2012年以来およそ4年ぶりに開催された「AIR JAM」。約3万6000人の観客が集まり、Hi-STANDARD含めた全11組は「AIR STAGE」「JAM STAGE」という2つのステージを使用して熱演を繰り広げた。またフロア後方にはスケートランプが用意され、国内屈指のプロスケーターやBMXライダーたちが華麗なパフォーマンスを見せた。
開演前にはステージに難波章浩(Vo, B / Hi-STANDARD)が登場。彼は注意事項などをアナウンスしたのち「思い切って楽しんで! AIR JAM 2016!」とメッセージを送ってイベントの幕を開けた。
トップバッターは熊本出身の
「あとにも先にも昔Hi-STANDARDの物販をやったり、横山(健)さんの引越しを手伝ったりした対バンは俺たちだけだと思います。そうやって後輩やってきました」と自己紹介したのは
トリ前という大役を務めた10-FEETはTAKUMA(Vo, G)が「よっしゃいこか! えらいこっちゃー!」とハイテンションに言い、なだれ込むように「VIBES BY VIBES」をドロップ。1曲を終えると突如Hi-STANDARDの「START TODAY」のカバーをうれしそうにプレイした。TAKUMAはその後も興奮さめやらぬ様子で「Hi-STANDARDがおらんかったら、10-FEETをやっていませんでした。衝撃をありがとう」と叫ぶ。そして「さあ、つなげるで! ハイスタに、つなげるで!」と声を弾ませたのち、「最後の曲で、俺ら爆死や」と気合を見せて「その向こうへ」でHi-STANDARDへバトンを渡した。
大歓声に迎えられて、本日の主役、Hi-STANDARDが登場する。難波が「来たねー、『AIR JAM 2016』。じゃあ、Hi-STANDARD始めようか!」と高揚した声を上げて、バンドは「MAXIMUM OVERDRIVE」をプレイ。そのまま「DEAR MY FRIENDS」「CLOSE TO ME」を連投した。フロアで感激のあまり涙を流すファンの姿を見つけると、横山は「泣いてる場合じゃないズラ! よく観るズラ!」と声をかける。難波は老若男女がひしめく客席を見渡して「“ハイスタ世代”とか“エアジャム世代”を今日更新しちゃっていいっすか!」とこの日の意気込みを語り、バンドはそれを証明するかのように10月に発表した「Another Starting Line」をプレイした。横山が「妖怪ウォッチ」のコマさんを真似た動きではしゃぐと、難波も彼に向き合って笑顔でおどけてみせたり、逆に難波がMCで熱くなると横山が「話長くねえかな?(笑)」とツッコミを入れたりと、和やかにライブを進行する3人。余裕を見せながらも息の合ったタイトな演奏で「You Can't Hurry Love」のカバーや「GROWING UP」といった新旧のナンバーを次々と届けていく。「STARRY NIGHT」のイントロでは恒岡章(Dr)の刻むリズムでファンが演奏曲に気付き、携帯電話のライトを点けて場内を彩る。それを見た横山が「もんげーキレイずら!」と興奮した様子を見せる場面もあった。
中盤には難波が「AIR JAM 2012」のときのボランティアスタッフがこの日も手伝いに来ていることを明かし、「今年もいろいろなことがあった。忘れられないのは当たり前。いろいろ忘れられるわけねえから、吹っ飛ばしていけたら」と改めてこの日のライブへの思いを語る。続けて「光がなかったら自分が輝くしかねえよな!」と叫び、バンドは「STAY GOLD」をドロップ。スタンディングエリアではクラウドサーファーが多発、そのほかのエリアでもファンは大喜びで拳をあげたりジャンプを繰り返したりして、この日一番の盛り上がりを見せた。さらにこの日を振り返った難波は「AIR JAM」について「日本最大、最強のロックイベントってことでいいっすか!」と問いかけ、場内は同意の歓声で満ちる。そしてバンドはラストナンバー「BRAND NEW SUNSET」で本編を締めくくった。
アンコールで再びステージに戻ってきた3人は「TURNING BACK」を演奏。続くジョン・レノン「Happy Xmas(War Is Over)」のカバー演奏時には、降雪のような演出が施され、会場内にはドラマチックなクリスマスムードが漂う。そして最後の曲の演奏前にステージにコマさんが登場。ライブ前半に「まだコマさんに会えていない」と肩を落としていた横山は、コマさんの来場に大喜び。場内が温かい空気に包まれる中、3人は「MOSH UNDER THE RAINBOW」を演奏する。フロアにはいくつものモッシュサークルが発生し、場内はピースフルな空気で満ちあふれた。そして清々しい表情を見せた3人は向き合って最後の1音を鳴らし、「AIR JAM 2016」の幕を下ろした。
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