PIERROT×DIR EN GREY、ピエラーと虜を圧倒した希代の“戦争”

PIERROTとDIR EN GREYによるジョイントライブ「ANDROGYNOS」が、昨日7月7日と本日8日に神奈川・横浜アリーナにて実施された。

1990年代後半から2000年代前半にかけてビジュアル系シーンを代表する存在だったが接点を持つことはなく、ファン同士の“抗争”とも呼べる現象も注目されていた彼ら。今年の初めに2組の対バンが行われることが発表されるや否や、双方のファンは驚嘆した。そして迎えたライブ当日。ステージを「危険地帯」、客席エリアを「緩衡地帯」「非武装地帯」「中立地帯」などに分け会場を戦場に例えるような試みも設けられ、場内は開演前から異様な空気に包まれた。

初日の先攻はDIR EN GREYが務め、「Revelation of mankind」でライブを開始。京（Vo）は「かかってこい！」と虜（DIR EN GREYファンの呼称）だけでなく、ピエラー（PIERROTファンの呼称）を煽りまくり、楽器隊のメンバーも激しいプレイを繰り広げる。セットリストは最新アルバム「ARCHE」の収録曲や、「CHILD PREY」「THE FINAL」といった懐かしいナンバーなど新旧の楽曲で構成。緊迫した空気が漂う時間ではあったが、ステージ上のメンバーも観客もその空気をも楽しんでいる様子で、終盤で京が「ピエラーの皆さん、こんばんは。DIR EN GREYです。よろしく……」と不敵な笑みを浮かべる場面もあった。

後攻のPIERROTは2014年の復活ライブ以来とは思えない盤石のアンサンブルを披露。「MASS GAME」でオープニングを飾ると「HELLO」「脳内モルヒネ」など、バンドの歴史を作ってきた代表曲をエネルギッシュに届けていった。キリト（Vo）はアンコールで「これはもはや戦争でもなんでもない。君たちは1つになって溶けてしまったから。メギドとかアクロとか、なんですか？ 戦争とはなんですか？ 最初は皆、1つだったんです（笑）。お前ら、俺たち、全員が最初は1つだったんです。また、1つに戻りませんか？」と呼びかけ、「HUMAN GATE」を歌い上げた。

2日目の先攻はPIERROTが務め、「MAD SKY -鋼鉄の救世主-」をオープニングナンバーに据えるなど、初日とは異なるセットリストをもとにライブを展開。メンバーの顔には時折笑顔が浮かび、去り際にキリトは「昨日、今日とPIERROTとして最高でした」とはにかむように述べ、DIR EN GREYへの期待を煽ってステージをあとにした。

PIERROTからバトンを渡されたDIR EN GREYも、前日とは異なるセットリストを用意し、鬼気迫るようなプレイで会場を圧倒する。この日のDIR EN GREYのステージでもっとも大きな歓声が起きたのは、Die（G）がアコースティックギターで「アクロの丘」のイントロをつま弾き出した瞬間。メランコリックなギターの音色に続き京の歌声が響きだすと、オーディエンスはその歌声にうっとりと聴き入った。そしてDIR EN GREYはラストナンバーとして「残」を叩き込み、激しい爪痕を虜とピエラーの双方に残してPIERROTとの因縁の対バンを締めくくった。

なお2日間のライブの模様は映像化されることが決定。ローチケHMVでは9月30日まで予約を受け付けている。