3月にリリースされた自身初のベストアルバム「メッセージボトル」を携えて行われた本ツアー。中野サンプラザホール公演はもともと6月に開催予定だったが、サポートメンバーの体調不良により延期され、彼らの地元である青森で実施された8月のツアーファイナルのあとに追加公演として行われる形となった。
場内が暗転すると、ほどなくして「ポエジー」の演奏がスタート。ステージと客席を隔てる紗幕には秋田ひろむの紡ぐ歌詞の内容にリンクした映像が次々と映し出され、観客の視界を支配した。続く「ヒーロー」では、紗幕越しの薄暗いステージで演奏をする5人の姿がフィーチャーされ、「ヨクト」では秋田ひろむがリズムに乗せて体を揺らし、振り絞るように力強い歌声を響かせていた。
「隅田川」「ワンルーム叙事詩」「奇跡」とドラマチックな初期ナンバーのあと、バンドは息を呑むようなスリリングな雰囲気の「メーデーメーデー」を擦り切れたビデオテープのように乱れた映像と共に披露。さらに“雨の降る四畳半”というシチュエーションで歌う秋田の姿が印象的なミュージックビデオとリンクする形で「つじつま合わせに生まれた僕等」を届けた。
秋田は畳みかけるようなフロウを聴かせた「後期衝動」のあと、12月13日にリリース予定のニューアルバム(タイトル未定)から「ダイドーブレンド」CMソングとしてオンエア中の新曲「フィロソフィー」をパフォーマンス。紗幕には楽曲にあわせて小説のように縦書きの歌詞が投影されており、楽曲の持つメッセージ性が視覚的にも表現された。また最新シングルのタイトルナンバー「空に歌えば」では、疾走感のあるバンドサウンドに、秋田のエモーショナルの歌声と豊川真奈美(Key)の無機質なコーラスが混ざるアンサンブルが会場いっぱいに鳴り響いた。
ライブ後半、劇的なポエトリーリーディングが観客の胸を打った「しらふ」をはさみ、満たされない過去の記憶に対する心情がにじむ「美しき思い出」で感動的なムードを生み出したのち、秋田がMCで観客に自身の思いを語り始めた。彼は本ツアーの東京公演を無事に5人で迎えられたことについて「今日歌っていて、『このメンバーでやっていて、終わるのがもったいないな』と思いながら歌っていました」と素直な心情を吐露。また「メッセージボトル」というタイトルがアマチュア時代に行っていたイベント名だったことに触れてから、「あれから7年だか8年が経って、会場が大きくなってたくさんの人が観てくれるようになって。今でも当たり前のようにつらいことはあるし、死にたい夜だっていまだにある。それでも皆さんの顔がこうして観られて、このメンバーでやれてよかったんじゃないかなと思います。ありがとうございます」と静かに述べると、客席からは「ありがとう!」という感謝の言葉と共に惜しみない拍手が送られた。
拍手が鳴り止んだあと、秋田は「次は、このツアーのテーマ曲みたいになってしまいました」とつぶやいてから、「たられば」を歌唱。繰り返し「もしも僕が~だったなら」と思いを巡らせながら、今の自分を肯定するようなメッセージが込められた同曲で声を張り上げる秋田の姿と、その歌詞の内容とが重なり、場内には感動のあまり涙を浮かべる観客の姿も見られた。そしてバンドは「スターライト」まで全19曲を届け、「メッセージボトル」を携えたツアーの幕を無事に下ろした。
なお12月13日に発売予定のニューアルバムには、最新シングル曲「空に歌えば」や、先行配信中の「フィロソフィー」を含む全12曲を収録予定。初回限定盤Aには今回の中野サンプラザホール公演の模様を収めたDVDが付属する。
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amazarashi Live Tour 2017「メッセージボトル」追加公演
10月19日 中野サンプラザホール セットリスト
01. ポエジー
02. ヒーロー
03. ヨクト
04. 隅田川
05. ワンルーム叙事詩
06. 奇跡
07. メーデーメーデー
08. ピアノ泥棒
09. つじつま合わせに生まれた僕等
10. 少年少女
11. 後期衝動
12. フィロソフィー
13. 空に歌えば
14. ひろ
15. しらふ
16. 美しき思い出
17. たられば
18. 命にふさわしい
19. スターライト
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