ひと言言わせて」と断りを入れ、「今回のテーマの“THE GIFT”っていうのは、Hi-STANDARDからみんなへの贈り物っていうわけじゃないんだよ。俺たち3人が『まだお前ら何かやれる』って何かから授かったことだと思うの。この3人が今日このステージに立ってツアーファイナルを迎えるっていうこの奇跡を授かったの。自分たちのパンクロック、信じてきて本当によかったと思います」と心境を述べた。そして温かい拍手が会場に満ちる中、「準備はいいかい? Hi-STANDARD、行くぜ!」と声を上げ、バンドはさっそく「The Gift」を届ける。恒岡の繰り出す骨太なビートに乗せ、難波と横山は絶妙なコーラスワークでオーディエンスを魅了。その後「GROWING UP」「All Generations」「SUMMER OF LOVE」「I Know You Love Me」と、再結成前の楽曲と最新アルバム「THE GIFT」の収録曲を交互にプレイした。「All Generations」では横山が難波に近付くという今回のツアーで恒例となっている動きをして、難波は思わず笑顔を見せていた。
MCでは横山が興奮するファンに向かって「俺たちはHi-STANDARDを名乗ってロックンロールをしに来たズラ。みんなはロックンロールを楽しみに来たズラよね?」と呼びかける。かと思えば突然矢沢永吉のモノマネをし始めたりと、3人は自由気ままなトークでも観客を楽しませていった。
「CLOSE TO ME」の演奏後には恒岡がドラムロールを始める。そして「思い出した、5年前(「AIR JAM 2012」)にやりたかったことがあった」と言い、オーディエンスにサッカーの応援でサポートが行う「オーニッポン」というチャントをするように指示。盛大なチャントが巻き起こると、恒岡はそれに合わせるようにさまざまなリズムでドラムを披露する。最後、ツービートになったところで難波と横山がアドリブで加わり、3人は即興でセッションを聞かせた。また「『GROWING UP』のアンサーソングみたいな曲」だという「We're All Grown Up」のあとには横山が巧みなギターソロを聞かせる場面もあり、3人はその確かな演奏力やグルーヴでもオーディエンスを魅了した。
この日は普段あまりMCを行わない恒岡が何度も口を開き、中盤には「難波章浩、横山健、恒岡章、われわれはHi-STANDARDだ!」と胸を張った。その様子を観て「立候補するみたいだね」と冗談を飛ばしていた難波と横山も「Hi-STANDARDは生きてます!」と声を上げる。さらに横山が「これからも生き続けるからね。こうなったら3人のうちの誰かが死んでくたばるまで畳まねえぞ」と続け、観客は彼らの宣言に大歓声で応えた。
終始「楽しい」「最高!」と言っていた難波は「Hi-STANDARDやってて、今が一番楽しいっすよ! 今本当に仲いいから。バンドっていいね」と笑顔を見せる。さらに今回のツアーで競演したバンドたちから「ハイスタを聴いて育った」と言われたと話し、「そういうバンドがいるだけで、俺はハイスタやってきてよかったなって思った」と破顔。「各々の活動があってスローペースかもしれないけど、これからもよろしくね!」と改めてファンへメッセージを送った。
オーディエンスがスマートフォンや携帯電話を点灯して場内を星空のように彩った「STARRY NIGHT」、横山がメインボーカルを取る「THE SOUND OF SECRET MINDS」、横山のメロディアスなギターソロが炸裂した「STOP THE TIME」など昔からの人気曲を連投して、場内のテンションを引き上げ続けていく彼ら。「STAY GOLD」で勢いを増したのち、横山が観客のシンガロングを煽り、歌声が大きくなったところで「Free」をスタートさせる。と思いきや、横山が音を止めて「適当に歌ってればバンドは曲に入ると思ってんでしょ! 次も(ファンの歌声が)聴こえなかったらライブはそこでおしまいです」と、観衆の歌声の小ささに怒りを見せる。そして再度横山がギターを弾き始めると、今度はフロアから盛大なシンガロングが発生。横山はうれしそうに笑うと「よーく聞こえたよ!」と声を弾ませ、場内にはさらなる一体感が生まれた。そしてこの日の本編のラストナンバーとして選ばれたのは「BRAND NEW SUNSET」。優しく、どこか切なげな同曲を3人は丁寧に届ける。横山は最後のフレーズを弾き終わっても音を鳴らし続け、難波と恒岡はそんな彼の姿を観ながら握手を交わす。場内にエモーショナルなムードが漂う中、3人はステージをあとにした。
アンコールで再びステージに登場した難波はこの日、PIZZA OF DEATH RECORDSへの感謝の気持ちを伝えるために、同レーベルのTシャツを着用していることを告白。そして横山と恒岡のほうを向き、「健くん、恒ちゃん、どうもありがとう」と改めて感謝の言葉を送った。再びオーディエンスが携帯やスマートフォンを点灯する中、“ハイスタからのちょっと早めのクリスマスプレゼント”として彼らがジョン・レノン「Happy Xmas(War Is Over)」のカバーをプレイすると、場内はロマンチックなムードに包まれた。横山が「最高の景色だ!」と声を上げると難波は「ハイスタ始まってよかった!」と応え、アンコールでも3人は終始高揚した様子を見せていた。そして「最後の曲」として「CAN'T HELP FALLING IN LOVE」をプレイするも、演奏後に難波が「やっぱもう1発!」と言い、バンドは「MOSH UNDER THE RAINBOW」を続ける。客電が点灯し、明るくなったフロアには、いくつもの大きなサークルモッシュが発生し、ハッピーな雰囲気が場内を満たした。すべてを終えると3人は肩を組んでお辞儀をして、ステージを去った。
ところが観客が帰り始めた頃に、3人は三たびステージへ。大喜びするオーディエンスに向けて「MY HEART FEELS SO FREE」「TURNING BACK」をドロップし、最後までサプライズを欠かさないHi-STANDARDらしいアクトで「THE GIFT TOUR」の幕を下ろした。
※記事初出時、キャプションに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
Hi-STANDARD「THE GIFT TOUR」
2017年12月14日 さいたまスーパーアリーナ セットリスト
マキシマム ザ ホルモン
01. 握れっっっっっっっっ!!
02. What’s up, people?!
03. 「F」
04. ロック番狂わせ
05. ロッキンポ殺し
06. パトカー燃やす~卒業~
07. セフィーロ・レディオ・カムバック~青春最下位~
08. 恋のスペルマ
Hi-STANDARD
01. The Gift
02. GROWING UP
03. All Generations
04. SUMMER OF LOVE
05. I Know You Love Me
06. DEAR MY FRIENDS
07. Hello My Junior
08. GLORY
09. CLOSE TO ME
10. Pink Panther Theme
11. NOTHING
12. Going Crazy
13. We’re All Grown Up
14. Pacific Sun
15. CALIFORNIA DREAMIN’
16. FIGHTING FISTS, ANGRY SOUL
17. STARRY NIGHT
18. THE SOUND OF SECRET MINDS
19. STOP THE TIME
20. STAY GOLD
21. Free
22. MAXIMUM OVERDRIVE
23. BRAND NEW SUNSET
<アンコール>
24. ANOTHER STARTING LINE
25. TEENAGERS ARE ALL ASSHOLES
26. Happy Xmas(War Is Over)
27. CAN’T HELP FALLING IN LOVE
28. MOSH UNDER THE RAINBOW
<ダブルアンコール>
29. MY HEART FEELS SO FREE
30. TURNING BACK
※本文中「『F』」の正式曲名は、二重カギカッコが一重カギカッコの「F」。
リンク
- Hi-STANDARD | ハイスタンダード
- Hi-STANDARD“THE GIFT TOUR 2017”ツアー特設サイト
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
みつと @mitsuto_
【ライブレポート】Hi-STANDARD、奇跡のツアーファイナルで「これからも生き続ける」宣言(写真31枚) - 音楽ナタリー https://t.co/3fwhxETQAN