イエモン聖地La.mamaでトライセラ、毛マリら白熱ライブ

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12月27日、THE YELLOW MONKEYトリビュートアルバムの発売を記念したライブイベント「THIS IS FOR YOU ~ THE YELLOW MONKEY TRIBUTE SPECIAL LIVE」が東京・渋谷La.mamaで開催。満員のオーディエンスは、6組のアーティストがTHE YELLOW MONKEYの楽曲を演奏するスペシャルな一夜を大いに楽しんだ。

TRICERATOPS(写真:武裕康)

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毛皮のマリーズ(写真:武裕康)

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星羅(写真:武裕康)

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シュリスペイロフ(写真:武裕康)

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黒猫チェルシー(写真:武裕康)

黒猫チェルシー(写真:武裕康)

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metalmouse(写真:武裕康)

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この日のライブには「THIS IS FOR YOU~THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM」の初回プレス分を購入したファンを抽選で招待。応募総数約5000通の中から当選した幸運な200人が、“聖地”La.mamaを埋め尽くした。なおライブ出演者は出番の瞬間までシークレット。どのアーティストが登場するのかと期待する熱気で、フロアはオープニング前から静かな興奮に包まれていた。

開演時間を10分ほど過ぎた頃、T-REXやKISSを回していたmetalmouseのDJプレイがフェードアウトし、入れ替わりにMCを務める藤田琢己が登場。自己紹介の後「本日ここに集まってくれた皆さん、おめでとうございます! まずは自分に拍手!」と高倍率をくぐり抜けた観客の気持ちを盛り上げる。そしてイエモンファンなら誰もが知っているLa.mamaに関する話の後、metalmouseに続く2組目として黒猫チェルシーを招き入れた。

下手からメンバーが順番に登場し、フロアがざわめくと、最後に渡辺大知(Vo)が両手を上げながら姿を見せる。そして観客に向かって両手の親指を突き上げるポーズを決めると同時に、岡本哲佑(Dr)の叩く力強いシンバルの音で「パール」の演奏をスタート。渡辺は、黒猫チェルシーのオリジナル曲とはひと味違う、情感豊かなボーカルを聴かせ、澤竜次(G)のギターも艶やかに歌う。弱冠19歳ならではの衝動あふれるアレンジに、フロアからも惜しみない拍手が寄せられた。また2曲目には、2ndミニアルバムのリード曲「廃人のロックンロール」を披露。黒猫らしいパンキッシュな楽曲に、初めて彼らのステージを目にした人も、体を揺らして演奏に応えていた。

3組目にはシュリスペイロフが登場。2ndアルバム「もぐる。」収録の「トロイメライ」をゆったりと演奏し、8分の6のリズムと宮本英一(Vo,G)のファルセットが特徴的なこのナンバーで彼らの音世界にオーディエンスを引きずり込む。曲が終わると、宮本が「ありがとうございます。札幌から来ましたシュリスペイロフといいます」と緊張気味に挨拶。「今日は『誰だ』って言われるかと思ってたんですけど、意外とみなさん優しくて、そして近いです」とフロアとの距離について口にする。また観客から「バンド名はどういう意味ですか?」と問いかけられると律儀に「あんまり意味はないので雰囲気で覚えてください」と返答し、その朴訥なやりとりに笑いが起きていた。そして2曲目に「SO YOUNG」を熱演。切なさ漂う原曲を、若さあふれるサウンドに昇華させ演奏する様子に、あたたかい拍手が鳴り響いた。

この日は多くのバンドが出演したため、転換時間も自然と多くなる。そのたびにMCの藤田がステージに登場し、直前に登場したバンドの紹介や、ライブで演奏したTHE YELLOW MONKEYの楽曲にまつわるエピソードを披露。さらに、ライブの当選ハガキに書かれた整理番号で特製グッズが当たる抽選会も行われ、ラッキーなファンがこの日ならではのプレゼントを手に入れていた。

そして4組目として、シンガーソングライターの星羅が登場。「こんばんは、星羅です」と短い挨拶を口にすると、ギター1本と自分の声のみで1stシングルのカップリング曲「わたしが君に出来ること」を熱唱。大きな目でじっと観客を見すえながら透き通った歌声で歌う彼女に、フロア中が引きつけられる。またMCでは、THE YELLOW MONKEYと自分の出会いについて少し語り、「トリビュート盤に参加できたことが“びっくら”するぐらいうれしくて」と微笑ましい口調で観客を魅了した。そして2曲目には「空の青と本当の気持ち」を弾き語りで披露。ギターのアルペジオと星羅の熱のこもった歌声が溶け合うアレンジで、ギターロックサウンドが耳に残る原曲とは違った一面を見せてくれた。

5組目には毛皮のマリーズが登場。THE YELLOW MONKEYの直系とも言えるグラマラスなロックを鳴らすバンドの参加に、オーディエンスも諸手を上げて歓迎する。また、ボーカルの志磨遼平はステージに姿を表すなり投げキッスをするなど、観客へのサービスも抜群だ。そして1曲目にはなんと、トリビュート盤参加曲目ではない「審美眼ブギ」を演奏。イエモンファンを自認する彼ららしい選曲に、フロアも大盛り上がり。さらにMCでは「オーイエー! こんばんは、THE YELLOW MONKEYのコピーバンドです!」と口走り、オーディエンスをおおいに沸かせる。「渋谷La.mamaは我々の聖地でございますね。私、東京に出てきて長いんですけど、最初はどこもライブさせてくれないんですよ。それでデモテープを作って、有名なライブハウスに持っていったんですけど、La.mamaにも来て。それで店内をひととおり写真撮ってから、オーディションを受けたんだけど『THIS IS FOR YOU』をやったら、当時のブッキングマネージャに『イエモンが好きでうちで演りたいってバンドはたくさん来るけど、コピーを演った人は初めてです』って言われちゃって」とエピソードを明かす。ちなみにそのオーディションでは、オリジナル曲を作ってから来てくださいという理由で落とされたとのこと。「もちろんオリジナルもあったんだけど!」と悔しそうに語る志磨が印象的だった。

また、今回のトリビュート盤参加について「自分が整形外科かタトゥー彫り師だと思ってください。それで自分が好きな彼女が整形したい、タトゥーを彫りたいという。いや待ってくれ、君はそのままで十分ビューティフルだ、と言っても、絶対に整形すると言って聞かない。よしわかった、こんなこともあろうかと俺は整形外科医を目指していた。どこぞの誰かに切らせるぐらいなら、いっそ俺に手がけさせてくれ! そういう心境なわけです」と独特の説明を施す。しかし観客にも志磨の熱い思いは伝わったようで、あちこちで喝采が起きていた。そんな愛情あふれるMCを経て、トリビュート盤参加曲「SUCK OF LIFE」を披露。栗本ヒロコ(B)が歌うイントロを経て、志磨が「わたさなーい! わたさなーい! イエローモンキーは、誰にもわたさなーい!!」とシャウトすると、怒号のような歓声が響く。さらにメンバー4人による、イエモンへのリスペクトを露にした演奏に、フロアもこの日一番の盛り上がりで応じていた。

次の転換時には、再びmetalmouseがDJブースに姿を見せ、THE YELLOW MONKEYのオリジナル盤から「WELCOME TO MY DOGHOUSE」「SHOCK HEARTS」「SPARK」「LOVE LOVE SHOW」などをスピン。そしていったん明るくなっていた照明が再び落ちると、藤田が最後のバンドを紹介。「Please welcome, TRICERATOPS!」とその名前を告げると、オーディエンスの間に驚きのどよめきが沸いた。

吉田佳史(Dr)、林幸治(B)が順に姿を見せ、小さなステージで自分の場所に向かう。また和田唱(Vo, G)はステージに登場するやいなや、観客に向かって大きく手を振り笑顔を見せる。3人が揃うと、まず1曲目として披露したのは、バンド初期の名曲「ロケットに乗って」だ。リズム隊のねばる音と和田のよく伸びる声が相まって、この上ないファンキーなサウンドとなった楽曲に、たまらず大きく体を揺らすオーディエンスも多くみられた。また曲の後半では和田がコール&レスポンスを呼びかけ、この曲を初めて聴くであろう観客も思わず反応。ライブバンドらしく、上手にフロアを乗せる様子には感嘆させられる。

MCでは和田が「初めましての人が多いと思いますけれど、TRICERATOPSです!」と初々しく挨拶。続いて「このLa.mamaはTHE YELLOW MONKEY発祥の地だけど、実はTRICERATOPSにとっても発祥の地なんです」とエピソードを口にする。「13年前はあちこちにイエモンのポスターが貼ってあったので『何だこのバンドは?!』と思ったのを覚えてます」「こうして初めてライブをした場所に帰ってこられて、好きなロックンロールを続けてきてよかったなと思います。だからみんなもぜひ好きなことを続けていってほしいと思います」と懐かしい話を交えつつ、「当時は僕らあんまりファンもいなかったから、こんなにここがいっぱいになったのを見たことがなくて。『うわっ、近いな!」って思います。ホント近いね?」と最前列に立っていた観客と握手。そんな思いがけない幸運に喜ぶオーディエンスも。

そして、バンド全員が若干緊張した面持ちのなか、「次は、みんなにとっても大切な曲を演らせてもらいます。この曲を俺たちに演らせてくれて感謝しています。本当に本気で歌いたいと思うので、聴いてください」と和田が言う。続いて奏で始めたのは、もちろん「JAM」だ。吉田の力強いドラムと林のうねるベース、そして2人が奏でる美しいコーラスの上で、和田のギターと歌声がむせび泣く。THE YELLOW MONKEYの珠玉の名曲を、全身全霊を込めて演奏するトライセラの3人からは鬼気迫る迫力が伝わってきて、フロア中が固唾をのんでステージを見つめる。この日の参加者の中でもひときわ際立つ圧巻のプレイを見せつけられ、呆然としながらも賛辞の拍手があちこちから鳴り響いた。

こうして計6組によるトリビュートライブは熱狂をもって幕を閉じた。どのアーティストの演奏からも、THE YELLOW MONKEYへの尊敬と愛情が伝わってくる、まさにプレミアムな一夜となった。なお、この日の模様は後日J-WAVE「TOKYO REAL EYES」でオンエアされることが決定。残念ながら参加できなかった人、また可聴環境にある人は、放送予定をこまめにチェックしておこう。

「THIS IS FOR YOU ~ THE YELLOW MONKEY TRIBUTE SPECIAL LIVE」
2009年12月27日@渋谷La.mamaセットリスト

metalmouse

DJ PLAY

黒猫チェルシー

01. パール
02. 廃人のロックンロール

シュリスペイロフ

01. トロイメライ
02. SO YOUNG

星羅

01. わたしが君に出来ること
02. 空の青と本当の気持ち

毛皮のマリーズ

01. 審美眼ブギ
02. SUCK OF LIFE

TRICERATOPS

01. ロケットに乗って
02. JAM

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読者の反応

chinacafe @chinacafe

志磨といえばこれ。マリーズの「審美眼ブギ」カバー、めちゃくちゃ良かったな。あれ映像ないのかな。

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